.biz

PC Watch .bizでは、法人向けの製品やサービスを取り上げます。

富士通マーケティング、Windows XP移行サービスを一気に強化

~半数が残る中堅・中小企業の移行促進を図る

富士通マーケティングの浅香直也執行役員
8月2日 発表

 株式会社富士通マーケティングは、Windows XP搭載PCを利用している企業ユーザー向け移行サービスを強化した。

 2014年4月にWindows XPがサポート期限を迎えるのに合わせ、Windows XPからWindows 7およびWindows 8への移行を支援する「Windows XP移行サービス」のほか、Windows XPからの移行に関する情報収集を始め、運用までの一連のサービスをパック化した「Windows XP移行支援パック」を提供。さらに、「XP移行センター」を開設し、ユーザーやパートナーからの問い合わせにワンストップで対応する。

 富士通グループの中堅・中小企業ユーザー向けビジネスを担うのが富士通マーケティングだ。今回の移行サービスの拡充によって、同社直販営業体制に加えて、同社と取引がある全国の400社強のパートナー企業を通じて、Windows XPからの移行が遅れている中堅・中小企業へのアプローチを強化する考えだ。

 富士通マーケティングの浅香直也執行役員は、「当社から直販したユーザーで約20万台、パートナー経由で販売したユーザーで約20万台の合計40万台のWindows XPユーザーが残っていると試算している。依然として、半数のPCがWindows XPのままだと考えられる」とし、「多くの中堅・中小企業ユーザーに共通しているのは、Windows XPのサポート期限終了については知っていても、どうやったらいいのか、なにから手をつけていいのかが分からないという点。今回のサービスの体系化や支援パック、移行センターの設置は、そうしたユーザー企業が踏み出しやすい環境を提供するものになる」と位置付ける。

 1つ目の「Windows XP移行サービス」は、同社が提供してきたWindows XP移行に関する各種サービスを体系化。情報収集や計画、さらには設計、検証、展開、運用、PC3R(リデュース、リユース、リサイクル)に至るまでのサービスをワンストップで提供するものになる。

 「単なるハードウェア更新ではなく、スマートデバイスやシンクライアントの活用などによるワークスタイル変革の実現を支援するサービスになる」とする。

 Windows XPからのシステム移行に関する注意点や概要をセミナー形式で説明する「移行セミナー」の開催のほか、個別相談対応やWindows XP稼働機器の調査支援を実施する無料診断サービスを提供。ユーザー各社のIT環境に応じた最適なシステム移行方針および計画の策定支援、それに伴うハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク設計などを行なう。

 また、Windows XP資産のデータやインフラ、動作環境などの移行作業を支援。ユーザーからの問い合わせ対応やサポートを行なうヘルプデスクサービスも提供する。さらに、不要になったWindows XP搭載PCのデータ消去や廃棄、買い取りのほか、Windows 7およびWindows 8、Office 2010およびOffice 2013の操作方法などに関する集合教育およびeラーニング形式での教育環境を提供する。

 「富士通マーケティングには、SE、保守、運用サポートといったチームがあり、ワンストップで提案できるのが強み。自社のリソースだけでは対応できないというユーザー企業や、パートナーに対しても、富士通マーケティングならではの幅広いメニューで柔軟に対応することができる」とする。

 2つ目の「Windows XP移行支援パック」は、Windows XP移行サービスをベースに、中堅・中小企業ユーザーの移行をワンストップで支援するパッケージ型サービス。

 中堅・中小企業ユーザーの場合、情報システム部門を持たなかったり、専任の情報システム担当者がいないといったケースが多い。システム担当者がシステム移行作業に時間が割けないといった際に、同パックを利用することで、担当者の負荷軽減と迅速な移行対応を実現できるという。

 また、ユーザー企業の状況に合わせた対応ができるようにオプションを提供。「データ移行オプション」は、システム移行後も同じ環境ですぐに利用できるように、Windows XP搭載PCで利用していたドキュメントや画像などのデータ移行作業およびネットワークフォルダの設定作業などを行なう。「アプリ検証アドバイスオプション」では、Windows XP環境で動作していたAccessやExcelのプログラムおよびマクロ、あるいはIE6のWebアプリケーションの検証を支援し、改修方法などをアドバイスする。

 さらに「仮想化オプション」では、システム移行に関する時間や、コストの問題などから、一時的な延命を希望するユーザーに対して、同社のインフラソリューションサービスである「AZSERVICE」(アズサービス)を利用した仮想化環境を提供。新サービスとなる「AZBOX CLOUD DaaS for Windows XP」、「AZBOX Xen Desktop」、「AZBOX Xen App」によって、Windows XPをWindows 7およびWindows 8上で利用できる。

 「仮想化オプションは、単なる延命やセキュリティの強化ではなく、今後のシステム構築やワークスタイルにより最適なサービスを提供することで、将来につながる投資を実現するのが狙い。Windows XPのサポート期限終了に続き、2015年にはWindows Server 2003のサポート期限終了を迎える。Windows XPによるPCの移行だけを考えるのではなく、その翌年のサーバーの移行も視野に入れた提案が必要。まずは仮想化することで、その次の対策も打ちやすくなる」としている。

 なお、Windows XP移行支援パックの価格は、移行アセスメント、移行設計サービス、展開サービス、運用支援サービスによる構成で、25台の場合に99万円から、100台の場合には265万円からとなっている。

 Windows XP移行支援パックでは、6万社の利用を目指すという。

Windows XP移行サービス体系

 3つ目は、XP移行センターの設置である。Windows XPからの移行に関して、中堅・中小企業ユーザーやパートナーからの問い合わせに対して、ワンストップで対応する窓口で、インフラ、アプリケーション、仮想化技術などに関するプロフェッショナル人材を配置。同社が従来から提供してきたLCMサービスのノウハウをもとに、富士通マーケティングの総合力で高品質なサポートを提供できるとしている。

 「2013年4月から、問い合わせ窓口の中でWindows XPに関する対応を開始しており、これまでに約80件の問い合わせがあった。社内やパートナーからも問い合わせ窓口を明確化してほしいという要望もあり、独立した形でセンターを開設した。まずは10人体制でスタートするが、問い合わせ状況に合わせて柔軟に増員を図りたい」という。

 富士通マーケティングでは、ユーザーの要求に合わせてメニューを増やしていくほか、ユーザーが自ら移行を行なえるツールの提供などについても検討するという。

 また、サービスメニューや移行支援パックを、パートナーにOEMする仕組みも用意。富士通マーケティングのリソースと、パートナーのリソースとを組み合わせた展開も進めていくことになるという。

 さらに、「富士通のPCを対象にしたものではなく、他社製PCとの混在環境にも活用できるサービスであり、さらに富士通製PCが導入されていない企業に対しても提供していく。新たなユーザーを獲得するためのサービスにも位置付けたい」と語った。

(大河原 克行)