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ブラザー、高解像度化した単眼シースルー型業務用HMD

~焦点距離調整機能搭載する“ディスプレイ機能に特化”したHMD

「WD-200A」

 ブラザー工業株式会社は、一般業務用HMD「WD-200A」および医療機関用HMD「WD-250A」を発売する。発売日はそれぞれ7月下旬、10月下旬で、価格はオープンプライス。WD-200Aの実売想定価格は、250,000円前後の見込み。

 本製品の発表に伴い、都内で製品発表会が開かれ、ブラザー工業株式会社常務執行役員 松本勇美男氏、ブラザー販売株式会社ソリューション事業部長 西村賢治氏らが登壇。開発のコンセプトなどを語った。

ブラザー工業株式会社常務執行役員 松本勇美男氏
ブラザー販売株式会社ソリューション事業部長 西村賢治氏

 両製品は2012年6月に発売された同社業務用HMD「AiRScouter(エアスカウター) WD-100G/A」の新製品にあたり、前モデル同様に単眼シースルー型を採用し、画面を見ながら両手で作業が可能。エアスカウターで表示した情報と実視野の情報を、わずかな視線移動だけで見ることができるため、作業効率の向上やミスの防止に貢献するという。「ディスプレイ機能に特化することで、単眼式としてシンプルに使いやすいものを目指した」として、他社製品との違いをアピールしていた。

 発表会では、松本氏は本製品の特徴は「使いやすい」、「見やすい」、「繋がりやすい」の3点であると述べ、1点目の「使いやすい」については、装着方法を前モデルのメガネ式からヘッドバンド方式へ変更したこと、軽量化、フレキシブルアームによるディスプレイ位置の自由な配置を可能としたことで、長時間装着時の負荷を軽減したという。

 2点目の「見やすい」については、液晶解像度を1,280×720ドットへ高解像度化し、奥行き30cm~5mまで対応する焦点距離調整機能を搭載。実際に目視したい対象と映像の焦点距離を合わせることで、目への負担を軽減。

 3つ目の「繋がりやすい」については、入力インターフェイスをHDMI入力としたことで、既存のシステムに簡単に組み込むことができるとアピール。加えて医療モデルとなるWD-250Aは、医療機器の仕様に配慮し、ビデオ端子(RCAコンポジット)入力を追加で備える。

製品の特徴
ヘッドバンド式で装着感向上
フレキシブルアームで自由な配置
解像度の向上、焦点距離調整機能で見やすく
HDMI入力で簡単接続

 そのほかの主な使用は共通で、非透過/透過型両対応単眼方式採用ディスプレイ、内蔵バッテリ、外部バッテリ接続用USB micro-B端子を搭載。5段階明度調節、画面回転(左右切換)、キーロック、任意部分拡大モード(250Aのみ)を備える。

 HMDのサイズは182.9×266×28.8mm(幅×奥行き×高さ)で、コントロールボックスは84×115×28.8mm(同)。重量はHMDが約145g(ケーブル含)、コントロールボックスは約200g。ケーブル長は2m。

 内蔵バッテリ駆動時間はWD-200Aが約4時間、WD-250Aが約2時間。

 本製品は7月15日~17日に東京ビックサイトにて開催される「国際モダンホスピタルショウ2015」に展示される予定。

本体上面
コントロールボックス
装着時
右側面
左側面

 また発表会では、東京大学医学部との共同研究成果発表も行なわれ、東京大学医学部付属病院 22世紀医療センター 腎疾患総合医療学講座 血液浄化療法部 花房規男氏が登壇。血液透析を行なう際などの医療分野におけるHMDの有用性などについても語られた。

東京大学医学部付属病院 22世紀医療センター 腎疾患総合医療学講座 血液浄化療法部 花房規男氏
血液透析では超音波エコーを利用して針の穿刺が行なわれている
従来では手元を見ながら作業ができない
穿刺点を目視しながら穿刺が行なえない
HMDを利用することで問題を解決
しかし前モデルWD-100Aは焦点距離が合わず違和感が発生
入力がDVIのみで変換のために装置が大型に
WD-250Aでは小型軽量、眼鏡越しの利用に対応し焦点距離調整機能も搭載
実際の利用風景
血液透析におけるHMDを利用することで得られる利点
そのほかの超音波ガイドを利用した処置の例
医療現場におけるHMDの今後の方向性

【19時20分追記】製品発表会の模様を追加しました。

(佐藤 岳大)