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日本HP、Core M搭載の11.6型ビジネス向けタブレットなど

一挙投入するタブレットのラインナップ

 日本ヒューレット・パッカード株式会社は、ビジネス向けのタブレット8製品を3月上旬より順次発売する。

 複数の業種向けに特化し、合計8つのモデルを用意した。Core Mプロセッサ搭載で2-in-1にもなる高性能モデルから、Snapdragon 800搭載のAndroidモデル、同社初の8型Windowsタブレット、医療/現場向けなど多岐に渡るラインナップとなっている。

HP Elite x2 1011 G1

HP Elite x2 1011 G1(パワーキーボード装着時)

 「HP Elite x2 1011 G1」はCore Mプロセッサを採用した高性能な11.6型Windowsタブレット。オプションの「パワーキーボード」によって着脱式2-in-1となる。3月中旬発売で、税別直販価格は99,800円から。

 CPUやストレージ、OS、LTE通信モジュールの違いに加え、パワーキーボード添付の有無で8モデルを用意する。タブレット本体ではUSBなど汎用インターフェイスを備えていないが、WiGigに対応しており、オプションのWiGigドックで拡張して周辺機器を利用する。

 最小構成は、Core M-5Y10c(800MHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ4GB、128GB SSD、1,920×1,080ドット(フルHD)表示/タッチ/ワコム製デジタイザ対応11.6型ワイド液晶ディスプレイ、OSにWindows 8.1を搭載する。

 インターフェイスは、microSDカードスロット、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0、WiGig、200万画素前面/500万画素背面カメラ、音声入出力などを備える。

 バッテリは2セルリチウムポリマーで、駆動時間は約9時間(MobileMark 2010)。本体サイズは298×192.7×10.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約780g。

 パワーキーボードには6セルのリチウムポリマーを備えており、駆動時間を約14.3時間に拡張可能。キーボードとタッチパッドに加え、DisplayPort 1.2出力とUSB 3.0×2、スマートカードリーダ、指紋センサーを追加搭載する。なお、キーボードはバックライト付きとなる。装着時の本体サイズは298×206.1×20.8mm(同)、重量は約1.54kgとなる。

パワーキーボード装着によりクラムシェルノートのように使える
パワーキーボードにはDisplayPort出力やUSB 3.0などが装備される
SDカードスロットやスマートカードリーダも備えている
本体を閉じた時。ヒンジ部はやや出っ張る形となる
パワーキーボードから取り外せば純粋なタブレットとして利用可能
キーボードにはLEDバックライトを搭載しており、暗い環境でも視認できる
より軽量なトラベルキーボードも用意されるようだ
カバーが本体背面を覆うようになる。形状としては、コンシューマ向けの「HP Pavilion x2 10」に近い
こちらはカバーにもなる部分を折りたたんでスタンド代わりに使う
バッテリは非内蔵だが、パワーキーボードと同様キーボードバックライトは付いている
トラベルキーボードの左側面にはUSB 3.0ポートを装備する
左側面にはDC入力と音声入出力を備える
オプションで用意されるWiGigのドック。USBやディスプレイ出力端子を備えており、無線で接続可能だ

Bay Trail搭載のWindowsタブレットは4機種を用意

 SoCにBay Trailを採用したWindowsタブレットは、各種用途向けに特化した4製品をラインナップする。

 「HP ElitePad 1000 G2 看護タブレット」、「HP ElitePad 1000 G2 頑丈タブレット」はいずれも既存の「HP ElitePad 1000 G2」をベースとした高性能モデル。「HP Pro Tablet 10 EE G1」は学校教育向けのモデル。そして「HP Pro Tablet 408 G1」はHP初の8型Windowsタブレットとなる。

 主な仕様、発売日、価格などは下表の通り。

シリーズHP ElitePad 1000 G2HP Pro Tablet
製品名看護タブレット頑丈タブレット10 EE G1408 G1
想定用途医療現場土木現場教育現場ビジネス
CPUAtom Z3795Atom Z3736F
メモリ4GB2GB
液晶サイズ10.1型8型
解像度1,920×1,200ドット1,280×800ドット
OSWindows 8.1 ProWindows 8.1/8.1 Pro
本体サイズ(mm、幅×奥行き×高さ)278×207.5×20285.5×215×33280×182×14.4215×140×9
重量約1.1kg約1.45kg約845g約375g
駆動時間約10.8時間約20時間約9.5時間未定
防水/防塵IP54IP65IP52-
発売日4月上旬5月下旬3月中旬3月上旬
税別直販価格148,000円46,800円~39,800円~
看護タブレット(右)と頑丈タブレット(左)
看護タブレットの背面。シルバーを基調にしており、質感は高い
患者のスマートカードを読み取ることを想定してか、スマートカードリーダを備えている
底面のインターフェイス。医療向けながらHDMI付きなのはユニークだ。カバーには磁石が内蔵されており、開けたまま固定できる
プッシュでハンドルが取り付けられる穴が用意される
こちらは頑丈タブレットを手にしたところ
中央にハンドルを装備し、がっちりホールドできる。各種キーも背面に備わっている
底面のセンサーはバーコードリーダか
頑丈タブレットの底面。さすが現場利用を考慮していることもあり、シリアルポートやGigabit Ethernetといった一般的なタブレットではないインターフェイスを備えている
こちらはHP ElitePad 1000 G2にWindows Embedded 8.1 Industry Proをプリインストールしたモデル
HP初となった8型Windowsタブレット、HP Pro Tablet 408 G1
本体は比較的厚みがあるのだが、予想以上に軽く持ち運びやすい

Androidモデルも3機種をラインナップ

 Androidを搭載するタブレットは、教育現場向けの「HP Pro Slate 10 EE G1」と、紙などに書いた筆跡をデジタル化できる“HPデュエットペン”が付属した「HP Pro Slate 8」、「HP Pro Slate 12」の3機種をラインナップ。

 HP Pro Slate 8/12のHPデュエットペンは、タブレットの液晶の上の筆跡だけでなく、タブレットの横に置いた普通紙の上での筆跡を読み取りデジタル化できる。これはQualcommの技術を採用して実現したものとしている。また、表面にCorningのGorilla Glass 4を採用する点も特徴。

 主な仕様、発売日、価格などは下表の通り。

シリーズHP Pro Slate
製品名10 EE G1Pro Slate 8Pro Slate 12
想定用途教育現場ビジネス
CPUAtom Z3735FSnapdragon 800
メモリ2GB
ストレージ32GB
液晶サイズ10.1型7.9型12.3型
解像度1,280×800ドット2,048×1,536ドット1,600×1,200ドット
OSAndroid 4.4.4
本体サイズ(mm、幅×奥行き×高さ)280×182×14.4136.99×206.99×7.99221.95×300.3×7.99
重量約855g約350g約850g
駆動時間約10時間約13.75時間
防水/防塵IP52-
発売日4月中旬
税別直販価格44,800円69,800円79,800円
HP Pro Slate 8
HP Pro Tablet EE G1

タブレットが企業に本格導入される時期が来た

岡隆史氏

 1月26日に都内で開かれた記者会見では、同社 代表取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が、新製品を投入した背景について説明した。

 Hewlett-Packard(HP)は2012年に、2016年度末までの5カ年計画を発表したが、その核心となっているのが「3WAVES」と呼ばれる事業戦略である。1つ目は“既存技術”で、これがHPにとってはコアなビジネスでもあるのだが、今日の技術を活かして製品を顧客に提供するものである。2つ目は“次のトレンド”であり、生産効率のみならず顧客のクリエイティビティやインスピレーション、感性と想像を支えるためにPCの技術を応用することである。そして3つ目は今製品として存在しないものへの技術開発である。「HPは年間R&D(研究開発)の費用を10%ずつ増やして新しい技術の研究開発に携わっているが、これは5カ年計画の中でも重要な位置付けだ」とした。

 その中で今回の発表は、どちらかと言えば1つ目の既存技術の分野である。この分野においてHPは“モビリティ”という戦略を打ち立てている。「モバイルではなくモビリティと名付けているのは、ハードウェア製品としててはなく、モビリティに関するソリューション全体を企業に提供できるためだ」と謳う。例えばハードウェアで言えばさまざまな形状、OS、サイズ、オプション、セキュリティに関しても生体認証や暗号化、そしてサービスや管理などを、HPが一元に提供できるとアピールする。「顧客がモビリティに対するニーズはさまざまあるのだが、それぞれ掛け合わせただけの数のソリューションを提供する必要がある。今日は8機種を一挙発表したのだが、それは顧客の幅広いニーズに対応するために必須である」と語る。

 そして、このタイミングでタブレット8機種を一挙発表した背景についても「iPadから始まり、AndroidやWindowsタブレットが出揃った今、タブレットは企業での導入評価を終えた段階であり、タブレットによって生み出される効果が明確化してきた。これからいよいよ本格導入が進むと思われ、このタイミングで投入した」と説明した。

HPの3WAVES戦略
HPモビリティ戦略を実行する上で必須のニーズの多様化に対する対応
国内のビジネスタブレットの導入本格化に向けてのし上導入
製品説明を行なった同社 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 テクノロジー・ソリューション統括本部 本部長の九嶋俊一氏
HP製品のポートフォリオ
新製品のラインナップと位置付け
初の8型Windowsタブレット
HP Pro Slate 8/12に搭載されるデュエットペン
教育現場向けのモデル
HP Elite x2 1011 G1の特徴
WiGigを採用した無線ドッキングソテーション

(劉 尭)