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富士通エフサス、3つのXP移行サービスを提供

~過半数占めるXPユーザーの移行を促進

富士通エフサスの今井幸隆社長
8月30日 発表

 株式会社富士通エフサスは、Windows XP移行支援サービスを新たに提供すると発表。また、2013年12月までの期間限定で、「Windows XP移行診断サービス」を無償で提供することも明らかにした。

 富士通エフサスは、保守/運用サービスや機器販売などを担う企業で、国内に約4,000社、59万台のWindows XPユーザーを持つ。その内、約1割にあたる6万台が、すでにWindows 7および8環境に移行済みであるが、残りの53万台がまだ移行が済んでいない。これは、同社ユーザー全体のPC稼働台数が約100万台であるのに対して、半数以上を占める規模だ。これらの企業に対して、PCの買い換え提案のほか、3種類の移行措置を提案することで、Windows XPから移行を促進させる。また、富士通製PC以外のPCも対象にした移行サービスも開始する考えだ。

Windows XP移行支援サービスの概要

 富士通エフサスの今井幸隆社長は、「59万台のユーザーの内、84%のユーザーに対してはすでに移行に関する提案を完了している。新たなサービスを通じて、残りの16%のWindows XPユーザーに対しての提案を行なうとともに、他社製PCを利用しており、移行方法がわからないという企業に対しても提案していきたい」としている。

 提供するWindows XP移行支援サービスは、Windows 7やWindows 8を搭載したPCへの買い換え提案のほか、アプリケーション仮想化やデスクトップ仮想化といった「仮想化サービス」、既存PCを利用した「OS移行サービス」、一時延命措置となる「セキュリティ対策サービス」の3つを用意する。

 仮想化サービスは、VMware Horizon ViewおよびCitrix Xen Desktop 7を活用。仮想サーバー上にWindows XPおよびInternet Explorer 6を実装することで、アプリケーションなどを利用できる環境を実現する。

 OS移行サービスでは、VMware Horizon Mirageを活用し、OSやアプリケーション、データなどを5階層に分離。ユーザーが管理するデータはそのままに、IT部門が管理するアプリケーションやOS、ドライバライブラリなどをWindows 7などの最新環境に置き換える。移行に関わる作業時間が約70%削減でき、人件費も約70%削減できるという。

 セキュリティ対策サービスは、ふるまい検知型ウイルス対策ソフトの「FFR yarai」を使用。ヒューリスティック検出技術を利用していることから、既知および未知のウイルスの脆弱性攻撃を防御。情報漏洩を防止する。

Mirageを用いたOS移行の削減効果
FFR yaraiの概要

 「ユーザー企業が置かれた、それぞれの立場や要件にあわせて3つの最適解を用意した。セキュリティ対策サービスはyaraiのサポート期間に応じたもので一時的な延命措置であり、コストおよび短期間を優先する対策法。継続性はなく、アンチウイルスソフトウェアとの組み合わせで提案していくものになる。OSの移行サービスは、PCの性能が高いことが条件となり、対象ユーザーは少ないと考えている。仮想化サービスは初期投資費用が大きいが、互換性や運用面、継続性などではメリットがある。全体の2割が仮想化サービスを利用することになる」(今井社長)とみている。

 仮想化サービスを移行措置の重要な施策の1つに位置づけており、「今年7月時点のVCP取得者は524人、VMware Japan Partner Awardを3年連続で受賞するなどVMwareに関しては最高水準の技術力を持っている。また、Citrix Certified Administratorの取得者数が275人に達し、デスクトップ仮想化の技術者数では国内1位を達成している。仮想化のエフサスとして技術者育成に力を入れており、国内随一の技術者数を擁している。そうした強みを、Windows XP移行における仮想化サービスに活かしたい」(今井社長)としている。

 また、移行サービスの実施にあたり、移行相談サービスを無償で提供。これをもとに、新たなOS環境でのアプリケーションの動作検証などの移行サービス前検証を実施する。100台以上のPCを所有するユーザーを対象にヒアリングを実施し、Windows XPからの移行計画の提案を行なうもので、富士通製以外のPCも対象にするという。2013年12月末までの受付を対象に行なう考えだ。

 さらに、移行サービス前検証サービスを有償で提供。アプリケーションの対応状況や、改修に関わるコスト、時間、工数を元に仕分けを行ない、最適な移行方法を提案する。

 また、8月30日からは、Windows XP移行相談センターを開設。Webやフリーダイヤルを通じて、相談を受け付ける。他社製PCのユーザーも対象にする。加えて、グループ会社である富士通エフ・オー・エムと連携して、教育サービスを提供。「Windows×Office移行支援サービス」、「最新Office移行支援サービス」として、新たな操作環境や管理についての研修などを行なう。

 これらのサービスメニューは、富士通エフサスが半年以上に渡って展開してきた約4,000社への提案実績を元に体系化したものとなる。富士通エフサスは、2012年12月から、対象となる顧客をリストアップし、地区本部別、担当所課別、顧客別、機種別に販売リストを整備。これをもとに通知、提案を行なってきた経緯がある。

 「保守サービスや営業活動の際など、4,000人のサービスアカウントエンジニア(SAE)が、通知および提案を行なってきた。毎月20日に全国分を取りまとめて、進捗状況を本部別に報告し、全社において、重要な取り組みの1つとして、トップダウン型で推進してきた」(今井社長)という。中小企業を対象とする約700人の営業、SE、CEを対象に移行提案研修会を実施し、8月までに145人を対象に研修を完了。9月までに約8割を対象に研修を完了させる考えだ。

 一方、同社では、2015年7月にサポート期限が訪れるWindows Server 2003についても、すでに告知活動を開始しており、Windows XPからの移行措置とともに、移行提案を行なっていく予定だという。

 同社ユーザーでは、12,000台のWindows Server 2003が稼働しているとみられており、すでに84%のユーザーに対して通知、提案済み。9月以降、残り16%のユーザーに対して、提案を行なっていく考えだという。

(大河原 克行)