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アイ・オーがNASユーザー向けに無償提供する「XPかんたん移行ツール」とは

〜中小企業向けの手軽なデータ移行ソリューション

 株式会社アイ・オー・データ機器が、オリジナルソフト「XPかんたん移行ツール Powered by EasySaver4」(XPかんたん移行ツール)を7月10日に発売した。その名の通り、サポート終了期限が近づくWindows XPから、最新OSに移行する際にデータの移行を手助けするソフト。直販価格は1,980円だが、一部の同社製外付けHDDやNAS購入者には無償で提供する(優待販売対象製品もあり)。今回、同社担当者から本ソフトの狙いなどを聞く機会があったので、その特徴などをお伝えしたい。

 XPかんたん移行ツールは、同社が開発したバックアップソフト「EasySaver4」をベースに、旧PCから新PCへのデータ移行に特化したもので、数ステップの操作でマイドキュメントやメールなどを移行できる。XPかんたん移行ツールという名称だが、バックアップを行なう旧PCはWindows XP/Vistaに対応し、復元先の新PCとしてはWindows 7/8に対応する。

 前述の通り、有償のソフトだが、こちらのページにある対象NASおよび外付けHDDのユーザーには無償で提供する。

 データ移行ソフトは、古くからある。また、同社製品含め、バックアップソフトを添付する外付けHDD製品も数多くある。しかし、XPからのデータ移行に特化した独自ソフトを無償提供というのはほかにあまり例がない。Microsoft自身も公式ソフトとして「Windows転送ツール」などを無償提供しているが、それらではメールソフトやブラウザはOutlookやIEなどMicrosoft純正ソフトを対象としているのに対し、XPかんたん移行ツールは、メールクライアントはBecky!、Thunderbird、ブラウザはChrome、Firefoxも対象としている。

 専任のIT技術者はもとより、PCに詳しい社員すらいないこともある中小企業にとって、XPからの移行は頭の痛い問題だ。おそらく本誌を読んでいて、まだXPが現役稼働している企業があるとしたら、それはXPのサポート終了期限が近いのを知ってはいるが、何らかの理由で、移行をずるずると先延ばしにしているというケースが少なくないのではないだろうか。そういう場合、このアイ・オーのNAS+XPかんたん移行ツールは、検討に値するソリューションだろう。

 理由の1つは価格が安いこと。前述の通り、対象NAS/HDDユーザーならソフト自体は無償だ。所有してないユーザーの場合でも、HDDは1万円台、NASでも2万円台からの製品が対象に含まれている。業者のサービスを利用せず、自前でデータ移行をする場合、外付けHDDの類いは基本的に必須となる。そして、企業ユーザーなら、この機会にNASを導入しておけば、移行用の一時バックアップに利用した後も、通常のファイルサーバーなどとして活用できる。NASというと、ネットワークの設定が大変なのではという不安のあるユーザーもいるかもしれないが、基本的には細かいカスタマイズをしないのであれば、社内の有線LANにケーブル接続するだけで使えるようになる。

 そして、企業ユーザーの場合、ここが重要なのだが、XPかんたん移行ツールは、利用するPCの台数やユーザー数に関係なく利用できる。サードパーティ製のバックアップや移行ツールが付属するNASなどでは、そのソフトを利用できるライセンスに制限がある場合もあるが、XPかんたん移行ツールではそういった制限は設けられていないので、製品やライセンスの買い増しは必要ない。このあたりは、自社開発ソフトの強みだ。

 もう1つは、手軽さ。XPからの移行を阻むのは、どちらかというとコストよりも、知識がない、あるいは手間がかかるから放置している方が多いだろう。XPかんたん移行ツールの利用手順を大まかに言うと、インストールして起動し、「バックアップ」ボタンを押す。ただ、これだけだ。NASの場合は、インストール後に、ネットワークドライブに追加する一工程が追加されるが、一度でもソフトをインストールしたことあるユーザーなら、マニュアル通り作業すれば、躓くことはまずないレベルの簡単さだ。

 本ソフトは、移行元がXPの場合、デスクトップデータ(個人)、マイ ドキュメント、お気に入り(IE7、IE8、Chrome、Firefox)、メールデータ(Outlook Express、Outlook 2007、Windows Live Mail、Becky!、Thunderbird)、アドレス帳をまるごとバックアップしてくれる。

 バックアップが終了したら、移行先の新PCに同ソフトをインストールし、今度は「リストア」を実行。これで終了する。メールソフトについては、完全に自動化はできないが、ソフトごとに移行先でこれまでのメールデータを利用するための手順がマニュアルに細かく記されている。

 ちなみに、本ソフトはEasySaver4をベースとしているので、スケジュールバックアップしたり、フルバックアップを取った後に、自動的に決まった時刻に差分バックアップを取ったり、バックアップ完了後にPCを自動的にシャットダウンするといった機能もあるので、業務終了後に自動的にバックアップさせることもできる。

 今回、実際に本ソフトを試してみたので、スクリーンショットで手順を紹介する。利用した機材は、Windows XPおよび8搭載のノートPCと、4ドライブ4TB NAS「HDL-XR4.0W」。

利用したNASの「HDL-XR4.0W」
XPかんたん移行ツールのダウンロードはIOPortalから行なう。会員になってない場合は、会員登録を済ませる
続いて、購入したNAS/HDDのシリアル番号を入力し、
製品登録を行なう
トップページに戻り、ソフトウェアダウンロードの「ソフトウェア確認」を押すと、「XPかんたん移行ツール」が表示されているはずなので、これをダウンロード
利用するOSの選択画面が出るが、どれを押しても同じバイナリが落ちてくるので、ダウンロードは1回だけで良い
ダウンロードしたファイルを実行すると、デスクトップに解凍されるので
中にあるsetup.exeを実行する
画面の指示に従って、「次へ/はい」を3回ほどクリックするとインストールが完了するので、再起動する
再起動したら、XPかんたん移行ツールを起動
今回NASを利用するのも初めてという場合は、NASの保存フォルダを右クリックし、ネットワークドライブに追加する
XPかんたん移行ツールの起動画面。OSがXP/Vistaの場合、メニューは「バックアップ」しか現われない
バックアップをクリックすると、バックアップ先の選択画面が出るので、
外付けHDDやネットワークドライブに設定したNASを指定する
特にバックアップの細かな設定はないので、そのままバックアップを開始する
バックアップファイルに対するパスワードを設定する
後はバックアップが完了するのを待つ。メニューの編集から、バックアップのスケジュールを指定することもできるので、ずっとPCの前に張り付いておく必要はない
続いて、移行先のPCにXPかんたん移行ツールをインストール。今度は「リストア」しか表示されない
バックアップを保存した場所を聞かれるので、指定する。こちらもNASを初めて利用する場合は、同様の方法であらかじめネットワークドライブに追加しておく。バックアップのタイトルには、PC名が表示されるので、企業で複数台をバックアップした場合も、見分けられる
先に設定したパスワードを入力
一括でリストアするかどうかを選択。新規マシンなら一括で問題ない。フォルダごとにリストアしたい場合は、いいえを選択
バックアップの時と同様の画面で、リストアが始まる
同名のファイルがある場合は、上書きするかどうかの確認が表示される
後は待っていれば完了

 以上、簡単にではあるがXPかんたん移行ツールを紹介した。解説の量が少ないのは、このソフトがそれだけ手軽であることの証でもある。とりあえず、NASや外付けHDDを用意し、旧PCと新PCでこのソフトを実行すれば、データが移行される。

 ただ、このソフトは、これだけあれば何でも移行できるというわけではないことは留意されたい。まず、ユーザーがインストールしたアプリは移行されないので、新PCでも利用する場合は、別途インストールする必要がある。また、データの保存場所がマイ ドキュメント以外にある場合、バックアップの対象外となってしまうので、一時的にマイ ドキュメントに移すなりの作業が発生する。

 総合すると、XPかんたん移行ツールは、アプリをインストールし、OSでネットワークドライブを追加できる程度の知識があり、自前でデータ移行をするというユーザーに好適で、安価なソリューションだ。

 同社では、法人向け問い合わせ窓口を設けているので、このソフトが気になった、あるいは、このソフトで自社の状況に対応できるのか知りたい、といった場合は、まず問い合わせてみると良いだろう。

(若杉 紀彦)