ここにきて、春の新製品の最後発組がようやく発売され、実販価格が明確になったため、前回から約半月で新しいランキングをお届けする。夏のボーナスをターゲットとするニューモデルの発表も一部始まっており、今後もなるべくこまめに更新していきたい。
クラス分けは前回から変更していない。新たにランク入りしたのは、先だって発表されたばかりの富士フイルムの「FinePix2900」と「FinePix1500」の2機種のみで、あとは順位の入れ替えにとどまっている。
前回も書いたが、今春のメインは200万画素クラスのモデルだ。プリント時の画質を考えると200万画素クラスは最低ラインであり、“カメラ”としての完成度も、従来の130~150万画素モデルよりも遙かに高い。また、PCのディスプレイ上で利用する場合でも、もともとの情報量が多いため、縮小してリサイズしたときの画質は、メガピクセル機よりも優れている。いま買うのなら、若干割高でもこのクラスを選んでおけば、進化の激しいデジタルカメラでも長期間安心して使える。
また、ここにきて、130~150万画素クラスにも魅力的な新製品が登場しており、実用性や携帯性、コストパフォーマンスといった点で、画質や機能優先の200万画素級モデルとはひと味違った魅力ある分野になりつつある。
なお、本ランキングは、一般的なユーザーがデジタルカメラを購入する際のオススメ度を基準に、順位を決定している。しかも、筆者自身が実際に使い、実写した感想をベースに、機能やデザイン、画質のほか、更新時の実販価格も考慮したものとなっている。また、本ランキングは基本的に発売後の製品を対象としているが、発売前でも製品版相当のものが入手できた製品はランキングの対象としている。
注:各分野の得点はカメラの特徴を分かりやすくするために便宜的につけているものです。順位は製品の質とか使いやすさのような数字に表われない部分も含めて総合的に判断していますので、必ずしも合計点と順位は一致しません。
順位 | メーカー名 | 機種名 | 画質 | 機能 | 操作性 | 軽快感 | デザイン | 携帯性 | コストパフォーマンス |
1 | オリンパス | C-2000ZOOM | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 |
2 | ニコン | COOLPIX950 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ |
3 | 富士フイルム | FinePix2900Z | ★★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ |
4 | リコー | RDC-5000 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 |
●200万画素級ズーム機
200万画素級のズーム機は6月7日現在、まだ4機種しかない。そのため、今回はベスト4となった。
1位は前回同様「オリンパス C-2000ZOOM」とした。正直なところ、総合的な実力は2位の「COOLPIX950」とほぼ互角だ。しかし、本ランキングは一般的なユーザーを前提としているため、撮影のしやすさと軽快さを重視して、今回も本機をトップとしている。
2位は「ニコン COOLPIX950」。画質面ではC-2000ZOOMを上回っており、カメラのカスタマイズ機能なども充実した高機能モデルだ。だが、スタイリングが特殊で慣れを必要とする点と、液晶モニターが暗く、日中屋外での視認性が低い点で2位とした。また、品切れの店が多く、容易に入手できないのも大きなマイナス点だ。
なお、この2機種については、具体的な違いについて比較レポートした「COOLPIX950 V.S. C-2000ZOOM」を参照してほしい。
3位は新製品の「富士フイルム FinePix2900」。待望の3台目の230万画素3倍ズーム機だ。これで、ようやく三つ巴状態になり、選択肢が広がった。
本機は実用性重視のモデルであり、C-2000ZOOMとCOOLPIX950に対すると、“派手さ”や“色気”が感じられず、やや不器用な印象さえ受ける。しかし、シーン自動認識オートホワイトバランス機能の採用で、オートのままでも見た目に近い自然な色調が得られる点は大きな魅力で、ライバル2機種のオートホワイトバランス機能が貧弱なだけに本機の特徴となっている。また、原色系CCDならではのクリアな色調も魅力的だ。
解像感もFinePix2700に比べて明らかに向上しており、細部の描写も2700ほど不自然な感じはない。ただ、あまりに実用本位なデザインや質感であり、速くなったとはいえ5秒間の記録待ちもストレスを感じる。そのため、今回は3位止まりとした。なお、発売前のモデルのため、すでに一部で始まっている予約価格を基準に評価している。
【実写画像】
4位は「リコー RDC-5000」。このモデルは、本格的な高機能機というよりも、シンプルで親しみやすい方向を目指している。ズーム比も上記の機種が3倍なのに対し、2.3倍とやや寂しい。また、軽快感に欠ける部分がある。画質的には原色系CCDらしい派手めな色調だ。ズーム機としては実販価格がかなり手頃なレベルになってきている点は魅力。
【実写画像】
順位 | メーカー名 | 機種名 | 画質 | 機能 | 操作性 | 軽快感 | デザイン | 携帯性 | コストパフォーマンス |
1 | エプソン | CP-800 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 |
2 | ニコン | COOLPIX700 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ |
3 | 東芝 | M4 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 |
4 | ソニー | DSC-F55K | ★★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★ |
5 | 富士フイルム | FinePix2700 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★1/2 |
●200万画素級単焦点モデル
200万画素級の単焦点タイプは各社から続々登場しており、今回のランキングはすべて発売済みのモデルとなっている。このクラスはそれぞれ特徴があり、評価するポイントによっては、どの機種がトップになってもおかしくないほどの実力を備えている。今回もいくつかの機種の順位を入れ替えている。
1位は「エプソン CP-800」。前回は2位だったが、今回は実販価格と使い勝手の良さを考えてトップとした。本機の場合、COOLPIX700やM4に比べて実販価格はやや高めだが、接続キットや画像ソフト、充電池や充電器まで込みでの販売のため実質的な差は少ない。さらに、使い勝手の良さや携帯性といった点で、価格差を上回る魅力があり、今回トップとした。
本機は、単三電池を使いながらも薄型で携帯性にすぐれている。機能面では高級ズーム機に匹敵するレベルにあり、操作性もよく練られていて使いやすい。もちろん、単三電池2本という仕様のため、電池の持ち時間は短いが、ニッケル水素電池が予備を含めて4本付属している点は親切だ。
【レポート】
2位は「ニコン COOLPIX700」。このモデルの魅力はバランスが良く、誰でも安心して撮影できる点。また、機能も充実しており、凝った撮影も十分に楽しめる。CP-800との実販価格の差は約1万円あるが、接続キットや充電池や充電器のコストを考えると、CP-800の方がお買い得となるため、今回は2位とした。また、以前レポートしたが、比較的暗めのシーンで若干フレアっぽくなる傾向がある点と、USB対応でない点がやや気になる。
【レポート】
3位は「東芝 Allegretto M4」。前回は4位だったが、軽快さと、7万円弱と手頃な実販価格により3位とした。
本機は、東芝が独自に設計した、コンパクトな214万画素モデルだ。なにより、たった1秒で次のシャッターが切れる(液晶モニター使用時で撮影後のプレビューをOFFの場合)という、現行機で最速の軽快さを誇る。操作性も良好。画質は、解像度が高く色調も適度に鮮やかだ。ただ、実効感度が低めでブレやすい点と電源が特殊形状の充電池である点はやや残念。
【実写画像】
4位は「ソニー Cyber-shot DSC-F55K」。デジタルカメラならではの楽しさを感じさせる、数少ない200万画素モデル。だが、単焦点タイプとしては実販価格が高く、3倍ズーム機と同レベルである点を考えて、今回はあえて4位止まりとした。
とはいえ、画質もなかなか良好で、原色系CCDらしいクリアでヌケのいい色調は大きな魅力。起動時間や記録待ちも早くて軽快であり、MPEG-1での動画撮影も便利。透過/反射両用の液晶パネルの使い勝手も良好だ。欠点としては、スローシャッターがないため、暗いシーンではゲインアップされてノイズっぽくなる点、絞り羽根の形状がいびつで点像のボケが四角くなる点、メモリースティックがまだ16MBまでしかない点などが挙げられる。強い個性を備えた魅力的なモデルだけに、7万円台前半で購入できるようになるといいのだが。
【レポート】
5位は「富士フイルム FinePix2700」。いまや7万円弱で入手できる本機だが、このモデルは目的によって評価が分かれるところ。本機は、携帯性がよく、画質面でも色調や階調性はトップレベル。解像感はもの足りないが、サービス判程度のプリントなら十分な実力といえる。また、起動は速いのだが、記録待ちには約7秒もかかり、再生時のコマ送りも遅い点はライバル機に対して見劣りがする。とはいえ、遅さや解像感がさほど気にならない人には、なかなかお買い得なモデルといえる。
【レポート】
順位 | メーカー名 | 機種名 | 画質 | 機能 | 操作性 | 軽快感 | デザイン | 携帯性 | コストパフォーマンス |
1 | 富士フイルム | FinePix1500 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★ |
2 | キヤノン | PowerShot A50 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★ |
3 | コダック | DC240 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★1/2 |
4 | 三洋電機 | DSC-X110 | ★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★★1/2 | ★★★1/2 |
3 | オリンパス | C-900ZOOM | ★★★ | ★★★1/2 | ★★★1/2 | ★★★ | ★★★★ | ★★★1/2 | ★★★ |
番外 | ソニー | DSC-D700 | ★★★★ | ★★★★1/2 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★1/2 |
●200万画素未満
昨年主流だった200万画素未満のクラスだが、ここにきて“手軽な実用機”としての新展開が始まっている。
もともと、このクラスは、使用目的がテレビ画面やPCのディスプレイでの利用や、比較的小さなサイズのプリントなどの場合には、必要十分なレベルの実力だ。そして、このところ登場している新機種は、機能やサイズ、デザイン、コストパフォーマンスといった面で、200万画素モデルを上回る魅力を備えている。今後は高機能や高画質よりも、低価格化を目指す方向に進んでいくだろう。
1位は新製品の「富士フイルム FinePix1500」とした。薄型の150万画素(有効画素数131万画素)単焦点レンズ搭載機で、手軽で携帯性がいい。CCDは新設計のもので、画質は昨年のFinePix700よりも1ランク上で200万画素モデルに迫る実力を備えている。また、シーン自動認識オートホワイトバランスにより、オートのまま見た目に近い色再現性が得られる点も大きな魅力だ。
起動時間は約2秒、記録待ちは約4秒と実用十分なレベルだ。また、電源は単三型2本だが、付属のニッケル水素電池を使えば、液晶ファインダーメインでも100枚前後の撮影ができる。しかも、実販価格は5万円を切るお買い得さ。気軽なスナップ用はもちろん、“通の常用機”としてもオススメだ。
【実写画像】
2位は「キヤノン PowerShot A50」。このモデルは、今春登場したこのクラスのなかでも、ひときわスタイリッシュ。価格も接続キット込みで6万円前後と、かなりお買い得だ。A5 ZOOMに比べると記録待ち時間も短くなり、画質も向上している。おとなしい色調は従来のままだが、全体に完成度の高いモデルに仕上がっている。
3位は「コダック DC240」。新世代130万画素ズーム機ながらも店頭では6万円前後とお手頃な価格だ。さらに、従来の同社モデルとは比較にならないほどの高速化が図られており、軽快で気持ちよく撮影できる。画質面で若干の問題はあるが、近日中にファームウェアのアップデートにより解消される。
【レポート】
4位は「三洋電機 DSC-X110」。瞬間記録の超軽快85万画素モデル。本格的な動画対応も魅力的だ。なお、ハードウエアは共通で、ファームが一世代前の「DSC-X100」の実販価格が下がっているため、場合によっては、DSC-X100を購入し、5,000円のファームのアップグレードサービスを受けた方がお買い得な場合もある。
しかし、さすがに85万画素では物足りなくなった感じもある。CeBITで参考出品された150万画素モデルの早期登場を期待したい。
【実写画像】
5位は「オリンパス C-900ZOOM」。昨年後半の大ヒット作であり、大きめだが完成度の高いモデルだ。最新のこのクラスの機種と比べると、遅さを感じる部分もあるが、デザインや親しみやすさといった点では現行機でもトップレベルの実力といえる。
【レポート】
番外は「ソニー Cyber-shot PRO DSC-D700」。今回、あえて番外としたのは、いまだにパーソナル機で、本機ほど本格的な機能を備えたモデルが他に見あたらないからである。一眼レフファインダー、光学式5倍ズーム、フルマニュアル機能など、他機種では得られない世界を備えており、唯一無二のモデルというわけだ。その意味では、200万画素未満の機種でも、積極的に選ぶ理由のあるモデルといえる。また、今春、ファームの無償バージョンアップが実施され、画質の向上やAFレスポンスなどもかなり改善されている点も魅力だ。
【レポート】
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[Reported by 山田 久美夫]