プロカメラマン山田久美夫の

ソニー「Cyber-shot PRO」超ファーストインプレッション

Cyber-shot PRO  ソニーから待望の本格派モデル“Cyber-Shot PRO”こと「DSC-D700」が登場した。

 今回はベータ版モデルが入手できたので、発表資料などではわかりにくい点を中心に、超ファーストインプレッションをお届けしよう。最初にお断りしておきたいのは、今回使用したモデルはあくまでもベータ版であり、製品版ではかなりのリファインがなされる可能性がある。これは画質に関しても同様であり、真の実力は製品版でのレポートまでお待ちいただきたい。

 なお、仕様などについては関連記事をごらんいただきたい。



●高級感のある一眼レフ風ボディー

 手にした感じは、まさに35mm一眼レフの雰囲気だ。デザイン的には「オリンパス C-1400L」などに近い感じもあるが、サイズは明らかに一回り大柄。重さも820gと同機より約340gも多い。だが、その分、手にズッシリとした感触があり、フラッグシップモデルらしい高級感を感じさせる。

 ファインダーはいわゆる光学式の一眼レフタイプと、液晶モニターの両方が利用できる。一眼レフといっても、レフレックスミラーがあるわけではなく、レンズを通った光をフォーカシングスクリーン上に結像させて、フレーミングやピントを確認できる形式になっている。もっとも、ベータ版モデルではファインダーの明るさを優先させた結果、フォーカシングスクリーン上でピントが確認しにくい点が気になった。だが、このあたりは製品版では改良される可能性があるという。

 液晶モニターは2.5インチと大きな低温ポリシリコンTFT。表示レスポンスは高速で、表示もシャープなため、液晶モニター上でピントを確認しながらのマニュアルフォーカシングも可能だ。また、本機には液晶モニターの明るさやコントラスト、彩度などを細かく調整できる機能があり、モニター表示と撮影結果との差を少なく調整することができる点もうれしい。

 オートフォーカスはCCDによるコントラスト検出式のTTL AF。測距精度は実用十分なレベルだが、測距速度はライバル機に比べ、意外に遅め。また、測距が苦手なシーンも多く、暗い場所では測距不能になるケースもあった。

参考出品時のボディ 参考出品時のボディ 参考出品時のボディ
PCMCIA Type2の
スロットを備える
交換式に見えるが
交換できないレンズ
ボディ側面には諸機能を
呼び出せるダイアルがある


●撮影意図を反映しやすいAE機能

 機能は充実している。とくに露出モードは充実しており、プログラムAEのほか、35mm一眼レフと同じように、絞りやシャッター速度を優先させた自動露出機能も備えている。そのため、絞りを開いて背景をボカしたような作画や、高速シャッターやスローシャッターを生かして被写体の動きを表現するといったテクニックを活用することもできる。

 ただ、ベータ版モデルでは、AE(自動露出)モード時にはシャッター速度が1/30~1/2,000秒までの範囲しか連動せず、スローシャッターが使えない点は気になるところ。ぜひ製品版では、連動範囲がスローシャッター側まで広がることを期待したい。

マクロ撮影

シャッター速度優先

絞り優先AE

絞り優先AE
マクロ撮影 シャッター速度優先 絞り優先AE
【721KB】
1/2000秒
【753KB】
【718KB】
1,024×1,344ドット
【91KB】


●待たされ感のない軽快な使い心地

 起動時間は約5秒。画像の記録時間はJPEGの標準圧縮となるミディアムモードで約3秒と高速な部類。しかも、3MBのバッファーメモリーがあるため、バッファーがフルになるまでは連続的に撮影できるので、ほとんど待たされ感はなく、撮影感覚は十分に軽快だ。

 また、本機はカスタマイズ機能が充実しており、撮影後、自動的に撮影画像を液晶モニター上に表示するかどうかを、ユーザー自身が選択できる。さらに表示する時間も1秒単位で設定できる点も便利だ。また、レビューボタンを押すだけで、最後に撮影した画像を簡単に再生できる機能がある点も親切だ。


●使い勝手のいい5倍ズーム

 レンズは35mmカメラ換算で28~140mm相当の5倍ズーム。もちろん、レンズは専用設計で解像度を重視したものとなっている。そのため、他のズーム付きモデルに比べると、レンズは大柄だが、5倍ズームとしては比較的コンパクトなものに仕上がっている。

 明るさもF2~2.4と、十分に明るい。その割には絞りが開放近くになる、レンズ性能の点で厳しい条件下でも、解像度は意外なほど高い。もっとも、望遠側で絞り開放になる条件では、若干だが画像のニジミも見られた。

 実際に使ってみると、屋内撮影やスナップに便利な28mm相当のワイドから、十分な望遠効果が体感できる140mm相当までの常用域を、ズーミングだけでフルにカバーできる点は実に便利。数字的には3倍ズームの両側が多少広がった程度に思われるかもしれないが、使い勝手は格段によく、フロントコンバーターを併用したいと思うケースは3倍ズーム機に比べて遙かに少なかった。

定点比較

夜景

定点比較 定点比較 定点比較 夜景
ワイド端【711KB】
定点位置【717KB】
テレ端【728KB】
【125KB】


●ベータ版ながらもクラストップレベルの高画質

 画質はなかなか良好。とはいっても、まだベータ版だけに、荒削りな感じもある。解像度は十分に高く、現時点でも明らかにクラストップレベルの実力といえる。また、色再現性は見た目よりも派手め(彩度が高く)なる傾向があり、イエロー系の彩度がやや高すぎる感じがする。階調の再現域はパーソナル機のなかでも広い部類だが、ハイライト部の白飛びを抑えたせいか、ハイライト付近の階調性がやや不自然な感じもある。また、全体にややノイズっぽい感じがあり、なかでもブルー系色の部分(青空など)のノイズは気になるレベルだ。

 もちろん、今回実写したボディーはベータ版だけに、製品版ではこれらの欠点が解消されることを大いに期待したい。

一般撮影

一般撮影 一般撮影
一般撮影 一般撮影
【709KB】
【709KB】
【726KB】
1,024×1,344ドット
【123KB】

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/index-j.html
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199809/98-087/index.html
□関連記事
【'98年9月7日】「ソニー、5倍ズーム付き一眼レフデジタルカメラ『Cyber-shot PRO』」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980907/sony.htm
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

■注意■

('98年9月7日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp