鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第165回:5月7日~5月11日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


5月8日

■■ 元麻布春男の週刊PCホットライン
   DirectX 8に完全対応したGeForce 3搭載ビデオカード
   WinFast GeForce3を試す(前編)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010508/hot144.htm

アンチエイリアス(antialiasing)
 アンチエイリアス

 音や画像のデジタル化やアナログ化に際して生ずる歪みを除去すること。

 デジタル化は、時間や空間などの連続領域を離散的にサンプリングし、連続する強度の分布を離散値にまるめていく(量子化)作業である。

 サンプリング時には、そこに含まれる周波数成分に見合った充分なサンプリング間隔が必要である。例えば、1mm幅の線が1mm間隔で引かれていたとしよう。これをちゃんと再現しようとしたら、少なくとも1mmに1回は線の有無を確認しなければいけないということが容易に想像できるだろう。1cmあたり5本の線を、2倍の10回以上でサンプリングするということだ。サンプリングの回数が足りないと、ところどころ線が太くなったり間隔が長くなったりするところが出てくる。本来の情報に、周期の長い別の情報が混ざってしまうのだ。音の場合も、サンプリング間隔であるサンプリング周波数の半分を越えると、同じ様に本来の周波数よりも低い周波数成分が表われて来る。

 このサンプリング周波数の半分をナイキスト周波数といい、ナイキスト周波数を越えてしまったために、低い別の周波数の情報が混ざって生じる歪みを、一般にエイリアシング、あるいは折り返し歪みと呼んでいる。

 エイリアシングを除去するためには、ナイキスト周波数を越える有害な高域成分をカットする。このような処理をアンチエイリアシングといい、そのためのハイカットフィルタ(ローパスフィルタ)を特に、アンチエイリアシングフィルタと呼んでいる。

 時間方向のサンプリングである音の高域成分は、音の高域そのものなので感覚的にも分かりやすいが、空間方向のサンプリングである画像の高域成分というのは、ちょっと分かりにくいかも知れない。周波数が高いというのは、変化が急激な信号ということなので、これを空間方向に当てはめると理解しやすい。すなわち、輝度が急激に変化するような部分の、変化の度合いをやわらげるのが画像のアンチエイリアスという


■■ 本田雅一の週刊モバイル通信
   今さらながら、持ち歩きのススメ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010508/mobile100.htm

Cookie
 クッキー

 Webサーバーとクライアントであるブラウザ間で、管理用のデータをやり取りするための仕組み。

 Webサーバーとクライアント間のプロトコルであるHTTP(HyperText Transfer Protocol)は、クライアントのリクエストに応えて、サーバーがドキュメントなどを転送する一方通行のプロトコルである。接続切断も、リクエストの度に行なうのが基本となっているため、プロトコルの中でユーザーや接続状態を管理することができない。そこで、クライアントに一時的あるいは永続的に保存してもらう特定の情報を、リクエストや応答のヘッダの中に折り込む方法が、Netscape Communicationsによって考案された。これをCookieという。

 Webサーバーは、必要に応じて「Set-Cookie」ヘッダを使い、Cookieの名前とその値、適用するドメイン名(当然そのサーバーのドメイン)、パス、期限などの情報をクライアントに送る。これを受け入れたクライアントは、サーバーの要求に従い、その後のリクエストのヘッダには、保存したCookieを記述して送る仕組みになっており、接続切断を繰り返す状況下でセッション情報を維持したり、継続的な情報交換を行なったりといったことが可能になる。

□RFC2109 - HTTP State Management Mechanism
ftp://ftp.nic.ad.jp/rfc/rfc2109.txt


5月11日

■■ MSI、GeForce3搭載ビデオカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010511/msi.htm

テクセル(TEXEL~TEXture ELement)
テクセルフィルレート(texel fill rate)

 テクセルは、テクスチャ(Texture)を構成する単位で、テクスチャ画像のピクセルのことをいい、このテクセルの処理速度をテクセルフィルレートという。

 3Dグラフィックスでは、立体の表面をリアルに表現するために、表面に画像を貼り付ける手法がよく用いられる。これをテクスチャマッピングといい、貼り付ける画像をテクスチャという。テクスチャそのものは、ピクセル(pixcelはpicture elementの略)と呼ばれる点の集まりで描かれた普通の画像だが、描画に際しては、適用する立体の形状や適用範囲、視点などの関係から、実際に描画される個々のピクセルを計算して生成する。このマッピング処理のことをテクスチャフィルタリングといい、実際に描画されるピクセルに対して、テクスチャ自身が持つピクセルのことをテクセルと呼んでいる。フィルタリング時には、1つのテクセルが複数のピクセルに拡大されることもあれば、複数のテクセルが1つのテクセルにマッピングされることもあり、2次元のグラフィックスのように、1対1で対応するケースは稀である。

 グラフィックスエンジンが、1秒間に描画できるピクセル数をピクセルフィルレートという。これは、ピクセル……すなわち描画スクリーンにアクセスするスピードで、クロックとパイプラインの数で決まる。テクセルフィルレートは、テクセル……すなわちテクスチャにアクセスするスピードのことで、1秒間に処理できるテクスチャ数で表す。こちらは、クロックとパイプライン、クロックあたりの処理テクセル数で決まる。

【参考】
□テクスチャマッピング
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990311/key68.htm#Texture_Mapping
□パイプライン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#pipeline


■■ コダック、ニコンF5ベースの600万画素プロ用一眼デジタルカメラ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010511/kodak.htm

ISO感度(ISO speed)
 イソかんど

 ISO(International Organization for Standardization~国際標準化機構)が規定する、フィルムなどの写真材の感光度。

 フィルムでは、「ISO 100」などと表記されているもので、数値が大きいほど、感度が高いことを意味する。古くはASA(※1)と呼ばれていたものと同じで、DIN(Deutsches Institut fur Normung~ドイツ工業規格)の感光度とともに「ISO 100/21゜」というように併記されることも多い。

 フィルムの感度は、規定された現像方法で、光が全くあたらなかった部分から、濃度が0.1高くなる部分の露光量を計り、これを元に付けたインデックス番号で表す。カメラでいう露光量の場合は、一般にレンズの絞りとシャッター速度を組み合わせたEV(Exposure Value)値なのだが、定量的な露光量は、照度と時間の積(ルクス秒)だ(※2)。ISO感度もDIN感度も、この基本部分は同じなのだが、インデックスの取り方が異なる。

 DIN感度は、濃度を0.1高くするために必要な露光量の逆数の常用対数値の10倍と定義されているので、「0.01ルクス秒」必要ならば「10×log(1/0.01)=20」で、DIN感度は「20゜」となる。また「1÷10の(DIN感度÷10)乗」とすれば、DIN感度から露光量を逆算できる。一方のISO感度の方は「0.8÷露光量」と表されるので、「0.01ルクス秒」必要なら「0.8÷0.01=80」となる。いうまでも無いが、露光量の逆算は「ISO感度÷0.8」だ。

 さて、先ほどから再三登場する「濃度」だが、これはフィルムの透過率の逆数の常用対数値のことである。したがって濃度0.1というのは、「1÷(10の0.1乗)≒0.8」という透過率であり、「DIN 1」と「ISO 1」が等しい関係にあることがわかる。その後は、常用対数値の10倍をとるDIN感度が3段で約2倍の感度(露光量は約1/2)に、ISO感度の方はそのまま露光量の倍率でシフトしてゆくのだが、ISO感度は、2倍の間隔を1/3段ずつにしDINとの整合性を保つ様にしている。「 80、100、125、160、200…」というISOのステップが、そのまま「20゜、21゜、22゜、23゜、24゜…」に対応しているのである。

(※1) ASA(American Standards Association)は、現在のANSI(American National Standards Institute)の設立当初の名称。

(※2) 1ルクスを1秒照射したのが「1ルクス秒」。フィルムの特性表では、露光量に常用対数値をとるので、1ルクス秒の「0」を中心に、「10ルクス秒=1」「0.1ルクス秒=-1」という様に、大きいほうが正、小さい方が負となる。

【参考】
□絞り優先AE(AE~Auto Exposure)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990527/key77.htm#AE
□ホワイトバランス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990708/key83.htm#WB
□F値
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000224/key109.htm#F

[Text by 鈴木直美]


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