NEW PRODUCTS TESTREPORT

	コンパックコンピュータ
	iPAQ Pocket PC H3630
	StrongARMを搭載した高性能Pocket PC
	TEXT：一ヶ谷兼乃　Kenno Ichigaya

操作ボタンのデザインはややクセがあるものの、全体的に高級感があるH3630

　現在のPDA市場において、PalmOS搭載機やザウルスと人気を競っているのがWindows CE3.0を搭載したPocket PCだ。そのPocket PCの中でも、欧米で発売直後からバックオーダーを抱えるほどの人気を得ているiPAQ Pocket PC H3635が日本語化され、「iPAQ Pocket PC H3630」となってコンパックコンピュータから発売された。

　H3630は、CPUに32bitのRISCプロセッサIntel StrongARM 206MHzを搭載しており、Pocket PCとしては現時点でもっとも高い処理能力を誇る。内蔵メモリとしては32MBのROMと32MBのRAMが搭載されている。ディスプレイは横240ドット、縦320ドット表示に対応した反射型TFT液晶パネルで、4,096色のカラー表示が可能。液晶の上部に輝度センサーを搭載し、使用環境の明るさに応じてフロントライトが5段階に変わり、最適な表示が確保される。バッテリは、リチウムポリマー充電池で、一回の充電によって、最大12時間の連続動作が可能だ。

標準添付のIPP CFカード拡張パックを使用することで、コンパクトフラッシュの利用が可能となる

　本体サイズは幅83.5mm、高さ130mm、厚さ15.9mmとなっており、日本人男性の標準的な手の大きさにもピッタリと収まる。主な操作は本体に内蔵されているスタイラスペンで画面を直接タップするほかに、画面下のボタン群を使用する。画面下中央にある操作ボタンには、スピーカーが内蔵されている。このスピーカーはPocket PCとしては大型で、ユーザー側に向けられていることから、比較的聞き取りやすい。

　搭載されているOSはWindows CE 3.0だが、そのビルドは最新の「Build 9558」を採用している。バンドルアプリケーションには、MPEG4動画データが再生できるPVPlayer for Pocket PCやMP3データを再生するBeatnik Player for Pocket PCをはじめ、JPEG画像データを表示するビューアや小づかい帳ソフト、交通機関の乗り換え案内ソフトなどが用意されており、必要に応じて付属CD-ROMから内蔵メモリへとインストールして使用する。

本体上部にはヘッドホン端子のほか、赤外線通信ポートも備えている。また、スタイラスペンは左側のボタンを押すと、飛び出す

　H3630の魅力としては、基本性能の高さに加えて、本体をすっぽり包み込む「ジャケット」と呼ばれる拡張パックを利用することで実現された高い拡張性が挙げられる。CF Type2に対応した「IP CFカード拡張パック」が標準装備されており、コンパクトフラッシュメモリサイズのカード型PHSを使ったインターネット接続や、CFタイプのNICを使って既存のLANに接続することも可能だ。ジャケットには、そのほかにPCカードが利用でき、バッテリを内蔵した「IPP PCカード拡張パック」が用意されている。本体の重量は、本体だけで180g、コンパクトフラッシュ拡張パックを利用した場合でも250gと軽量だ。

　Windows PCとの接続には標準添付されているUSBクレイドルを利用する。USBクレイドルにはACアダプタコネクタも用意されているので、本体をクレイドルに乗せるだけでPCとのデータ交換が始まるとともに、充電を行なうことが可能になっている。もちろんジャケットとNICを使えば、LANを使ってより高速にデータ交換も行なうことができる。

Beatnik Player for Pocket PCでは、MP3のほか、MIDIやRMFフォーマットのファイルを再生することができる

　実際に試用してみると、外観の質感も高くスタイリッシュで、操作していても、もたつきを感じる場面はまったくなく、非常に快適に利用することができた。操作性に関しては、現在国内で発売されているPocket PCの中でも間違いなくトップクラスだといえ、非常に魅力的だ。パワーのあるCPU、PDAとしての質感の高さ、高い拡張性を実現しているH3630は、国内でも間違いなくベストセラーとなる実力を持っているPDAだ。