←JP-D2110
↑今月のインデックスへ
Grenade US-252JH→
|
NEW PRODUCTS TESTREPORT |
|
|
アイ・オー・データ機器 |
TVC-D3/AGP2 |
D3端子にも接続可能なマルチディスプレイビデオカード |
TEXT:天野 司 Tsukasa Amano |
|
一般的なAGPカード形状のTVC-D3/AGP2。AGPを持つ機種であればほとんどのPCに装着可能だ
|
アイ・オー・データ機器の「TVC-D3/AGP2」は、通常のアナログRGBのほか、D3出力やコンポーネントビデオ出力、ビデオ出力などの多彩な出力信号をサポートしたAGPビデオカードだ。採用しているビデオチップはSiS300で、最近の高性能チップに比較すると、パフォーマンス面ではやや劣るものの、同じボード上に搭載されているビデオエンコーダチップSiS301と組み合わせることで、高画質なビデオ出力を得ることができる。
TVC-D3/AGP2のボード自体は一般的なAGPカードだが、アナログRGB出力は2系統備わっている。これはSiS300が一つのチップで2系統のRGB表示を行なう、いわゆるデュアルヘッド相当の機能を持つためで、RGB以外の信号出力はこのうちのセカンダリRGB端子と切り換えて利用する。つまりD3入力端子などを持ったテレビがセカンダリのディスプレイとなるわけだ。
|
中央の丸型コネクタがD3、コンポーネントビデオ、S-VIDEO/VIDEO出力に使用される専用端子
|
二つのRGBコネクタの間には独自仕様の10ピンコネクタが配置され、ここからD3およびビデオ信号が出力される。ビデオ出力とRGB出力の切り換えは、その横に設けられた2PのDIPスイッチで行なう。独自のコネクタを使用するため、D端子への出力は付属の専用ケーブル経由となる。このケーブルは2.5mとかなりの長さだが、AV機器の場合には、配置によってさまざまなケーブル長を要求されるため、できることなら市販のD端子ケーブルを利用できるようにしてほしかった。出力モードは、専用端子にだけ画像を出力する「シングルモード」、RGB端子と専用端子に同じ内容を表示する「ミラーモード」、そしてRGB端子と専用端子で別々の内容を表示できる「デュアルモード」の3通りだ。
気になるD3端子出力だが、表示可能なのはD3相当のインターレース表示のみ。本製品と同様にD端子出力をサポートする製品に、カノープスのSSH-HDTVがあるが、こちらはD2/D4プログレッシブ(ノンインターレース)出力のみとなる。
|
|
ビデオチップとしてSiS300、エンコードチップとしてサブセットのSiS301を搭載している |
D3出力での解像度は、640×480/800×480/800×600/1,024×576/1,024×768/1,280×720/1,280×1,024ドットとなっている。縦解像度が480ラインの場合、周波数はD1相当になると思いがちだが、本製品では解像度を問わず、有効走査線数1,035本モード、つまりアナログハイビジョンと同じ解像度で出力される(BSデジタルハイビジョンのD3解像度は有効走査線数1,080本なので、これとも若干異なる)。つまり、1,035本以下の解像度では、1,035本になるよう解像度を変換して表示しているのだ。
こうした仕様のため、TVC-D3/AGP2では、DOS画面やBIOS画面を含むすべての画面がD3出力できる。もちろん、これは専用端子経由で出力されるほかの信号でも同じだ。これは、BIOS画面と決められた解像度のWindows画面のみの表示となるSSH-HDTVに対する大きな優位点だろう。
|
三菱の28型ワイドテレビ「28W-HR1」でのD3表示。解像度800×600ドット/32bitカラー。文字はにじんでしまうが、画面は非常に明るい
|
ただ、この解像度変換が原因かどうかは不明だが、テレビに表示される画像はややぼやけ気味で、インターレースのため、ちらつきも感じられる。筆者はソニーの50型液晶リアプロジェクター「KL-50DX700」にD3端子接続で本機を使用したが、SSH-HDTVでD4表示を行なった場合には、細かな文字までしっかり判別できるのに対し、本製品ではメニューやウィンドウタイトルの小さな文字は、かなり判別しづらかった。ブラウン管方式のテレビであれば、もっとちらつきを感じるだろう。
しかし、この製品の主目的は、そういった高精細な表示を行なうためのものではない。DVD再生やゲームなどであれば十分に利用できるし、むしろ画像の明るさやハデな色合いは、PCディスプレイをしのぐ、テレビならではものだ。また、D3表示はほとんどのハイビジョンテレビで表示できるため、精細度は高いものの、入力可能なテレビが少ないD2/D4表示のSSH-HDTVよりも対応範囲は広い。ゲームやDVDなどを大画面で楽しみたい人にとっては格好の選択肢と言えるだろう。
製品名:TVC-D3/AGP2
標準価格:29,800円
メーカー: 株式会社アイ・オー・データ機器
問い合わせ先:076-260-1024
URL:http://www.iodata.co.jp/
バス形状:AGP 2X
ビデオチップ:SiS 300
ビデオメモリ:32MB SDRAM
最大解像度
アナログRGB:1,920×1,440ドット/1,677万色
S-VIDEO/VIDEO:800×600ドット/1,677万色
D3/コンポーネントビデオ:1,280×1,024ドット/1,677万色
インターフェース:Dsub 15ピン×2、専用出力端子×1
対応OS:Windows Me/98/2000
■写真撮影
若林直樹(STUDIO海童)
□アイ・オー・データのホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□製品情報
http://www.iodata.co.jp/products/video/tvcd3agp2.htm
□関連記事
【1月30日】アイ・オー、D3端子出力対応ビデオカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010130/iodata.htm
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp
Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.