マイクロソフト、VistaのMedia Centerを地デジに対応
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Media Centerで地デジを視聴しているデモ。データ放送にも対応する |
6月13日 発表
マイクロソフト株式会社は13日、Windows VistaのHome PremiumまたはUltimateに搭載されている「Windows Media Center」(以下Media Center)を、地上デジタルTV放送に対応させると発表した。
これは、VistaのMedia Centerで地デジの視聴および録画を可能にするもので、「Windows Media Center TV Pack」(以下TV Pack)という形で各PCメーカーに提供する。これにより、各PCメーカーはMedia Center上で地デジを視聴可能なPCを開発可能になり、より低コストな地デジチューナ搭載PCを実現できるとしている。
なお、現時点ではTV PackはPCメーカーにのみ提供され、小売パッケージ版での提供や、Windows Updateによる機能拡張の提供はない。このため、自作PCユーザーが地デジTVチューナを購入し、Media Centerを利用して地デジを視聴/録画することはできない。
また、現時点ではDVDやBlu-ray Discへの書き出しに対応していないほか、「ダビング10」へ対応しない。
TV Packは2008年7月の完成をめどに、各PCメーカーに提供。2008年夏以降、TV Packを利用したPCがメーカー各社から発売されることとなる。
●PCを活用した利用方法を提案
同社 執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏 |
13日に都内で開かれた記者発表会では、同社 執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏が挨拶。同氏は過去を振り返り、「これまでPCは孤立した島であったが、インターネットの普及によりPCを活用する場面が数年前と比較して大きく向上した。そこで我々は、コンシューマ市場においてソフトウェアだけでなく、サービスも重視した。今回の発表は、このサービスの機能を充実させたものである」と述べた。
そして、日本の消費者が最も多く触れているコンテンツはTVにあると指摘し、このTVコンテンツとの連携を強化することにより、ユーザーに新しい体験をもたらせるサービスを提供するという。同社はWDLCを2007年11月に立ち上げてから、TV局と連動したガジェットサービスの提供、およびPC de TVキャンペーンなどを展開してきた。今回のTV Packの提供により「Vistaと地デジがさらにシームレスに融合することで、新たなコンテンツで、新たなサービスを提供できる」と説明した。
コンシューマPC活用の変化 | これまでの同社とTV放送パートナーとの連携 | 提供までのロードマップ |
そしてTV Packの提供により、業界にTV買換え需要、(15万円以下の)ボリュームゾーンPCへの付加価値、地デジ視聴機会の増加、新しいビジネスモデルの展開をもたらせる。そしてユーザーにはリーズナブルなPCでの地デジの視聴、放送とインターネットの連携による新たなサービスの体験のメリットがあるとした。
同社 デジタルエンターテイメント パートナー統括本部 本部長の笠原健司氏は、「TVチューナ搭載PC出荷の推移を見てみると、アナログチューナ搭載PCが減って、地デジチューナの搭載が増えたが、アナログチューナが減った分をデジタルチューナが補えていない」と問題を指摘。その理由として、「地デジ搭載PCと非搭載PCの平均価格の差が5万円ほどある」と説明した。
そして今回、地デジをMedia Centerでサポートすることにより、「これまでコストの上乗せ要因となっていたソフトウェアの費用を削減でき、ボリュームゾーンにも地デジ搭載が可能になる。さらに、TV放送とインターネットを連携させたプラットフォームも提供できるようになった」とメリットを語った。
同社 デジタルエンターテイメント パートナー統括本部 本部長の笠原健司氏 | TVチューナ搭載PCの出荷台数推移 | 地デジチューナ搭載PCと非搭載PCの平均価格推移 |
TV放送とインターネットを連携させた具体的なサービスとして、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、フジテレビの5社がゲストとして招かれ、各々が開発したガジェットやデータ放送サービスなどをデモした。
いずれも、Webサイトやサイドバーガジェットから、視聴予約や録画予約を行なうデモを行なったほか、日本テレビは野球の実況中継番組のデータ放送から、選手の詳細なステータスが記されたWebページへジャンプする機能、TBSはショッピング番組のデータ放送から製品購入画面へジャンプする機能などをデモし、TVとインターネットの融合のシームレスさをアピールした。
質疑応答では、地デジ対応遅れの原因や、一般ユーザー向けのアップグレード無しの原因について質問がなされ、笠原氏は、「コンテンツ保護技術の開発が遅れてしまった部分があり、今回はようやく対応できた第一のステップである。既に購入された一般ユーザー向けにもアップグレードやパッケージ販売などを検討し、将来提供できるように取り組み続けたい」とした。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/ja/jp/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3467
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(2008年6月13日)
[Reported by ryu@impress.co.jp]