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シリコンがデバイス




 東芝が「dynabook SS RX1」シリーズに、128GBのSSDを搭載したモデルを発表した。多値NANDを採用したSSDだそうだが、このくらいの容量があれば、そろそろチャレンジしてもいいのかなとも思う。ノートPCをわざと乱暴に扱おうとするユーザーはいないだろう。でも、アッと思ったときにはもう遅いのだ。

●つい過保護にするノートPC

 ノートPCの内部が、どのような部品で構成されているのかを知っているからだと思うけれど、一般の人よりは、ノートPCを大事に扱うほうだと思う。ただ、スリープ状態を含め、電源が切れていて、内部の可動パーツが動いていないことが保証されている場合はそうでもない。カバンの中ではPCはむき出しだし、カバンの中の書類などとこすれたり、カバンのファスナーがひっかかって外装にちょっとしたキズがつくのも、それほど気にはならない。

 でも、HDDが回転しているとなると話は別だ。ちょっと位置をずらすにも気を遣うし、いったん持ち上げてSDメモリーカードなどを装着して、元の位置に戻すようなときも、ゴトリといかないように注意を払う。iPod(HDD内蔵型)のようなデバイスでさえ、あまり乱暴には扱わないようにしている。ちょっとやそっとでは壊れないということはわかっていても、乱暴に使うことができないのだ。ちょっとPCのことを知っている人ならみんなそうだと思う。たぶん、わざと乱暴に扱うユーザーはいない。

 そこまでやっていても、HDDは壊れるときは壊れる。たまに、SMARTのユーティリティを使ってHDDの状態を確認するのだが、代替処理が行なわれていると、心配になってくる。

 その点、SSDなら、あまり衝撃の心配をしなくていい。心配なのは、その書き換え回数による寿命で、OSそのものが、書き換え回数を考慮した稼働をしてくれないと、気になって気になって仕方がない。多値型NANDは、一般的に1万回の書き換えに耐えられるそうだが、それでどのくらい使えるものなのだろうか。ここはひとつ、そろそろ一定の目安の公表がほしいところだ。

●どれだけのストレージがあれば安心なのか

 普段持ち歩いているLet'snote R7には、250GBのHDDが内蔵されている。現在の空き容量は50GB程度だが、iTunesフォルダが70GBほどと、見ようと思って見ていない録画済みビデオが40GBほどを占有しているので、それらを省くと実質的には80GBほどのストレージがあれば用が足りる計算になる。ちなみに、Windowsフォルダと、Program Filesフォルダの合計は、約25GBと少しで、この中に、オフラインファイルのキャッシュも含まれている。

 つまり、64GBのSSDでは、今と同じ使い方はできないが、東芝の新SSDのように、128GBあればなんとかやっていけるということになる。SDメモリーカードも大容量のものが安くなってきているので、ビデオのデータなどは、そちらにコピーして見ればいい。ただ、70GBにふくれあがったiTunesのデータはなんともしがたいし、デスクトップPCには、500GB近いデジカメ写真のデータもある。本当は、すわ一大事というときに、手近のノートPCを持ち出すだけで、データを失う被害を最小限に抑えられるようにしておきたいのだが、まだ、そうはなっていない。今の環境では、バックアップ用に裸族のお立ち台に装着してある1TBのベアドライブを一緒に持ち出さなければならない。

 だから、今のぼくの状況では、ノートPCに1TBのストレージが入っていれば問題はすべて解決する。500Gの2.5型HDDも発表されたようなので、1TBの大台に乗るのも時間の問題だろう。だが、データは増え続けるので、1TBが実現されるその時点で足りるのかどうかが心配のタネではある。

●フルセットとしてのモバイルノート

 モバイル機はサブなのだから、メイン環境のサブセットでいいかといえば、ぼくはそうじゃないと思う。もちろん、パフォーマンスや操作性は、バッテリでの駆動時間や持ち運びの負担と相殺されるので、メイン環境と同じでなくてもガマンする。でも、データやアプリケーションは、いつでもどこでも、でかける寸前の状態が出先で開いたノートPCで再現されてほしいと思う。

 ぼくは、普段から、メインのデスクトップPCに加え、複数台のノートPCを、その日の用事に応じて使い分けているが、仮に、どのノートPCを持ち出したとしても、中身のデータは同じに保たれ、できることに違いがないようにしている。

 そういう運用方法には、Vistaの個人用フォルダ内の用途別フォルダのリダイレクトと、新たに採用されたシンボリックリンクはとても重宝する。ショートカット類ではだまされてくれないアプリケーションも、シンボリックリンクなら、ちゃんとだまされてくれ、オフラインフォルダの同期機能と併用すれば、データ的には、複数台のPCを常にクローン状態に保てる。そして、クローンなのだから、どのPCを持ち出しても同じであると同時に、どのPCが壊れても、特に失うものがないという安心感もある。だから、特にシリコンでなくても、ガマンができているともいえる。

 サイズでいえば、PCは特大、大、中、小をTPOに合わせて使い分けているといったところだろうか。特大はデスクトップPCで、残りはノートPCだ。すべてのアーキテクチャも同じなら、稼働するOSはすべてWindows Vistaで、操作性の点でも、アプリケーションの互換性の点でも問題が出ることはない。出先でテレビ番組を録画できないといったことを言い始めるとキリがないが、外観的には異なるが、内面的にはほぼ同じ環境が複数整っているということだ。

 PDAやMID、携帯電話を否定するわけではない。だが、こうしたデバイスは、PCに代替するものではなく、PCと併用することで、より豊かなデジタルライフに貢献するものだと思う。実際、ぼく自身は、普段、iPod touchを持ち歩いていて、ちょっとスケジュールを確認するようなときには、そちらを参照する。PCのOutlook予定表と同期されているので、ビルの前まで行って、訪問先の部署名を確認するようなときには、PCを開かなくていいので重宝している。

 また、携帯電話では、電話帳に「メモ」という名前のエントリを作り、その読みを「アアア」として、自分のメールアドレスを登録してある。

 こうしておけば、ちょっとしたひらめきやTo Doがあるときに、すぐにメモとして自分にメールできる。読みを「アアア」としてあるのは、電話帳の先頭にくるようにして、宛先として指定しやすくするためだ。自分宛のメールはすべて携帯電話に転送しているので、メモとして送った自分宛のメールも、すぐに携帯に届く。次にPCを開いたときに、Outlookでそのメールを、受信トレイから仕事フォルダにドラッグすれば、ToDoメモに変わるというわけだ。

 もし、将来的に128GB程度のSDメモリーカードが実用化され、それをPCに装着すれば、Windowsが起動できるようになれば、モバイルPCの運用形態にも、きっと変化が現れると思うけれど、今日、明日、明後日にかなう話ではない。

 今年は、Atom搭載のMIDが各社から登場すると思うが、IntelとしてはLinux稼働を前提としているように見える。それはそれで仕方がないことだと思うが、PCとの連携時に、特殊なユーティリティを使わなくても、既存の標準機能を使って、いろいろなことができるようにしておいてほしいと思う。

 たとえば、MIDがWindowsのファイル共有に対応し、MIDからWindowsのファイルがオンライン、オフラインを問わずに使えるようになっていれば、ずいぶん使い勝手はよくなると思う。もちろん、逆に、MIDのストレージがSMB経由でアクセスできるようになって、双方向のファイル共有ができるようになっていればもっといい。それが実現できれば、MIDをマスターデバイスにして、PCからはそれをオフラインフォルダとして使うという手がとれる。Windowsのオフラインフォルダ機能は、共有フォルダとして見えれば、相手の稼働OSや環境は問わないのがうれしい。

 デバイスそのもののGUIやOSは異なっても、こうした基本的なところが、標準的なプロトコルで構成されていればつぶしがきくというものだ。今の携帯電話やWindows MobileデバイスはUSBケーブルで接続すればマスストレージとして見えるので、似たようなことはできるが、やはり、ネットワーク経由で、併用しているすべてのPCからそれができると便利だ。

 ショックに強くてタフなマスターストレージデバイス。つまり、中身が見えるシリコンディスクとしてのMIDっていうのもありなんじゃないだろうか。それが大容量ならもっといい。

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【3月17日】東芝、「dynabook SS RX1」に128GB SSDモデル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0317/toshiba.htm

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(2008年3月21日)

[Reported by 山田祥平]


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