東芝の「dynabook Satellite WXW」は、17.1型ワイド液晶を搭載した高性能ノートPCだ。直販サイトの「東芝ダイレクトPC」専用モデルであり、NVIDIAの高性能GPU「GeForce 8700M GT」や「SLI Dual GeForce 8600M GT」を搭載するなど、グラフィック機能を強化していることが特徴だ。
今回、新たに追加された「dynabook Satellite WXW/79EW」(以下、WXW/79EW)は、CPUに最新の45nm High-Kプロセスで製造されたCore 2 Duo T9300(Penrynコア、2.5GHz)を搭載し、さらに基本性能が向上している。現時点で、dynabook Satellite WXWシリーズは全4モデルが用意されているが、WXW/79EWは最もCPU性能が高いモデルとなっている。 WXW/79EWは、一般的なノートPCとしては最大クラスの17.1型ワイド液晶(1,680×1,050ドット)を搭載しているため、筐体はかなり大きい。サイズは、399×288×36~52mm(幅×奥行き×高さ)で、重量も約3.9kgある。なお、筐体のデザインは、昨年から発売されているdynabook Satellite WXWシリーズと同一だ。天板は、深い光沢があり、濃い赤で木目のような模様が描かれている。
●最新のCore 2 Duo T9300を搭載し、高い性能を実現 CPUとして、最新のCore 2 Duo T9300を搭載する。いわゆるPenrynコアのCPUであり、L2キャッシュの容量が従来のMeromコアの1.5倍の6MBに増えているほか、新しい拡張命令SSE 4.1をサポートしている。現時点でインテルからリリースされているモバイル向けCore 2 Duoシリーズの中では、Core 2 Duo T9500(2.6GHz)の次に高速なCPUである(さらに上位のCPUとしてCore 2 Extremeがある)。チップセットはIntel PM965 Expressで、メモリは標準で2GBを搭載しているため、Windows Vistaも快適に動作する。SO-DIMMスロットは2基用意されているが、出荷時に1GB DDR2 SO-DIMMが2枚装着されているため、空きスロットはない。標準搭載しているメモリを外して、2GB SO-DIMMを2枚装着すれば、最大4GBまでメモリの増設が可能だ(32bit OSでは3GB強しか認識されないが)。 GPUは前述した通り、DirectX 10に対応した「GeForce 8700M GT」を搭載する。256MBの専用ビデオメモリを搭載しているほか、必要に応じてメインメモリの一部をビデオメモリに割り当てる仕組みになっている(合計で最大1,023MB)。HDD容量は160GBで、光学ドライブとして、DVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブを搭載する。 ●17.1型ワイドWSXGA+液晶ディスプレイを搭載 液晶ディスプレイとして、17.1型ワイド液晶を搭載。解像度はWSXGA+(1,680×1,050ドット)と高く、VistaのWindowsサイドバーを表示させても、アプリケーション用の領域を十分確保できる。液晶パネルは、広視野角と低反射を実現したClear SuperView液晶を採用しており、発色も鮮やかで美しい。いわゆる光沢タイプの液晶だが、表面への外光の映り込みも抑えられている。 WXW/79EWは筐体が大きいため、キーボードに割けるスペースも大きく、ノートPCとしては珍しくQWERTYキーボードの右側にテンキーを搭載している。キーピッチは19mm、キーストロークは2.5mmで、キー配列は標準的なので、デスクトップPCのフルキーボードと同じ感覚で利用できる。テンキーを備えているので、数値の入力も効率よく行なえる。仕事で使う際にも便利だろう。 ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを搭載。キーボード上部には、インターネットボタンやCD/DVDボタン、オーディオボタンといったホットキーが用意されている。パームレスト右側には、スライド式指紋センサーが搭載されており、セキュリティ面も安心だ。ディスプレイ上部に130万画素CMOSカメラが用意されており、Webカメラとして利用できる。 ●HDMI端子を装備し、IEEE 802.11nドラフト2.0対応無線LANも搭載 WXW/79EWは、サウンドにもこだわっており、音質に定評のあるharman/kardon製スピーカーを採用している。キーボード上部左右に2つずつ(高音用と中低音用)、底面に重低音用のサブウーファ1つで、合計5つのスピーカーを搭載しており、迫力のあるサウンドが楽しめる。 インターフェイス類も充実しており、USB 2.0ポート×6、IEEE 1394(4ピン)、Sビデオ出力、外部ディスプレイ(ミニD-Sub15ピン)などに加えて、HDMI端子を装備していることも特徴だ。HDMI端子を備えた大画面テレビに繋げば、大画面でゲームや動画などを楽しめる。カードスロットとしては、ExpressCard/54スロットとブリッジメディアスロットを搭載。ExpressCard/54スロットのフタは、内側に倒れ込む方式になっており、フタをなくす心配がない。ブリッジメディアスロットには、SDカード(SDHC対応)/MMC/xD-Picture Card/メモリースティック(PRO)を直接挿入できる。 無線LAN機能は、最新のIEEE 802.11nドラフト2.0に対応。加えて本体前面に、無線LANのON/OFFを行なうワイヤレススイッチが用意されていて、適宜バッテリの消費を抑えることができるのも便利だ。 バッテリは10.8V/6,000mAhという大容量だが、高性能CPUとGPUを搭載していることもあり、公称バッテリ駆動時間は約2.3時間と短めだ。しかし、WXW/79EWは、デスクトップPC代わりに据え置きで使うことが前提の製品であり(いわゆるDTRノートPC)、バッテリ駆動時間が短くても特に問題にはならないだろう。ACアダプタも巨大で重いが、こちらも欠点とはいえない。 ●3D描画性能は高く、コストパフォーマンスも優秀 WXW/79EWは、高いパフォーマンスを実現していることが魅力だ。そこで、参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したソフトは、Futuremarkの「PCMark05(Build 1.2.0)」と「3DMark06(Build 1.1.0)」、「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマークソフト」の3種類だ。また、Windows Vistaのパフォーマンス評価(Windowsエクスペリエンスインデックス)の結果も加えてある。省電力設定は「高パフォーマンス」モードにして行なった。比較対照用に、同じdynabook Satellite WXWシリーズの旧モデル(Core 2 Duo T7300搭載)やQosmio G40W/95DW、Let'snote Y7の結果もあわせて掲載している。 結果は下表にまとめた通りだ。WXW/79EWのパフォーマンスが高いことがよくわかる。同じGPUを搭載した旧WXWと比べても、CPU性能が向上しているため、スコアが全体的に向上している。唯一、PCMark05のHDD Scoreのみ旧WXWのほうが高いが、旧WXWはIntel Turbo Memoryを搭載しているためだろう(WXW/79EWではIntel Turbo Memoryは省略された)。Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアも全項目が5を超えており(現時点での最高スコアは5.9)、Windows Vistaも非常に快適に動作する。フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマークのスコアは22,000を超えており、最新3Dゲームも快適にプレイできるだろう。
WXW/79EWは、高性能CPUとGPUの搭載により、現時点で発売されているノートPCとしてはトップクラスの3D描画性能を実現していることが最大のウリだ。直販価格は246,600円(3/18まではクーポンを利用することで、さらに23%オフの191,576円で購入可能)であり、コストパフォーマンスも優秀。ノートPCで最新3Dゲームを快適に遊びたいという人はもちろん、高解像度液晶とテンキーを装備しているため、ビジネス用途にも向いている。デスクトップPC代わりに使う高性能ノートPCを探しているのなら、有力な選択肢となるだろう。 □東芝のホームページ (2008年3月11日) [Reported by 石井英男]
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