取材でCeBITに来ているため、今回のPDAレポートは、その模様をお送りする。ただ、モバイル関係は、2月にMobile World Congress(MWC)が開催され、ほとんどがそこで発表されるようになってしまったので、どれも既発表のものばかり。そういうわけで、すでにニュースになっているものもあるが、筆者が実際に見て、気になったものをレポートしたい。 ●ソニーエリクソンのXPERIA X1はモックアップのみ 実物を期待したソニーエリクソンの「XPERIA X1」だが、展示されていたのは動作しないモックアップのみだった。そのモックアップも2日目には、撤去されてしまい、アクリルケースの中に入ったものしかみることができなくなってしまった。動いている台数が少ないのか、完成度が低いのか、展示に回せるような状態ではないようだ。 このX1は、スライド式のキーボードを備えている。側面を見ると、ゆるやかなカーブを描いていて、スライドさせると、キーボードに対して液晶にある程度角度を付けられるようである。細かい部分だが、液晶とキーボードが平行だと、液晶に天井のライトなどが写り込んで見にくいことがある。また、液晶をちゃんと見ようとすると、キーボードのほうを少し立てるような感じで使うことになる。AT&T(開発はHTC)のTiltほどではないが、多少でも角度があれば、キーボードをなるべく寝かした状態にできる。 また、キーボードは、かなりフラットなものだが、AとLのキーの角が少し出ていて、両手で持って親指でキーを押していくとき、キーを見なくてもホームポジションが探しやすい。同じようなスライドキーボード型だが、他社とはちょっと違うということか。 ●2つのSIMが同時に使える
GSMやW-CDMA方式の携帯電話では、SIMカードが1つの契約に対応している。General Mobileの「DSTW1」は、このSIMカードを2つ装着でき、しかも同時に両方のSIMが持つ電話番号での待ち受けが可能なスマートフォンだ。Windows Mobile 6を搭載し、CPUは、200MHzのTI OMAP850。液晶はQVGA(320×240ドット)で、ナビゲーションキーを持つ。メモリはROM(フラッシュ)256MB、RAM 64MBであり、マイクロSDカードスロットでファイル保存領域を増やすことができる。SIMカード以外の仕様は、一世代ほど前のWindows Mobile機という感じである。 説明員に「2つの電話機が1つの箱に入ったのと同じ?」と聞くと、そうだという。2つの電話機能は独立しているため、一方で着信している間に、もう一方で発信することもできるという。カタログによれば、2つの電話機能はGSMだが、対応周波数が違っており、一方が、850/900/1,800/1,900MHzのクワッドバンド、もう一方が900/800(1,800の間違いという気がするが、カタログには800と書いてある)/1,900MHzのトライバンドである。なお、両方もとEDGEによる通信には対応している。 最近では、国内の3G携帯がそのまま海外でも使えることが多いが、電話料金という点でいうとかなり高めである。海外向けのレンタル携帯電話ほどではないが、国内の電話料金に比べると数倍の違いがある。海外ローミングでは、着信でも料金がかかるので、現地で同行者と連絡を取るのにも結構なお金がかかってしまう。 なので、できれば海外にいる間は、現地で購入したプリペイド契約のSIMカードを使いたいのだが、2つの携帯電話を使うのは結構大変だ。バッテリを2つ管理しなければならず、充電作業も個別に行なう必要がある。2つのSIMを切り替えて使うアダプタのようなものもあるが、電源を入れ直す必要があり、両方の電話番号での待ち受けはできない。このように2つのSIMで同時待ち受けができるのは、こういう状況を考えると結構便利そう。電話機が1台でいいので、バッテリも管理も簡単になる。説明員によれば、出荷は今年の4~5月ぐらいとのこと。日本での販売予定はないようだが、当初はオンライン販売のみで行ない、EU外へも出荷できるようになるとのこと。 また、同社は、世界初と謳う「腕時計型携帯」も展示していた。ただし、通話は、Bluetoothヘッドセットのみ行なう。アイディアとしては悪くはないのだが……。カタログをみるとスポーツしている場面が多く、そういうときにも電話できるということなのだと思うが、なにもそんなときまで電話しなくてもいいのではないか。 ●1年間、無線通信が無料
DataWindのPocketSurfer2は、クラムシェルタイプでフルキーを持つワイヤレスインターネットデバイス。GSMによるデータ通信機能を内蔵しており、購入から1年間は、通信料金が無料で契約の必要もない。1年後からは40ユーロ/年以下で通信ができるようになるらしい。 今回のCeBitには、動作するモデルを展示。実際にPC Watchのメインページを表示させてみたが、発色があまりよくない。感じとしては256色表示の液晶でディザを使ってフルカラー表示したような画面になってしまう。これは、途中のサーバーで画像ファイルを変換、転送に有利なように色数などを落としているのだと推測される。だが、日本語もちゃんと出るようだ。 2という番号からわかるように、これは、PocketSurferの2世代目。最初のPocketSurferは、自分の携帯電話と接続し、DataWindが運営するサーバー経由でインターネットアクセスを行なう方式だった。今回は、GSMによるデータ通信機能を搭載しての製品化だが、最初の1年を無料とすることで、ユーザーの取り込みを狙う。 CPUその他については教えてくれなかったが、どうも、大半の機能をサーバー側で行なっているようだ(なので、日本語もちゃんと表示できたのだろう)。契約不要というのも、DataWindがMVNO(Mobile Vertual Network Operator)として携帯電話会社と契約していて、すべての通信は、DataWindのサーバーを経由して行なうためだろう。だとすると、このマシンは、表示やキー入力を行なうのみで、それほど高度な機能は持っていないのだろう。 ●タッチパネルでフィードバック Samsungはいくつかの携帯電話をMWCで発表しており、それらも見ることができた。中でも気になったのは、「Soul」と呼ばれる機種。液晶と小さな有機ELの2つのタッチパネルを備え、有機ELのほうが、操作のためのもので、ここにカーソルキーや音楽再生用のボタン(プレイ、スキップなど)を場面にあわせて表示させる。簡単にいうと表示が切り替わるボタンというわけだ。 単にタッチパネルなのではなくて、押すと、振動が指で感じられ、ボタンを押したことがはっきりとわかる。こうした表示パネルにキーボードやボタンを表示させて操作するとき、表示そのものや音を出すなどしてユーザーにフィードバックをかけているが、こうした振動を使うものはいままでなかった。静かな環境だと、キータッチ音を出すと目立ってしまうことがあるが、振動ならそういう心配はない。同じようなアイディアは、韓国製のDigital Cube U43というポータブルメディアプレーヤーでも使われていた。タッチしたことがわかりやすく、タッチ音のようにうるさくないので、今後はこうしたモバイル機器に広く普及してくれるといいのだが。 その他、気になったものとしては、ASUSのランボルギーニ携帯こと「Lamborghini ZX1」がある。スペック的には普通のスマートフォンだが、ランボルギーニロゴを模したナビゲーションキーとロゴ入りに皮ケースが用意される。GUIに専用シェルを搭載とのことだったが、動作しているものはなく、単なる展示のみだった。 □CeBITのホームページ(英文) (2008年3月6日) [Reported By 塩田紳二 / Shinji Shioda]
【PC Watchホームページ】
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