塩田紳二のPDAレポート

「diNovo Mini」がBluetoothである理由
〜米Logitechインタビュー



 CES 2008では、Logitechが、Bluetooth搭載デバイスをいくつか発表した。とくに気になるのは、3月に発売の「diNovo Mini」である。これは、小型のBluetoothキーボードで、ポインティングデバイスを備え、WindowsのMedia Centerのリモコンとしても動作するもの。また、PCだけでなく、ソニーのPLAYSTATION 3にも対応している。

 これは、親指で使うキーボードで、左右を両手で持つと、両方の親指で全部のキーを押すことができる。また、充電式のバッテリを内蔵しているため、どこでも使うことができる。

 背面のバッテリ収納部分のフタを開けると、接続用のドングルや切り替えスイッチがある。ドングルは、後述のインタビューで明らかになるが、Bluetoothではあるが、付属のソフトウェアは、diNovo mini接続専用のスタックで、他のプロファイルを持たないものである。また、切り替えスイッチだが、これは、PCを接続する場合と、PS3を接続する場合を切り替えるものだ。

 カタログスペック上、バッテリは30日間保つという。使用頻度が高ければ短くはなるが、外出先で使うのには十分なスペックだろう。

 Bluetoothのキーボードはまだ数が少なく、大半は、デスクトップ用か、モバイル用の折りたたみ式のものだ。過去には小型で折りたたみでないタイプもいくつかあったのだが、入手性はあまり良くなかった。しかし、今回のdiNovo miniは、著名なメーカーの製品であり、国内での入手も期待できる。本来は、リビングにおいて、PCやPS3を操作するためのもののようだが、持ち歩いて、PDAやスマートフォンとの組合せという可能性も考えられる。特に、内蔵キーボードを持たない機種との組合せにはいいのではないかと思う。もっとも、Logitechは、そういう使い方は望まないのかも知れないが。

diNovo miniは、カバー付きで、両手で持って操作するキーボード。円形のパッド横に、リモコン、キーボードのモード切替のスイッチがあるリモコンモードにすると、円形パッドは4方向のカーソルおよび実行キーとなるナビゲーションキーになり、リモコンに関連したキーが緑色に光るようになる キーボードモードにすると、円形パッドはマウスカーソルを動かすトラックパッドとなり、PC操作向けの状態になる

●Logitechプロダクツコミュニケーションマネージャにインタビュー

 筆者が、これまで、いくつかBluetoothデバイスを紹介していた関係で、CES 2008の取材の際にLogitechのRobert Gulino氏(Sr. Marcom Manager)に、このdiNovo miniを含むLogitechのBluetooth製品について話を聞くことができた。

--このdiNovo miniは、キーボードなんでしょうか? リモコンなんでしょうか?

Gulino氏 diNovo miniは、キーボード+ポインティングデバイスとしても動作し、また、Windows Media Centerを使う場合の「リモコン」としても動作します。スイッチで、円形のパッドをカーソルキーにもタッチパネルにも切り替えることができます。リビングでは、フルサイズのキーボードは大きすぎて邪魔になり、メディア機能を操作するだけなら、リモコンのほうがいいでしょう。しかし、URLを入力したり、曲名を編集するなど、ときどきキーボードが必要な場面があります。diNovo miniはこうした用途を想定して作られました。スイッチでPCの制御とメディア機能(Media Center)の制御を切り替えて利用できるようにしてあります。

--diNovo miniの出荷はいつからですか?

Gulino氏 アメリカでは2月末、日本では3月中を予定しています。

--Macintoshには対応するのでしょうか?

Gulino氏 その質問はよく聞かれますが、対応の予定はありません。

--Logitechの製品では、独自方式の無線を使うものと、Bluetoothを使うものがありますが、これはどのような棲み分けになっているのでしょう?

Gulino氏 Bluetoothは、当社製品のうち、上位に当たるものに使い、コストが重視される製品では、独自の無線方式を使っています。Bluetoothは、到達範囲が10mと長く、また、キーボード、マウス以外の接続にも利用できるという特徴があります。一方当社の開発した独自の無線方式には、こうした特徴はありませんが、コストが非常に安く、また、USB側のドングルを超小型にできるといった特徴があります。このため、Bluetoothは、どちらかというと上位機種に利用し、コストが重視される製品には、独自方式を使っています。

 もう1つの独自方式の無線接続のメリットは、消費電力です。Bluetoothよりも到達距離が短いこともありますが、消費電力はかなり小さく、長時間バッテリ交換の必要がなく、また乾電池でも動作させることができます。たとえばキーボードなら12カ月程度の寿命があり、使い方によってはそれ以上使えます。しかし、Bluetoothではここまでは到達していません。

 Bluetoothのメリットは、通信が双方向という点です。独自方式の場合、デバイスからPC側への一方通行となるため、機能に制限が出ます。しかし、Bluetoothを使えば、PC側からキーボードやマウスなどのデバイス側へもデータを送ることができます。米国で発売予定の製品(Cordless Desktop MX 5500 Revolution)には、MX Revolution(マウス)とディスプレイ付きのキーボードを組み合わせたものがあります。この場合、キーボードのディスプレイ表示は、Bluetoothを使って、PC側から制御しています。

 また、Bluetoothでは通信が暗号化されています。これは、政府関連での利用に必要な条件になっています。

--diNovo miniには、切り替えスイッチがありますが、これはなんのためにあるのでしょう?

Gulino氏 PS3に搭載されているHIDプロファイルには、独自の部分があり、PC用のものとは少し動作が違っています。このため、スイッチでこれを切り替えています。

--diNovo miniが対応しているBluetoothのバージョンはなんでしょうか。また、PC側のBluetoothスタックはどこのものを使っていますか?

Gulino氏 Bluetooth Ver.2.0を使っています。また、PC側のスタックは、Broadcom(旧Widcomm)のものです。

--diNovo miniには、USBドングルが付属するものの、diNovo mini接続専用と聞きましたが?

Gulino氏 当社のBluetooth製品に付属するソフトウェアとBluetoothドングルには2種類あり、1つは、diNovo miniのように付属機器との接続だけに使えるものです。もう1つは、「Bluetooth Hub」と呼んでいますが、各種のBluetoothプロファイルを含むものです。つまり、Bluetooth Hubと表記されているものは、通常のPC用のBluetoothスタックと同じものが含まれていて、キーボードやマウスの接続以外に、ほかのデバイスを接続することができます。

 Bluetooth Hubの機能がない場合には、方式としてはBluetoothを使っていますが、当社独自の無線方式と同じく、マウス、キーボードの接続機能しか持っていません。しかし、これは、付属のドングルを使った場合で、方式としてはBluetoothなので、PC側にBluetooth機能があれば、付属ドングルを使わずに接続することができます。

--Bluetoothでも、マウスやキーボードしか接続できないのなら、付属させる意味はないのでは?

Gulino氏 付属のBluetoothドングルは、最初からペアリングがされた状態になっていて、接続すればすぐにでも利用することができます。すべての機能は利用できませんが、ドライバなしにマウス、キーボードが利用できます。これは、従来のキーボード、マウスと同じ使い勝手を提供するためです。また、BIOS設定などWindowsが立ち上がる前の段階でもマウス、キーボードを利用できるようにする必要もあります。

 このため、Bluetoothを採用した製品でも、ドングルを付属させています。Bluetooth方式のものは、もちろん、PCなどにインストールされた他社のBluetoothスタックやBluetooth USBアダプタとの組合せで利用することができますが、ペアリングの操作が必要で、また、Bluetoothスタックが動作していないWindows起動前の状態では、キーボード、マウスを利用することができません。

 ただし、マウス単体の場合、コストを下げるためにドングルを付属させていない製品もあります。V470は、ノートPC用の製品であり、ノートPCではBluetoothの装備率が高いので、マウスのみを提供しています。だいたい、出荷されるノートPCの半分ぐらいにBluetoothが搭載されているので、ドングルなしという製品が成り立ちます。しかし、デスクトップPCにはほとんど搭載されていないので、ドングルを付けなければなりません。

--米国で発売予定のCordless Desktop MX 5500 Revolutionのマウスは単体で販売されているMX RevolutionのBluetooth版ですよね? なぜ、最初からBluetooth版を作って単体で販売しないんでしょうか?

Gulino氏 開発リソースの問題もありますが、大きな問題はコストです。最初からBluetooth版を作るとかなりコストが高くなってしまいますが、先行して専用無線方式で作っておけば、コストが下がってきます。そうなると、適正な価格でもBluetoothを搭載することが可能になります。ただ、単体では、やはり割高感があるので、キーボードとの組合せにしてあります。もう1つは、キーボードは表示を行なう場合には双方向性が必須になりますが、マウスには双方向性が必要ありません。しかし、双方向性が必要なキーボードを使うには、Bluetoothによる接続が必要で、それに組み合わせるマウスは接続方法を同じにするためにBluetooth対応が必要だったのです。


 ノートPCやPDA/スマートフォンでは、Bluetoothが組み込まれていることが多く、Bluetoothマウスやキーボードならば、アダプタなしで、簡単に接続ができる。それ以外にも、スマートフォン経由のインターネット接続や、Skypeを使うときのヘッドセットなど、繋げることができるものは少なくない。以前に比べれば、いろいろなデバイスは接続できるようになったが、1種類のデバイスだけを見ると、いろいろと選べるような状態ではない。diNovo miniに限らず、キーボードやマウスがもっと出てくることを期待したい。

□Logitechのホームページ(英文)
http://www.logitech.com/
□Cordless Desktop MX 5500 Revolutionの製品情報(英文)
http://www.logitech.com/index.cfm/keyboards/keyboard_mice_combos/devices/3481&cl=us,en
□ロジクールのホームページ
http://www.logicool.co.jp/
□diNovo miniの製品情報
http://www.logicool.co.jp/index.cfm/keyboards/keyboard/devices/3848&cl=jp,ja
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【1月7日】【CES】Logitech、新しいPC向けスピーカーと「diNovo」シリーズの小型版を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0107/ces01.htm

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(2008年2月28日)

[Reported By 塩田紳二 / Shinji Shioda]


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