発売中 価格:262,500円~ デルのハイエンドPCであるXPSシリーズに新しいノートPCが加わった。ハイエンドのCPUを搭載可能で、GeForce 8700M GTをSLI構成で装備するモンスターノートPCだ。ゲーマー向けを謳ったこの製品は、ほかの装備も通常のノートPCでは考えられないほど高機能なパーツ構成になっている。今回は、このモンスターマシンの詳細を見ていくことにしよう。 ●プレミアムPCのXPSシリーズ まずデルPCのブランドに関して簡単に説明しておこう。デルの一般向けのPCにはInspironシリーズとXPSシリーズの2種類が存在している。Inspironシリーズはコストパフォーマンスを考えつつ、性能や機能を高めたモデルで、ライフエンターテイメントPCとしての位置付けがされている。 一方XPSシリーズは、ハイエンドの製品を扱ったシリーズで、プレミアムブランドとしての位置付けになっている。今回紹介する「XPS M1730」はこのハイエンドシリーズの製品で、大画面液晶を搭載したノートPCだ。XPSシリーズの製品は、常に最高のパーツを組み込み、高い性能と多彩な機能で注目を集めてきた。今回発表されたXPS M1730は、どのようなノートPCなのだろうか? ●デスクトップレベルの性能を実現 同社の従来製品同様、XPS M1730も当然BTOでの注文が可能となっている。XPS M1730は262,500円から購入が可能で、この構成にオプションを加えたり、パーツをグレードアップしたりすることにより価格が上がっていく。このBTOで選択できるパーツやオプションを見ながら、その性能を見ていこう。 BTOで選択できる主なパーツやソフトウェア(10/26時点) 最初にCPUだが、現在IntelのノートPC用としては最高のCPUであるCore 2 Extreme X7900が搭載可能だ。X7900は9月あたりから発売されている最上位CPUで、FSBが800MHz、動作周波数2.8GHzのデュアルコアCPUだ。このような新しいCPUが選択できるのは、BTOの強みといったところだろう。また、XPS M1730にはオーバークロック機能もあるため、さらに高速な設定で動作させることも可能だ。これはこのノートPCの1つの大きな特徴だろう。 メモリはPC2-5300 DDR2 SDRAMを最大4GB搭載可能。最大容量の4GBを搭載しても、Windows Vistaの32bit版では3GBしか認識されないので、無理して4GBを選択することはないが、最新のゲームをプレイしたいというのなら、あえて4GBにするのもありだろう。 次にグラフィックス機能を見てみる。XPS M1730には、標準でNVIDIAのGeForce 8700M GTが2つ搭載されている。SLIは、画面の描画を2つのチップで分散して処理することにより、高速な3Dグラフィックス表示を行なう機能だ。ノートPCでSLIを搭載するのは、このPCが初めてというわけではないが、強力なアドバンテージと言ってよいだろう。 さらにオプションでAGEIAのPhysXという物理演算チップの搭載が可能になっている。これは、3Dゲームなどでの物理現象を請け負う専用のチップで、例えば破壊されて粉々になった物体の相互干渉などを処理する。PhysXを使うことで、今までの3Dゲームでは端折られていた、飛び散った破片が地面に落ちて転がっていくような様子をリアルに表現することができるようになる。対応ゲームは限られているため、オプションの選択の際には検討を要するが、よりリアルな描画を求めるのなら興味深いオプションだといえる。 このように強力なグラフィックス機能と物理演算チップを搭載できるのが、このノートPCの2つ目の大きな特徴だろう。
そして、本製品の3つ目の特徴が搭載可能なストレージだ。XPS M1730は、ノートPCでありながら2台のHDDを内蔵することが可能だ。BTOオプションの構成も容量の小さいものから大きなものまで用意されている。 2台搭載可能と言うことで、当然関心はRAID構成に向くことになる。この点に関してもRAID 0(高速化のためのストライピング)とRAID 1(データを二重に持ってバックアップを行なうミラーリング)の選択が購入時にできるようになっている。特にRAID 0は更なる高速化を目指したい人にとって、導入の価値があるオプションだろう。 さらには最近話題のSSD(Solid State Drive)の選択も可能となっている。SSDはフラッシュメモリを使用したストレージで、ヘッドなどのシークタイムが発生しないため、HDDと違い物理的な衝撃に強く、ランダムアクセスが早いという特徴を持っている。HDDと比べてまだまだ価格は高く、大容量の製品も出てきてはいないのだが、性能を求める向きには今注目のストレージだ。 液晶ディスプレイには、17型のワイド液晶を搭載している。1,920×1,200ドット(WUXGA)での表示が可能な上、応答速度はノートPCとしては高速な7msだ。1,920×1,200といえば家庭用のTVなどで言うフルハイビジョンの1080pと呼ばれるサイズで、Blu-ray DiscやHD DVDなどのフルハイビジョンのコンテンツをドットバイドットで表示することが可能だ。オプションで光学ドライブをBlu-ray Discドライブに変更することもできるので、そういった映像コンテンツを楽しむことも可能だということだ。 17型のパネルで解像度が1,920×1,200ドットというのはいささかやりすぎの感もあり、表示されている文字は小さく、少し離れると読みづらい。しかし、フルハイビジョン解像度が表示できるというのは大きな魅力だ。また、ゲーマーにとっては液晶パネルの応答速度は非常に気になるところだが、7msならば動きの激しいゲームをしていても残像などが気になることはないだろう。 ここまで見てきたようにXPS M1730、これでもかというほど最高のパーツで構成されたノートPCだ。 ●ゲーマー好みのデザインを追及 ここまでスペック上での性能を見てきたが、次にデザインを見てみよう。XPS M1730はゲーマー向けを謳っているだけあり、ゲーマー好みのデザインに仕上がっている。まず目立つのが光る天板だ。試用機の天板は、ブラックのメッシュっぽい模様が描かれており、脇にはXPSのロゴが配置されている。ロゴの周辺のカラーは、スモーク・グレー/クリムゾン・レッド/ボーン・ホワイト/サファイア・ブルーから選択可能で、起動中にやんわりと光るようになっており、暗い中ではかなり目立つ仕様だ。 前面のスピーカーやタッチパッド部分にも光るギミックが施されており、それぞれユーティリティソフトを使って色を変更することができる。もちろんこれらの光るギミックはON/OFFの切り替えが可能で、輝度の調整も可能だ。 キーボードは本体の大きさを活かしてテンキーも搭載している。キーボードにもバックライトが組み込まれており、点灯すると刻印が白く浮かび上がるため、暗い中でも扱いやすいようになっている。
さらにキーボード右上には小さな液晶画面が搭載されている。この液晶はロジクールのG15 Gaming Keyboardに採用されているのと同じ機能を持っており、時計やタイマー、CPU使用率などを表示することが可能だ。試用機にはソフトウェアが入っていなかったため機能していなかったが、ユーザーが開発したソフトウェアも実行可能だ。 筆者は一時期G15を使用していたことがあるのだが、MSNメッセンジャーなどのメッセージを表示するソフトウェアを見つけてインストールしていたこともあった。これを利用すればフルスクリーンでゲームをプレイしていてもメッセージに気がつくことができる。ユーザーによる作業が必要だが、いろいろ便利に使える。
●インターフェイスもプレミアム仕様 インターフェイスに関しても実に充実している。USB 2.0を4ポート搭載し、IEEE 1394、メモリカードリーダやExpressCardスロット、Sビデオ出力も搭載している。200万画素のWebカメラとマイクがディスプレイの上部に用意されているのでビデオチャットなどに利用することもできるだろう。 なお、XPS M1730にはDVI-I端子が搭載されており、付属の変換アダプタを使えばHDMI対応のTVなどとケーブル1本で接続できる。ただし、音声出力には対応しない。 通信機能も充実しており、1000BASE-T対応の有線LANのほか、Bluetoothなどがオプションで用意されている。無線LANはベーシック構成の場合IEEE 802.11a/b/gになるが、オプションで最新のIEEE 802.11nを搭載することも可能だ。IEEE 802.11nは現在Draft 2.0で完全に一般化しているわけではないが、普及の進んでいる通信規格で、今までの無線LANと比べて最大5倍の通信速度を実現することができる。
●どんな人におすすめか このような高性能な製品をどのような人にお勧めすればよいかといえば結論は決まっている。ここまで高性能な製品を必要とするのは、現在のところハイスペックなPCを求めるゲームユーザーしかいないだろう。 一般的なゲームユーザーはデスクトップPCを利用しているのがほとんどというのが現状だ。しかし、ノートPCにこの性能を詰め込んだメリットは非常に大きい。まず設置場所の問題だ。日本では何かと小さい製品が好まれる傾向にあるが、これは住宅事情によるところが大きい。ノートPCとしては大きめの製品だが、それでも並みのデスクトップPCと比べれば省スペース性は抜群だ。使わないときには閉じて、立てかけておくこともできるので、PCの置き場所に困っているユーザーにはぴったりかもしれない。 そして、XPS M1730ならモバイル用途も考えられる。大きさ(406×302.6×50.7mm/幅×奥行き×高さ)と重量(約4.81kg、構成により多少変化)を考えると「えっ?」と思う方もいるかもしれないが、持って行こうと思えば移動できる点もノートPCの強みだろう。常に持ち運ぶ製品ではないだろうが、友人宅に持って行って遊ぶというのは十分ありだ。 そんなわけで、PCの設置スペースに悩む人や、高い性能のゲーム用PCを移動して使いたい人にお勧めしたい製品だ。 ●実際の性能は? 最後にその性能を見てみたい。ベンチマークに使用した製品は以下のスペックだ。CPUにCore 2 Extreme X7900、メモリ4GB、RAID 0のSSDでもテストしたかったところだが致し方ないところだろう。 ベンチマークの結果を見ると、多くのゲームで高い結果がでている。ややスコアが低いロスト プラネット エクストリーム コンディションや、World in Conflictでも低解像度なら普通にゲームを行なうことができるレベルだ。 注意していただきたいのは、これらのベンチマークを行なうにあたって、設定をかなりシビアにしていることだ。DirectX 10の機能をフルに使用し、画面効果を軒並み「高い」に設定しており、さらにアンチエイリアスなどの処理も実行している。このような効果を使わなければかなり処理が軽くなるため、高解像度での実行も現実味がでてくるだろう。結論としては、現在発売されているゲームなら、ほとんど問題なくプレイできるといって良いだろう。
□デルのホームページ (2007年10月31日) [Reported by 山本 倫弘]
【PC Watchホームページ】
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