発売中 価格:309,960円 最近は3Dゲームを楽しめるほどの高いスペックを備えるノートPCが増えてきた。ゲーム向けPCを謳うノートPCも次々にリリースされている。マウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE M710WEV2」(以下、NEXTGEAR-NOTE)は、そんなゲーム向けノートPCのうちの1台だ。 NEXTGEAR-NOTEは、CPUと搭載メモリ、グラフィックスチップが高性能なことはもちろん、液晶に1,920×1,200ドット(WUXGA)表示対応17型ワイドパネルを採用していることが大きな特徴だ。BTO(受注生産方式)での販売を行なっているので、CPUやメモリなどは購入時に好みのパーツを選択できる。今回は309,960円の標準モデルを紹介する。 ●GeForce 8700M GTの搭載とWUXGA液晶が新しい NEXTGEAR-NOTEは、NVIDIA製のノートPC向けGPUでは最高の性能を持つGeForce 8700M GTを搭載している。GeForce 8700M GTはDirectX 10に対応しており、ノートPCでありながらDirectX 10対応ゲームを楽しむことが可能だ。GPUのコアクロックは625MHz、ビデオメモリのクロックは800MHzで、メモリバスは128bitとなっている。デスクトップPC並みの512MBのGDDR3 SDRAMを搭載していることも特徴の1つだ。気になるパフォーマンスについては、ベンチマークテストの項で解説するのでそちらを見てほしい。 GPU以外の特徴としては、17型WUXGA液晶を搭載していることが挙げられる。ノートPCで17型ワイド液晶を搭載しているので、本体サイズは幅が397mm、奥行きが284mm、高さが22mm~44mm、重量は約4.1kgと大柄だ。しかし、頻繁に持ち歩くようなノートPCではないので、本体のサイズや重さが気になることはあまりないだろう。 液晶パネルは光沢タイプだが、映り込みはほとんど気にならない。ノートPCの画面に広がるWUXGAの解像度は新鮮で、最初は戸惑うかもしれない。Internet Explorerなら、横に2つ並べても余裕があるほどなので、何をするにも画面が広く感じる。ゲームとは関係ないが、写真の一覧表示やExcelの操作などは大変快適だ。このノートPCを使った後に、1,024×768ドット表示(XGA)の自分のノートPCを使ったときは、あまりの画面の狭さにストレスを感じてしまった。やはり、画面は広いほうが使いやすい。17型WUXGA液晶は、このノートPCの魅力を大きく高めている。 そのほかのスペックは、CPUにCore 2 Duo T7800(2.60GHz)を、メモリにはDDR2-667の1GBメモリ×2で計2GBを搭載している。CPUとメモリは、それぞれCore 2 Duo T7500(2.20GHz)、そして512MBを2枚の1GB構成にすることも可能だ。HDDはシリアルATA接続の2.5インチHDDを搭載する。基本構成では250GBを搭載しているが、BTOメニューで160GB、120GBも選択可能だ。 光学ドライブは±R DL対応DVDスーパーマルチドライブを搭載。ネットワーク機能はGigabit EthernetとIEEE 802.11a/b/g/nドラフト対応無線LANを搭載している。ゲーム向けを謳うだけあり、スペックはかなり高い。 ●ゲーム用のマウスとマウスパッドが付属 NEXTGEAR-NOTEはゲーム向けのノートPCということで、ゲームのプレイに最適なマウスとマウスパッドが付属している。マウスはロジクールのゲーマー向けマウスである「G5 Laser Mouse」が付属する。このマウスは、付属の重りをマウスの中に収納することで、マウスの重量を最大36g重くでき、自分の手に合う最適な重さを設定できる。36gでは大した違いは出ないと思うかもしれないが、実際に試してみると、4.5gの重りを2つ入れただけでもマウスの操作感がかなり変わる。何より、重さをカスタマイズした、自分専用のマウスを使えるという楽しさが良い。また、マウスに付いているボタンを使って分解能を400dpi、800dpi、2,000dpiに設定できる。細かい動きは2,000dpiで操作して、大雑把な動きは400dpiで操作するといったことが可能だ。 マウスパッドには、パワーサポートの「究極セットIII」が付属する。このマウスパッドは、マウスを滑りやすくする表面加工を施してあり、一般的なマウスパッドよりも軽い操作感を実現する。ゲーム内で、よりすばやい動きができるようになるというわけだ。マウスパッドの表面はサラサラしていて、たしかにマウスがよく滑る。このマウスパッドの上でマウスを使うと、マウスが軽くなったような感覚になる。裏面は粘着質になっているので、机に貼り付けるようにして使用する。また、このマウスパッドにはマウスの裏面に貼り付ける「エアパッドソール」というシートが付属している。このシートをマウスに貼り付けると、マウスパッド上でのマウスの滑りがさらに軽くなる。 そのほか、NEXTGEAR-NOTEにはキャリングバッグも付属している。ノートPC本体とACアダプターなどを入れて持ち運ぶためのものだ。知人の家にNEXTGEAR-NOTEを持って行ってゲームをプレイするときや、LANパーティにノートPCを持って行くときなどに役に立つだろう。NEXTGEAR-NOTEには、高いスペック以外にはゲーム向けと思われる機能はなにもないため、付属品でゲーム向けという方向性を打ち出している。言い換えれば、ゲーム用途以外にも使いやすいハイエンドノートと言える。
●本体のインターフェイス紹介 本体の特徴やインターフェイスなど、文章では分かりにくい部分を写真で紹介する。
●ゲーム以外にも便利に使えるハイスペックノートPC ゲーム向けノートPCとしてはもっとも重要となる、実際のパフォーマンスをベンチマークテストで見てみよう。このノートPCは液晶の解像度がWUXGAのため、いつものテスト内容に加えて、WUXGAでのテスト結果も掲載している。 なお、ロスト プラネット エクストリーム コンディションは製品版を使用しており、DirectX 10(DX10)対応のプログラムと、DirectX 9(DX9)対応のプログラムの2つで計測を行なった。どちらも選択できるクオリティ設定はすべて「高」にしている。また、DX10対応プログラムでは、クオリティ設定を「DX10」にできる項目があるので、それらの項目をすべてDX10にした場合の結果を、DX10の結果とは別に「各種設定:DX10」として掲載している。 結果を見てみると、ロスト プラネットを除くゲームベンチマークテストでは、すべて良好な結果となっている。これなら、ほとんどのゲームを快適に楽しむことができるだろう。ロスト プラネットだけは、XGAの解像度でも、DX10、DX9ともに厳しい結果が出ている。これだけのスペックのノートPCでもこの結果ということは、ロスト プラネット自体がノートPCには少々荷が重いゲームということが言えるだろう。 ベンチマークテストの結果だけでは分からないことも多いので、実際にゲームをプレイした場合の状況も紹介しておく。まず、ベンチマークテストでは低い値となったロスト プラネットをプレイしてみた。確かに、XGAの解像度でクオリティ設定をすべて「高」にすると、滑らかな描画は難しい。しかし、ある程度クオリティ設定を調整すれば結構快適にプレイできる。DX10では、かなり設定を落とさないとプレイし辛くなる場面が多いが、DX9ならそれほど問題はない。実際のところ、モーションブラーや影のクオリティ設定を落としたところで、ゲームをプレイし始めればよほど集中して見ない限り、設定の違いに気付くようなことはないだろう。筆者の場合、テストのはずが、ついつい5時間ほどプレイしてしまったほどなので、十分遊べるレベルと言ってよいと考えている。 次に、最新のDirectX 10対応ゲームである「Unreal Tournament 3」のデモ版をプレイしてみた。こちらも、WUXGAではクオリティ設定を低くしても快適に遊べるとは言えないが、解像度を1,400×1,024ドットあたりまで下げてクオリティ設定を調整すれば、快適に遊ぶことができた。解像度を下げて描画のクオリティ設定を上げるか、解像度を上げてクオリティ設定を下げるのかは結構悩ましい選択だ。解像度を下げると描画の精細さがなくなるが、クオリティ設定を上げられるので描画内容が最新ゲームという雰囲気になる。一方、解像度を上げると精細な画面になるが、クオリティ設定を下げないと快適にゲームができないので、描画内容が質素で寂しくなる。どちらが良いかは好みで決めることになる。 現時点で、ほぼ最高レベルのスペックを持つこのノートPCでも解像度の高さとクオリティの高さの両立が難しいということは、現状のノートPCでは解像度とクオリティの両方を望むことは難しいと言えるだろう。また、1点気になったことがあった。キーボードのキーの同時認識数なのだが、4つ認識するときと4つ目が認識しないときがあり、どうやら完全に対応しているのは3つまでのようだ。ゲームのプレイに大きな支障が出ることはなかったが、気にする人もいるかもしれないので記載しておく。 ほかにも、最新のラリーレースゲームである「SEGA RALLY REVO」の体験版もプレイしてみたが、Unreal Tournament 3と状況は同じだった。解像度の選択とクオリティ設定の選択をうまく調整すれば、快適にプレイできる。現状では、高解像度で最高のクオリティ設定で最新ゲームを楽しみたいのなら、ハイスペックなデスクトップPCを選択するほうが賢明だろう。 ベンチマークテストの結果を見ても分かるとおり、DirectX 9世代のゲームであれば、このノートPCでも余裕で最高の設定で楽しめる。また、解像度の高さと描画のクオリティ設定の高さにこだわらないのであれば、最新ゲームでも快適に遊ぶことが可能だ。事実、筆者はテストと言いつつ、前述したとおりロスト プラネットで約5時間、Unreal Tournament 3で約3時間、SEGA RALLY REVOで約2時間も遊んでしまった。その間、ほとんど性能に問題を感じなかった。ノートPCの省スペース性とデスクトップPCの性能の良さはトレードオフの関係にある。描画クオリティにこだわるのなら、場所をとってもデスクトップPCを選べば良いし、描画クオリティを多少落としても小さなPCが良いのなら、ノートPCを選べば良いだろう。 最後に、そのほかの気になった部分をあげておく。まず音だが、ステレオスピーカーを本体の左右側面に搭載しているため、ノートPCにしては結構良い音が出る。ゲーム向けのノートPCとしては十分納得できる音質だ。ただ、音楽を聞くとか、ゲーム中に音で敵の位置を知りたいといった場合には外付けスピーカーを導入したほうが良い。 もう1点、このノートPCの最大の特徴であり、また最大の欠点でもあるのが液晶ディスプレイだ。やはり、ゲームをプレイするときには、ゲームの解像度を液晶の解像度に合わせたい。しかし、このノートPCの液晶解像度はWUXGAのため、ピッタリ解像度を合わせると多くのゲームが快適に動作しない。ゲーム以外では大変快適な解像度なので、これがゲーム向けのノートPCでなければ高い評価ができるのだが、ゲーム向けを謳うノートPCということを考えると、この液晶は解像度が高過ぎるという評価になってしまう。先ほども言ったとおり、ゲームの描画クオリティにこだわるかどうかで、このノートPCへの評価は大きく変わる。これは人によって趣向が異なる部分なので、購入を検討している人はその部分で考えてみると良いだろう。どちらにしても、ゲームも楽しめるハイスペックノートPCとしては、現在最高レベルのノートPCと言って間違いないだろう。
□マウスコンピューターのホームページ (2007年11月16日) [Reported by 小林 輪]
【PC Watchホームページ】
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