元麻布春男の週刊PCホットライン

着々と進む45nmプロセスとクアッドコアへの道




●北京開催で変わった点

キーノートの演出には中国の伝統芸能もフィーチャーされた
 IDFといえば、これまではまず米国で3日間開催され、その内容をベースに2日間に凝縮したバージョンを全世界の複数都市にツアー展開する、というパターンが繰り返されてきた。しかし現CEOのオッテリーニ社長による全社的なコスト見直しを受けてか、こ年のIDFは大きく姿を変えることとなった。

 まず予定されていた3月のIDF USがキャンセルとなり、春の開催は北京の1カ所のみとされたのだ。さらに秋も、サンフランシスコに加え台北の2カ所で開催が予定されているものの、従来のような全世界を巡るツアーとは言い難い開催形態となる見込みだ。とはいえ、奇しくもIDFの初日と同じ4月17日付けで発表されたIntelの2007年第1四半期決算は、対前年比ならびに対前期比とも総売り上げが微減しているものの、利益は逆に増加しており、リストラによるコスト削減の効果はハッキリと出ている。人員削減も1四半期前倒しで目標の9万2千人体制に到達したという。

 それはともかく、従来は米国外のIDFは、どうしてもローカルイベントの色彩が強かったわけだが、米国開催のないIDF Spring 2007は、この北京開催こそが主役となる。建設中のオリンピックメインスタジアムにほど近いIDF会場である北京国際会議中心(BICC)には、多くの参加者がつめかけた。

 今回のIDFで初日のトップキーノートスピーカーの役割を担ったのはCTOをつとめるジャスティン・ラトナー氏。トップキーノートを行なうのは2006年春のIDF以来となる。

 前回のトップキーノートは約30分間と時間が短かったこともあり、担当のR&D分野を中心としたものであった。今回は約1時間のフル枠ではあったものの、国際イベントとしては初の海外開催ということもあってか、自己紹介的な内容やIntelと地元中国企業とのつながりをアピールする内容がかなり含まれており、それほど目新しい内容が多く含まれていたわけではない。

 こうした傾向は、この日にキーノートを行なったデジタルエンタープライズ事業部のパトリック・ゲルシンガー副社長、デジタルホーム事業部エリック・キム副社長にもある程度当てはまること。基本的に同じ場所で継続的に開催されてきたこれまでのIDFとは、やはり勝手が違うようだ。

中国ナンバー1の検索サイト、Baidu(百度)のShawn QWang CFOによる、Intelプラットフォームの効能を聞くゲルシンガー副社長 この日、最後のキーノートを行なったキム副社長
●Penrynの性能を初公開

Penrynファミリプロセッサの300mmウェハを手にするラトナーCTO
 目新しさが減ってしまった理由は、今回のIDFにおける最大の目玉である45nmプロセスのプロセッサについて、情報を先出ししてしまったことだろう。IDFに先立つ3月28日に、Intelは45nmプロセスで量産される2つのプロセッサファミリ、PenrynとNehalemについて一定の情報を解禁してしまった。

 せっかくなのだから、IDFまで待てば良いものをとも思うし、米国開催ならばIDFまで公開を待ったのではないか、とも思う。春のIDFが北京開催のみになったとはいえ、取材者の多くは圧倒的に中国のメディアで、米国のメディアの数は少ない。その辺に対する配慮があったのではないかという気がしている。

 もちろん45nmのプロセッサについて、新しい情報がなかったわけではない。特に年内にも量産が開始されるPenrynについては、動作する様子が初めて公開されたのは、今回のIDFが初めてなのである。これに加えて暫定的なもの(量産前のシリコンによるもの)ではあるものの、その性能が示されたのも、今回のIDFが初めてなのだ。

 パトリック・ゲルシンガー副社長のキーノートで示されたデモによると、性能向上は15%~40%というところ。比較したプロセッサが現行の2.93GHz Core 2 Extreme QX6800に対して2割ほどクロックの上がった3.33GHz動作のPenrynファミリのプロセッサ(FSBクロックとL2キャッシュも1,066MHz/8MBから、1,333MHz/12MBへそれぞれ向上)だから、一概に比べることはできないが、アプリケーションによってはクロック比以上の性能向上が得られる。Penrynが備える新しい命令セット(47のSSE4命令)や、Super Shuffle Engine/ATA/基数16の除算器といった機能強化がどれくらい有効かによって、向上比率は大きく分かれるようだ。

 また、これらのデモを通じて、Penrynファミリプロセッサの、個々の具体的な製品構成も明らかになってきた。デスクトップPC向けとサーバー向けにはデュアルコア(DC)とクアッドコア(QC)が提供され、モバイル向けにはデュアルコアプロセッサのみが提供される。

現行Core2 Quadプロセッサに対するPenrynプロセッサにおける性能向上 デスクトップおよびサーバーのプロセッサロードマップ
●出そろったコードネーム

 個々の製品に対するコード名もほぼ出揃い、デスクトップPC向けのデュアルコアプロセッサは「Wolfdale」、クアッドコアプロセッサは「Yorkfield」、サーバー(DP版)向けのデュアルコアプロセッサが「Wolfdale-DP」、同クアッドコアプロセッサが「Harpertown」である(消去法ではPenrynはモバイル向けのデュアルコア、ということになる)。ただ、これらは口頭で使われたり、一部のセッションスライドに登場するものの、キーノートに登場するスライド等では相変わらずひっくるめて「Penryn」と呼称されることが多い。あまりにコード名が増えすぎており、混乱を避ける意味もあるのだろう。

 ノートPCユーザーの多いわが国では、クアッドコアと言われても、それがノートPCに搭載されるようにならないと、実感に乏しいかもしれない。IDF前日のプレス向けブリーフィングに登壇したムーリー・イーデン副社長は将来、モバイル向けにもクアッドコアプロセッサをリリースする具体的な計画があることを明らかにした。ただ、それはモバイル向けのExtreme Editionプロセッサとして提供されるもの。デスクトップPCと同様、モバイルプラットフォームでも究極のゲーミング体験を提供しようという話しだから、日本人好みの、軽量薄型ノートPCにクアッドコアが乗る、という話ではない。それにはもうしばらく時間がかかることだろう。

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【3月29日】Intel、45nmプロセスの次期CPU「Penryn」の詳細を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0329/intel.htm
【1月29日】Intel、45nmプロセスの次期CPU「Penryn」の試作に成功
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0129/intel.htm

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(2007年4月18日)

[Reported by 元麻布春男]


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