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2007 International CESレポート【OQO編】
OQO、Vistaにも対応したUMPC“model02”を発表
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OQOのmodel02。オプションでドッキングステーションも用意されている |
OQOと言えば3年前、2004年のInternational CESでデビューしたCrusoeベースの「OQO model01」を覚えている方も多いと思う。CPUにTransmetaのCrusoe 1GHzを採用し、5型液晶で400g弱の重量と非常にコンパクトな製品に仕上がり、その後は2,000ドル近い価格設定にもかかわらず、モバイル製品が好きなマニアには非常に受けがよかった。
そのOQOが新たにデビューさせた製品が、「model02」という後継製品で、CPUがCrusoeからVIA TechnologiesのC7M ULVに変更され、新たにHDMIポートが搭載されるなど処理能力や使い勝手がさらに向上して登場した。
●小型のボディなのにフルWindowsというコンセプトは変わらず
今回発表されたOQO model02も、電磁誘導のペンタブレットを備えた5型の液晶ディスプレイと、スライド式で現れるQWERTYキーボードを持つフルWindows端末というコンセプトそのものは、「OQO model 01」を引き継いでいる。
液晶ディスプレイは、前述の通り電磁誘導式のペンタブレットの機能を持つ5型液晶で、解像度は従来モデルと同じように800×480ドットとなっている。なお、ソフトウェアによるスケーリングにより、1,000×600ドット、1,200×720ドット表示も可能になっている。ディスプレイ周りでユニークなのは、本体にHDMI端子が用意されていることだろう。もちろん、HDMI-DVI変換ケーブルを利用することで、DVI-D端子として利用することも可能だ。
さらに、別途ケーブル(標準添付)を介して利用可能なD-Sub15ピンが用意されており、それを利用することでそれぞれに接続したディスプレイで1,920×1,200ドット表示が可能という。なお、ペンタブレットの機能を選ぶ場合には、別途OSとしてWindows XP Tablet PC Editionを選ぶ必要があるという。
キーボードのデザインは若干改善されており、左側に用意されていたポインティングデバイスのボタンが大きめになった他、従来は丸型だったキートップも四角になっており、従来の製品に比べるとやや押しやすくなったという。実際入力してみても、思ったよりも打ちにくくなかった。また、キーボードの各キーにLEDバックライトが用意されており、スイッチをONにして暗いところで利用する際にもキーボード入力を容易に行なえるように配慮されている。
キーボードをしまった状態。通常持ち歩くときにはこうした持ち歩くことになる | 本体の底面部。左からHDMI端子、ドッキングステーションないしはD-Sub15ピン/Ethernet、USB 2.0端子 | キーボードは角形のキーになりより入力しやすくなったほか、ポインターのボタンが大きくなり操作性が向上 |
●低消費電力なC7M ULVと1チップチップセットのVX700をチョイス
基本的なコンセプトは変わらないが、内部構造は大きな違いがある。model01ではCPUにTransmetaのCrusoe TM5600 1GHzを採用していたのだが、model02ではVIA TechnologiesのC7M ULVに変更されている。VIAのC7MはEstherという開発コードネームで開発されたVIAの現行主力CPUで、VIAの子会社であるCentaur Technology(センターテクノロジー)が開発している製品だ。Pentium 4/Banias系のCPUと電気的に互換のバスを備え、従来製品のC3に比べて高い処理能力を実現しながら、低消費電力という特徴を持っている(詳しくは関連記事を参照いただきたい)。
中でも、超低電圧版のC7M ULVは1.5/1.2GHzで7.5~7Wの熱設計消費電力(TDP)を実現しており、従来のCrusoeと同じレベルの省電力を実現している。C7M ULVの特徴は、TDPの低さもそうなのだが、実際のバッテリ駆動時間に大きな影響を与える平均消費電力の低さだ。平均消費電力は計測法により異なるため、一概に比較することができないのだが、VIAのC7M ULVはx86プロセッサの中ではトップクラスと言えるレベルを実現している。今回のmodel02では1.5GHzないしは1.2GHzのC7M ULVを選択することができる。
チップセットはC7M用のVIA VX700が採用されている、VIA VX700はS3 GraphicsのUniChrome Proコアを内蔵したグラフィックス統合型チップセットで、かつサウスブリッジの機能も1チップにまとめられている。パッケージも35×35mm(幅×奥行き)とコンパクトで、実装面積を稼ぐことができる。そうして見ていくと、OQOがC7M ULVを選択した理由が、消費電力というよりも消費電力と実装面積の複合的な理由であると考えることができるだろう。
ただし、UniChrome ProコアはDirectX 7世代のGPUということになるので、Windows Vistaの3D GUIであるWindows Aeroを動かすための最低要件であるDirectX 9の機能は持っていない。説明員によれば、Windows Vistaにも対応しているとのことだが、Windows Aeroには対応していないと考えた方がいいだろう。なお、メモリは1GBないしは512MB、HDDは60GBないしは30GBから選択することができる。ビデオメモリがメインメモリと共有であることを考えると、できるだけ1GBモデルを選択したいところだ。
●オプションで光学ドライブ内蔵のドッキングステーションが用意される
無線機能は標準でIEEE 802.11a/b/g無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR。写真のアンテナはオプション(149ドル)でバンドルされるEV-DOのWWANサービス用アンテナ |
無線関連も改善されており、IEEE 802.11a/b/g無線LAN、Bluetooth 2.0+EDRを標準で搭載している。さらにオプションで、米国でSprintが提供しているEV-DOのWireless WANの機能を内蔵することができる。Ethernetも用意されているが、D-Sub15ピンと共通の外部ケーブルを利用する必要がある。
model02にはオプションでドッキングステーションが用意されており、EthernetやHDMI端子、D-Sub15ピン、USB 2.0×3、光学ドライブ(DVDスーパーマルチドライブないしはDVD-ROM/CD-RWコンボドライブ)などを利用することが可能になっている。ちょうとポートリプリケータのような使い勝手であると考えるといいだろう。ただし、本体はアームで高い位置に固定されるので、本体のディスプレイをメインのディスプレイとしてキーボードをつないで使うという使い方も可能だ。
OQOのサイトではすでに販売が開始されており、以下のような価格設定がされている。
CPU | C7M ULV 1.2GHz | C7M ULV 1.5GHz | C7M ULV 1.5GHz |
---|---|---|---|
OS | Windows XP Home Edition | Windows XP Professional | Windows XP Professional |
HDD | 30GB | 60GB | 60GB |
メモリ | 512MB | 512MB | 1GB |
価格 | 1,499ドル | 1,699ドル | 1,849ドル |
なお、標準のOSはWindows XPだが、Windows VistaへのExpress Upgrade(日本で言う安心アップグレード)の権利がついており、通常のアップグレード版よりも安価にVistaにアップグレードすることができるようになるという。国内ではBruleが取り扱いを表明しており、2月中旬より発売される。価格は269,800円から。
□2007 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□OQOのホームページ(英文)
http://www.oqo.com/
□Bruleのホームページ
http://brule.co.jp/
□関連記事
【2006年3月11日】【Cebit】VIA、TDP3.5Wの超低電圧版C7-Mを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0311/cebit05.htm
【2005年5月31日】【笠原】“C7”を武器にモバイル/家電市場に一石を投じるVIA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0531/ubiq113.htm
【2005年2月15日】【買い物】PDA並みの超小型Windows XPマシン「OQO model 01」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0215/kai41.htm
【2004年1月11日】【CES】超小型PCメーカーOQOの光と影
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0111/ces10.htm
(2007年1月9日)
[Reported by 笠原一輝]