買い物山脈

PDA並みの超小型Windows XPマシン
「OQO model 01」




品名OQO ultra PC model 01 Windows XP Pro版
購入価格275,651円
購入日2005年1月4日
使用期間約1カ月

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

●ひとめぼれ

 私がOQOに初めて触れたのは、2004年のInternational CESの会場であった。PC Watchの読者にはおなじみの、毎年1月初旬にラスベガスで開かれているAV家電を中心にした大きな展示会だ。OQOは単独でブースを持っておらず、控え室のような場所で試作機を見せていただいた。一目見た瞬間に、クールでスタイリッシュなその外観に、「私が欲しかったのはこれだ!」と、一気に舞い上がり、まさに“ひとめぼれ”をしてしまった。

 紹介が前後してしまったが、OQOとは、PDAサイズでWindows XPが動作するフルスペックのPCを開発したベンチャー企業の名前だ。その最初の記念すべき製品が「OQO ultra PC Model 01」である。以下紛らわしい場合を除いてマシンの名前もOQOと呼ばせていただく。

 創業者はかつてアップルに籍を置き、PowerBookの開発に関わっていたそうで、OQOのどこか高級感ある筐体デザインはそうしたDNAを十分に感じさせてくれる。今回は、日本にまだあまり台数が輸入されていないOQOの魅力をぜひ皆さんにお伝えしたいと思う。

 まずはOQOのスペックから紹介しておこう。

 
【OQO ultra PC Model 01の主な仕様】
CPUTransmeta Crusoe 1GHz
HDD20GB
メモリDDR 256MB
OSWindows XP(英語版)プリインストール
表示デバイス800×480(WVGA) 5型 タッチパネル付き液晶
入力デバイス QWERTYサムキーボード、マウスボタン、
TrackStik ポインティングデバイス、
デジタルペン、サムホイール、マイクロフォン
インターフェイス IEEE 802.11b無線LAN、Bluetooth、
IEEE 1394ポート(4ピン)、USB 1.1、
3.5mm ヘッドフォンジャック
バッテリ着脱式リチウムポリマー
付属品ドッキングケーブル、スタンド、ACアダプタ、携帯用カバー
本体サイズ125×86×23mm(幅×奥行き×高さ)
重量約400g

OQOの前面。800×480ドットの液晶ディスプレイと電源スイッチ兼スタンバイスイッチ 液晶をスライドするとサムキーボードがあらわれる。筐体の左側面にIEEE 1394ポートとアンテナ、手前側側面にドッキングケーブル用コネクタ、サムホイール、USBポートがある OQO右側面。左よりヘッドフォンコネクタ、バッテリ着脱ボタン、アンテナ、デジタルペン
QWERTY配列のサムキーボード。左端はマウスボタン、右端はテンキー、テンキーのすぐ左にはTrackStik ポインティングデバイスが配置されている SHIFT、FN、CTL、ALTの各キーを押すと、すぐ隣のLEDが点灯する。それぞれが点灯している間に別のキーを押すと同時に押したのと同じ効果となる。親指だけでタイプするキーボードとしては使いやすい工夫である HP iPAQ h2210と大きさの比較
OQOはクレジットカード2枚強の大きさだ。写真で比較しているのはパスネット(関東地方の私鉄各社で使えるプリペイドカード)

●OQOの魅力

 OQOの特徴は、まずはそのサイズだ。クレジットカード2枚分ほどの、PDAのサイズにWindow XPマシンをぎゅっと縮小してしまった感じだ。しかし小さいながらもQWERTY配列のフルキーボードを搭載し、テンキーもついている。SHIFT、FN、CTL、ALTの各キーを押すとすぐ隣のLEDが点灯し、それぞれが点灯している間に別のキーを押すと、同時押しと同じ効果となるなどの工夫もされている。

 液晶ディスプレイを上方向にスライドすると、下からキーボードがあらわれる。OQOは小さすぎてlaptopとはさすがに呼べず、uPC(ultra Personal Computer)、マイクロPC、もしくはhandtopと呼ばれている。つまり、新ジャンルの出現とする人もいるようだ。

 筐体には特殊なコーティングが施されており、強度もさることながら、見た目や手触りの高級感を見事に演出している。重量は約400g。普通、こうしたPDAや携帯電話の類は軽ければ軽いほうがよいと考えるが、OQOは大きさのわりには手ごたえを感じる重さである。しかし手ごたえは見た目のクールさとあいまって、内部の緻密さや高級感を感じさせる演出だともいえそうだ。かえってこれが軽いと安っぽい印象になりかねないのではないだろうか、なんて、思ってしまうのはほれ込んでしまった弱みかもしれないが、読者の皆さんにはぜひ写真でOQOのスタイリッシュさを確認してほしい。

 OQOの2番目の魅力は、このサイズでありながらキーボード搭載のフルスペックのPCであることだ。おかげでいつも使っているソフトをそのまま、いつでもどこでも使うことができる。私は本業で「Lotus Notes」を使うことが多いが、PDAでは残念ながら一部の機能しか使えなかった。もちろんOQOではLotus Notesも使える。

 それに、たとえば電車の中や、ホームで電車を待つようなちょっとした時間にも、立ったままの状態でメールの返事を書くことができる。最近では携帯電話でメールを書いている姿を目にする機会が増えた。携帯電話のテンキーのみでメールを書くのが苦手な私でも、OQOならばQWERTYキーボードの威力ですいすい返事を書くことができる。本原稿の下書きもほとんどこうした通勤の時間にOQOを使って書いたものだ。同じことをしようと思っても普通のノートPCでは座席が確保できないと難しい。移動の時間を有効に使えるようになったのは本当にありがたい。

Bluetoothで接続している周辺機器。奥左からVodafone 702NK(携帯電話)、OQO本体、Bluetake BT500(マウス)。手前はThinkOutside Stowaway Bluetooth Portable Keyboard。いずれもOQOとBluetoothで接続して使用している

 OQOの小さな筐体にもかかわらず、周辺機器接続の拡張性を確保する手段としてBluetoothが搭載されているのも魅力だ。私は、携帯電話をモデムとして使ったダイヤルアップも、外付けのキーボードとの接続も、PDAとのシンクロナイズもBluetoothで行なっている。コードレスでこうした周辺機器を使えるのは想像していた以上に便利で快適だ。Bluetoothなら、カバンの中からケーブルを取り出してコネクタに接続する手順を一気に省略して、必要な周辺機器だけを取り出して、すぐに使い始めることができる。たとえば携帯電話をポケットに入れたまま、OQOだけを取り出してダイヤルアップができたり、同様にOQOとカバンの中のPDAとシンクロができたりするのも、とてもスマートである。これを一度体験してみると、ケーブル接続の世界に戻りたくないくらいの快適さだ。


●購入まで〜待ち続けた1年間〜

 展示会の会場でOQOの試作機を見て触ってしまった私は、製品版が出たら絶対に購入するぞと心に決めていた。2004年後半に出荷の計画であると聞き、そしてOQOを待ち続ける日々が始まった。

eXpansys.jp

 私がOQOを事前予約したのはイギリスに本拠地をもつショッピングサイトeXpansys.jpだ。ここに決めたのは、OQOが正式発表もされていない段階から予約を受け付けていたためだ。正直言って最初は多少不安だったが、そのままここを信用して待ち続けた。

 OQO model 01の正式発表は2004年10月14日。そしてその後、米国でOQOの出荷が始まった。早い段階で手に入れたユーザからWebに喜びの報告があがってくる。しかし、さすがに一気に供給量を上げることは難しいらしい。こうした新製品には「産みの苦しみ」はつきものと聞くが、今回も例外ではなかったようだ。Webで情報を取りながら覚悟を決めて、気長にひたすら待つしかなかった。

 結局私の自宅にOQOが到着したのは年明けの2005年1月4日だ。あいにく私はInternational CESへの出張中で、実際に触ることのできたのは帰国してからだった。最初に試作機を手にしてからちょうど1年が経過していた。単にOQOの側で供給体制が遅れただけでなく、eXpansysが米国外にも販売できるようにするための交渉に時間がかかったようだ(本来OQOは米国内向けに直販でしか出荷されていないのだが、eXpansysは特別に米国外にも販売している)。

 結果的には米国内の代理輸入業者経由で入手した場合よりも少し納期がかかったが、eXpansys.jpの日本人スタッフの方に大変お世話になり、日本語で安心してやり取りできたのでいい買い物だったと思う。

□eXpansys.jpのホームページ
http://www.expansys.jp/

●OQOの弱点と私なりの対策

 実はこんなにほれ込んでいるOQOにもいくつも弱点がある。後半はそれらを紹介して、私なりの対策にも触れておこう。

 私が1番ショックだったのは内蔵無線LANの感度がかなり低いことだ。定量的な表現でなくて恐縮だが、アクセスポイントによっては相当近くに寄らないと接続できない。しかたなくUSBドングルタイプの無線LANアダプタ、バッファローの「WLI-U2-KG54-AI」を購入し、電波の弱いときはこれを使っている。

 OQOのUSBポートは1.1である。最近のPCではUSB 2.0が普通となっており、見劣りする。特に外付けのHDDにつなぐ際には、IEEE 1394ポートかEthernet経由でネットワークドライブを使うほうが良さそうだ。

 また、このUSBポートのバスパワーにも注意しておきたい。最近のUSB接続の周辺機器では、接続したUSBポートからの電源供給だけで動作し、ACアダプタを別に接続する必要のない製品が人気だ。しかし、OQOはこのUSB経由の電源供給能力があまり高くなく、このやり方で動作する周辺機器は限られる。

 本体のUSBポートはキーボードの手前側面に位置しており、ここにUSB機器を挿すとその大きさによっては付属のスタンドに乗せられなくなってしまう。この場合、グリーンハウスの「GH-USBKU」のようなUSB方向変換アダプタを使うと便利である。

OQOを付属のスタンドにのせたところ USB機器の装着例。写真の製品は、バッファローの無線LANアダプタ、WLI-U2-KG54-AI グリーンハウスのUSB方向変換アダプタ、GH-USBKU。OQOでUSB機器を使う場合に便利

 OQOの本体にPCカードスロットがないのも弱点といえば弱点だ。例えばCFタイプのAIR-EDGEカードやLANカードなどの周辺機器はOQOでは利用できない。USBやBluetoothを活用する方向で考えなければならない。

本体のコンパクトさに比べ、ドッキングケーブルは太く、かなりかさばる。ドッキングケーブルには、ディスプレイ、Ethernet、オーディオ出力、USBポート、ACアダプタ、IEEE 1394用の各コネクタが実装されている

 OQOと周辺機器をつなぐためにドッキングケーブルが用意されているが、これにはディスプレイ/Ethernet/オーディオ出力/USBポート/ACアダプタ/IEEE 1394用の各コネクタが実装されているので、本体のコンパクトさに比べて大きくかさばるのが残念だ。Ethernetケーブルをつなぐのならば、このドッキングケーブルを使う以外にUSBタイプのLANアダプタを用意する手もある。

 液晶プロジェクタをつないでプレゼンを行なう機会が多い私の場合、持ち歩くのにコンパクトなディスプレイケーブル用のアダプタが必要だが、残念ながらこのごついドッキングケーブルしか使えるものは存在しない。純正オプションがないなら、サードパーティが用意してくれるといいなと思っている。

 OQOの電源であるが、バッテリは2〜3時間しか持たず、PDAや携帯電話と比べてしまうとかなり厳しい。標準添付品と同じバッテリをオプションとして追加購入できるので、何とか最低限の解決にはなりそうだ(現在は発注して入手待ち)。

 考えてみれば、普通のノートPCと同等の機能が搭載されているのに、あのサイズのバッテリで2〜3時間使えることのほうをほめるべきではないかと思うくらいである。

 また、ACアダプタも本体のコンパクトさに比べてしまうとかなり大きく、不満だ。しかもコネクタが特殊で代替品がなく、他社製のACアダプタは利用できない。これもサードパーティの活躍を期待したいところだ。


ドッキングケーブル(上)とACアダプタ(下)の本体側コネクタ。ACアダプタのコネクタは特殊で、他社製のACアダプタは利用できない OQOのバッテリ
バッテリの残量表示。バッテリ単体で残量がわかるので便利だ。ボタンを押すと残量に応じてLEDが点灯する OQOのACアダプター。OQOの本体と比較してかなり大きいことがわかる

 このほか、タッチパネルの精度が悪く、あまり使いやすくないのも弱点であるが、TrackStikとBluetoothマウスを使っているのであまり不便を感じずにすんでいる。TrackStikは、私の場合ThinkPadで使い慣れたTrackPointと大変近く感じられ、結構使えている。ときどきドリフト(勝手にふらふらとマウスカーソルが動き出す現象)がおきるところまで同じである。

Win高速化 PC+

 OQOがいくら超小型PCだからといって、満足できるだけのCPUパワーを備えているかどうか気になっている人も多いかもしれない。用途によって必要なCPUパワーも異なるので、一概には言えないが、電子メールやテキストタイピング中心の使い方の私の印象としてはなんとか我慢できるレベルだ。本体LCDディスプレイで使用するには画面のドット数が少ないせいか、予想以上に使える印象だ。私はOSを日本語版のWindows XP SP2に入れ替えて使っているが、「Win高速化 PC+」というソフトを使って不必要な機能を止めるカスタマイズを行なったところ、より快適に使えるようになった。技術的にあまり細かいことを知らなくても利用できるので、お薦めできそうだ。

□Win高速化 PC+
http://www.asahi-net.or.jp/~vz6t-iwt/

 以上に述べたように、OQOはいくつかの弱点を持ちながらも、PDAサイズのWindows XPマシンという新しい分野を切り開く魅力にあふれた超小型PCである。第一世代であるが故の弱点も、ほとんどの部分はユーザがなんとかカバー可能だ。また、OQO自身もBIOSやドライバの改良を継続しており、着実な改善が期待できる。特に、OQOのスタイリッシュな外観と、Bluetoothの活用によるワイヤレスコネクションの魅力は、今までになかったレベルのものだと思う。このPCをレアなマシンにしておくには大変もったいない。この魅力的な製品が多くの人にとってもっと身近で手に入れやすい存在になってくれればよいと希望する。

□OQOのホームページ(英文)
http://www.oqo.com/
□OQO ultra PC model 01の製品情報
http://www.oqo.com/hardware/basics/
□関連記事
【2004年11月16日】グリーンハウス、USBコネクタの角度を自由に調節できる変換アダプタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1116/green.htm
【2004年7月28日】バッファロー、スティックタイプのUSB接続11g無線LANアダプタ2製品 (BB)
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/6145.html
【2004年1月11日】【CES】超小型PCメーカーOQOの光と影
〜Windows搭載、スライド式キーボード付で400g弱
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0111/ces10.htm
【2002年4月17日】【WinHEC】250gのCrusoe搭載Windows XP機を展示
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0417/winhec1.htm

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(2005年2月15日)

[Reported by kei_1]


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