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2008年に年間1億プロセッサの製造を目論むAMDの製造手法
4月18日 開催 日本AMD株式会社は18日、報道関係者向けに同社のプロセス技術と製造能力向上に関する戦略説明会を開催。AMD本社で製造・テクノロジ部門のシニアバイスプレジデントを務める、ダリル・オストランダー氏が解説を行なった。 オストランダー氏は、8086プロセッサの時代から、25年に渡り、同社のFab立ち上げや管理を取り仕切ってきた人物。同氏が日本で報道向けに講演するのは今回が初。
オストランダー氏が、2005年の実績について「売上の面でも、製造の面でも成功の年」と表現するように、同社の近況は好調ぶりを見せている。その背景には、同社プロセッサに対する高い評価だけでなく、同社が独自に培ってきた「APM (Automated Precision Manufacturing:自動調整製造)」と呼ばれる製造手法がある。 APMとは、高度に自動化され同期化された意志決定機構を持つ製造手法で、製造工程管理のみならず、設備性能の最適化、製品性能目標設定、歩留まり管理、統合生産計画を統合的に管理/運用できる。 APMの導入により、AMDでは、Athlon 64やSempronといった異なる種類のプロセッサのみならず、量産品と開発中のプロトタイプを同一のラインで製造したり、供給量の調整を即座に行なうことができるという。
APMについて解説を加えた、日本AMD品質保証部部長の鈴木屹氏によれば、とある顧客から四半期内に70万~100万個の範囲のプロセッサの受注を受けたが、最終的受注数は120万個に増加したものの、注文通り四半期内に120万個すべてを納品したという。 また、通常、量産と開発で分けられる製造ラインを共通化することで、開発ラインで得られた信頼性や歩留まりをそのまま量産に移せるメリットがあるとした。 加えて同社では、「CTI (Continuous Transistor Improvement:継続的なトランジスタの改良)」と、「STT (Shared Transistor Technology:トランジスタの共有)」という他社にない製造手法を採用している。 CTIとは、同じプロセスの製品でも、四半期ごとにリスクの少ない変更をトランジスタ構造に加えていく手法で、次のプロセス世代に向けた改良をトランジスタに順次施していく。こうすることで、例えば65nm世代の最初の製品では、90nm世代の最後の製品のトランジスタをそのまま流用することができ、プロセス移行に伴うリスクを軽減し、歩留まりを向上できる。
こういった手法により、同社のメインFabであるFab 30では、本来の製造キャパシティの1.5倍にあたる毎月3万ウェハ(200mm)の生産量を実現し、過去6年間Fabベンチマークで業界1位を堅持しているという。 これに加え、この4月からはプロセッサ向けとして同社2番目のFabとなるFab 36が立ち上がった。Fab 36は65nmプロセス製品を主軸に据えた300mmウェハ製造工場。2006年後半から65nmプロセス製品の製造を開始し、2007年後半には完全に65nmへ移行させる見込みで、製造能力は月産2万枚を予定する。 さらに、AMDは、製造面ではChartered Semiconductorと、開発面ではIBMと提携。これらを踏まえ、オストランダー氏は「2005年から2008年までの間に生産量を倍増させ、2008年には年間1億プロセッサの生産を目指す」と目標を掲げた。 また、今後のプロセスシュリンクについては、「45nmプロセスは予定通り2008年中にスタート。その後の世代の技術も現在IBMと共同開発中で、2011年には22nmを実現する」との見込みを示した。
□日本AMDのホームページ (2006年4月18日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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