槻ノ木隆のPC実験室

新旧2台のTeraStationを試す




 総容量TBクラスのHDDを搭載できるというところから「TeraStation」という、ある意味捻りも何もない、そのまんまな名前がついたバッファローのNASシリーズ。初代「HD-HTGL/R5」シリーズは、USBプリンタサーバ機能や同社の「LinkTheater」との連動機能などを持ち、UPSへの対応も可能。しかもRAID 1/5の構成やTeraStation同士でのミラーリング、ジャーナリングのサポート(ファイルシステムにXFSを搭載)といった特徴を持つことで、価格の高さ(総容量0.6TBの「HD-H0.6TGL/R5」で89,250円、1TBの「HD-H1.0TGL/R5」は111,615円、1.6TBの「HD-H1.6TGL/R5」は165,375円)にも関わらずそれなりに売れている製品だ。

 このHD-HTGL/R5の後継として2005年11月に発表、今年に入ってから流通が始まったのが新しい「TS-TGL/R5」シリーズである。フォルムを一新し、また0.3TB〜2TBまでラインナップを増やしたこの新TeraStationシリーズの性能を、旧シリーズとあわせてちょっと試してみたいと思う。

●シリアルATAベースでフロントパネルからアクセスも容易

 さて、まずは新シリーズから全体を見ていきたい。フロントパネルはブラックを基調としたものに代わり、上部に表示部と操作部が集中する合理的なレイアウトだ(写真01)。旧シリーズと並べると、若干幅が狭くなり、その分高さが増した印象だ(写真02)。どちらが好ましいデザインか、は個人の趣味もあるため一概には言えないが、筆者的には新タイプの方が好ましい感じだ。

 ちなみに高さだけでなく奥行きも増しているが(写真03)、その大半はフロントカバーという感じである。背面も大きくレイアウトが変わっており、少なくともケースに関しては大幅に設計変更されていることが伺える(写真04)。

【写真01】サイズ的にはミニタワーをもう少し低くした印象。見かけはごついが、サイズ自体が小さいこともあって案外にかわいらしく思える 【写真02】旧タイプ(左)はリビングなどにおいてLinkTheaterなどと連動させることも考慮してか、多少モダンな印象。Cubeと いうよりもやや縦長ではあるが、それでも新タイプと比較すると幅太に感じられる
【写真03】奥行き比較:手前が旧タイプ。サイズはというと旧タイプが168.5×220.7×240.6mm(幅×奥行き×高さ)、一方新タイプは170×235×310mm(同)。7cmほど奥行きが深くなった計算だ。 【写真04】旧タイプ(右)の電源はPCの電源を彷彿とさせるものがある

 新型はフロントパネル下部のロックを外すと、簡単にHDDにアクセスできるようになっている(写真05)。とはいえ、さすがにワンタッチプラグインのドライブレール搭載というのは価格的に無理だったようで、ドライブを引っ張り出すとSATAのコネクタと電源コネクタがくっついてくる形だ(写真06)。この2つは一体になったコネクタが利用されており(写真07)、ドライブ側レール下部に設けられたプラスチックの爪でホールドされる。強度的にはいまいち心もとない感じで、乱暴に着脱すると破壊しそうだが、そもそもHot Plug/Unplugを前提にした製品ではないからこれでも十分とは言える。

【写真05】ドライブベイ。カバーなどは全てプラスチックなので、無理な力をかけるのは禁物 【写真06】ドライブを引っ張り出したところ。後ろにケースファンが見えているのがわかる。冷却効率に関しては良さそうな配置だ
【写真07】一体型コネクタのお陰でケーブルも引っ張り出しやすく、装着も楽だ 【写真08】この爪がエンプラ製で、ちょっと強い力を加えると折れてしまいそうなのが難点といえば難点か。丁寧に扱う限りにおいてはまず問題ないとは思うが

 カバーを外すと、ケース上部に電源が配され、その下にドライブベイが並ぶ形になる(写真09)。一方マザーボードはというと、反対側に縦に配される(写真10)。ところでこの電源部、場合によっては焼損の恐れありという案内が1月上旬に発表されている。実は試用した機種がまさしくこれに該当しており(写真11)、いったんバッファローに返却して対策を講じてもらった後で再度借用することにした。

【写真09】レイアウト的には非常にすっきりしている。カバーは底面の脚部4カ所と、背面の3カ所のネジで外せる 【写真10】ケーブル類が整然と並んでおり、アクセスがしやすそうな構造。こういう状態を見せられると、やはりシリアルATAケーブルは便利だなぁと思う 【写真11】製造番号は対象機種に該当していた

 対策前の電源部はこんな感じ(写真12、13)で、12Vライン用と思しきコンデンサの両脇に、通常のカーボン抵抗が配されていた。これが対策後は、金属抵抗に変わっているのがわかる(写真14〜17)。回路全体を追いかけたわけではないが、+12V回路で負荷が大きくなる(例えばHDDを4台ともWestern Digitalの透明窓付きRaptor Xに入れ替えるなど)ケースでは回路設計時よりも大きな電流が流れ、抵抗が焼損するという可能性が出てきた、というあたりではないかと思う。

【写真12】向かって右側が主にHDDのモータ向けの+12V回路と思われる 【写真13】上から見た図。このアングルでの右側は+5Vと想像される。+3.3Vは作ってないようだ 【写真14】問題部品その1:写真12で680μFの電解コンデンサの根元に配される。0.82Ωのカーボン抵抗だ
【写真15】問題部品その2:写真13で左に位置する巨大コンデンサの根元に配される。0.43Ωのカーボン抵抗が2本パラで0.21Ωという計算 【写真16】対策後その1:同じ0.82Ωながら2Wの金属抵抗に変わり、しかもクリッパ回路と思しきダイオードが入っているのがわかる 【写真17】対策後その2:こちらは0.22Ω 3Wの金属抵抗に素直に置き換わっていた

 さて、バラしたついでにコントローラ部の構成も見ておこう。部品点数の割にはやや広い基板だが(写真18)、小さくまとめてもその分ケーブルの長さが余分に必要になるだけだし、これなら楽に4層で配線できるからちょうど良いサイズなのだろう。とはいえ、表面だけではパーツが実装しきれないようで、裏面にも多少パーツが配されている(写真19)。

 表に戻ると、中心部にはFreescaleの「MPC8241」が配され、その脇にSDRAMが置かれる(写真20)。一方PCIバスの下にはGigabit Ethernetコントローラ、USB 2.0コントローラとシリアルATAコントローラ×2がぶら下がる(写真21)。ちょっと面白いのはバックアップ電池の脇にあるNECの「μPD78F0511」(写真22)で、これは同社の8bitフラッシュマイコン。どうも背面にあるUPSと連動するシリアルポートは、MPC8241ではなくこちらのフラッシュマイコンに繋がっているようだ。なお、背面にはSDRAM×2のほか、4MBのフラッシュメモリも搭載されていた(写真23)。

【写真18】PCIバスのパターンが目で追えるほどだから、レイアウトは結構楽だったのだろうと想像される。ちなみに左下の丸いものはバックアップ電池 【写真19】裏面もPCIバスのパターンが気持ちよいほど良くわかる 【写真20】MPC8241はPowerPC 603eベース、266MHz駆動の製品。PowerQUICCほどには周辺回路は内蔵されていない。メモリはPC133 CL3 32MBの汎用品
【写真21】Gigabit EthernetコントローラはRealtekの「RTL8110S-32」、USBコントローラはNECエレクトロニクスの「μPD720101」、シリアルATAコントローラはSilicon Imageの「SiI3512」がそれぞれ搭載される 【写真22】ちょっと紛らわしいが、NECエレクトロニクスの「78K0/K2」シリーズに属する、16KBのフラッシュメモリを搭載したワンチップマイコン。なぜかWebでは型番が見つからないが、パンフレットには記載されている 【写真23】SDRAMは表面と共通。フラッシュメモリはST Microelectronicsの「M26DW324DB」で、こちらもやはり汎用品

 以上の情報を元にした内部構成推定図が図1である。PCIバスが33MHzか66MHzかがいまいち判然としない(個々のパーツのスペックだけ見れば、66MHz駆動は不可能ではない)が、何となく筆者の勘では33MHz駆動な気がする(理由は後述)。

 ちなみに液晶パネル面だが、スイッチの切り替えで5種類の情報を表示できるようになっており、なかなか便利であった(写真24〜28)。LEDに関しては、通常はグリーンで揃えられており、あまり違和感を感じない(写真29)。また余談ながら、初期化スイッチはフロントパネルを開いて液晶の下という、凄いところについている(写真30)。

【図1】TS-TGL/R5内部構成図(筆者推定)
【写真24】Ethernetの接続速度表示 【写真25】利用しているHDDの表示
【写真26】サービスしているドライブの表示 【写真27】内部に設定されている現在の日時
【写真28】ホスト名とIPアドレス。DはDHCP Clientとして動作していることを示す 【写真29】Messageの燈色が光っているが、これはRAIDのチェック中のためで、普段はLINK/ACTとHDDのACCESS、それと液晶面だけが比較的光量を抑えて点灯する。しかも必要であれば光量を更に落とす設定も可能 【写真30】初期化スイッチ。フロントパネル側からアクセス可能で、しかも間違って押すことが考えにくい優秀な場所だとは思うが、マニュアルを見ない限りまず見つからない場所でもある

●旧シリーズも見てみる

 同様に旧シリーズも見てみよう。外側のパネルを外すと、まるでシールドケースかと思うほど頑丈な内部構造が姿を見せる(写真31)。この内部構造の一部を成すのがコントローラが納められた蓋で(写真32)、これを外すとドライブを手前に引っ張り出すこともできる。とはいえここまでのネジの多さはかなりのもので、新シリーズに慣れるとドライブの交換がとてつもなく面倒に感じるのは事実だ。

【写真31】頑丈そうに見えるが、実はフレームにあたるものはなく、側面パネルで強度を持たせている形になっており、組みあがった状態では頑丈でも、バラすと非常に弱い 【写真32】とにかくネジの多さに閉口するが、これで強度を出している以上しかたがないのかもしれない。ここまでバラすと、ドライブを4台まとめて引っ張りだすことが可能。慣れれば展開3分、交換2分、戻し3分というあたりまで迅速に作業できそうだが、最初にやったときは20分以上かかった(しかも組んでみたらネジが余った!)

 さてそのコントローラだが、筐体も違えばスペックも違う(シリアルATAとパラレルATA、USBポート×2と×4、など)ため、当然別のものだ(写真33)。ただ配置は異なるものの、概ね似た構成になっている。裏面も似たようなものだ(写真34)。

 実際パーツ構成を見ても、MPC8241にPC133 32MB SDRAM×4(写真35)、RealtekのRTL8110S-32とNECエレクトロニクスのμPD720101あたりは全く同じ。異なるのはSilicon ImageのシリアルATAコントローラの代わりにiTEのパラレルATAコントローラを搭載している程度だ(写真36)。裏面に配されるフラッシュメモリも同様だ(写真37)。細かいところでは、UPSのコントローラ(というより、電源管理というのが正確だろう)に「NASIDT001」と呼ばれる独特のコントローラを使っているあたりだろうか(写真38)。実はこの製品、ベースはFreescaleの「68HC908JL8」というマイクロコントローラで、これをBUFFALOでカスタマイズしたモデルのようだ。最後に電源だが、なんとSeasonicの200W SFX電源がそのまま搭載されていた(写真39)。

【写真33】フロントパネルのUSBコネクタを保持するために、一部がやや突き出した形状になっている 【写真34】裏面は写真19にちょっと似た形状。といっても、写真19が写真33を流用したというほどではない
【写真35】CPU、メモリともに同一銘柄。ただメモリに関しては、別のチップを搭載した製品もあるという報告を見たことがある 【写真36】パラレルATAコントローラは台湾iTE TechのIT8211AFが2個搭載される。そのほかは全く同じ
【写真37】裏面も全く同一製品が搭載される 【写真38】このチップはLinkStationなどでも利用されているそうだ。ただ、なぜ新モデルでこれの採用を止めたのか、は謎である 【写真39】搭載されているのはSeasonicの「SS-200SFD」。Active PFC搭載で力率99%以上というタイプ

 以上の情報を元にした内部構成推定図が図2である。電源管理とシリアルATA/パラレルATA以外は、全く同じハードウェア構成になっていると思われる。先にPCIバスが33MHzではないか? と書いたのは、ITEの「IT8211AF」が66MHz PCIに対応していないからで、従って旧モデルは間違いなく33MHz PCIである。で、これをSiI3512に変えたことで理論上は66MHz駆動も可能になったはずだが、それをやるとアナログ回路廻りの見直しは必須(信号速度が上がるから、パスコンとかノイズ対策などは多少考えないといけない)に思える。当初から66MHz駆動を念頭において設計していればともかく、普通に考えれば33MHzのまま使うのが妥当だろう。

【図2】TS-HTGL/R5内部構成図(筆者推定)

 先に新シリーズを見てから旧シリーズを見直すと、全般にいえるのは旧シリーズは開発費を最小に抑えるべく利用できるものは外部から利用して、ケースもやや辻褄あわせで作った感が強い。電源の流用などその最たるものだろう。新シリーズではこうした部分を見直し、利便性とメンテナンス性を向上させたモデルということが言えそうだ。

【写真40】特に初期化時やファイルシステムのチェック時など、円周状に配置されたLEDがネオンサインのように光るため、かなり鬱陶しく感じる。明るい室内ならまだいいのだが、少し暗いところではかなり目立つ

 余談ながら旧モデルは、液晶パネルがない分LEDで全ての情報を表示させるのだが、はっきり言ってLEDの点灯がかなりうるさい(写真40)。LEDの輝度(特に下の3つのLED)がやや高めであり、また円周状に配置されたLEDがかなり煩雑に点滅する。しかも輝度調整の機能がないので、暗くした部屋に置いておくとかなり目立つ。このあたりは液晶パネルを搭載した新シリーズの方が(個人的には)好感が持てる部分だ。


●インストールと設定

 インストールに関してはそれほど難しい問題はない。PC側でまずインストーラを起動し、そこで初期設定ユーティリティを立ち上げて、いくつかの設定を行なえば完了だ。実のところ、この作業すらも絶対に必要というわけではない。DHCP環境下ではDHCPクライアントとして動作するが、それがなければ192.168.11.150というデフォルトのIPアドレスでTeraStationは勝手に起動してくれる。なので、LAN内のマシンからアドレスを指定してWebブラウザで接続すれば、そのまま設定作業に入れる。(DHCP環境下でのIPアドレスは、液晶パネルに表示される)。

 ただ、それでもユーティリティCDはインストールしておいたほうが便利だ。例えばDHCP Serverのない環境で、複数台のTeraStationを接続するとか、LANのネットワークアドレスが全く異なっているなどといった場合でも、ユーティリティに含まれる「TeraStationクライアントユーティリティ」を使うと、個別に状況の表示と設定の変更が可能だ(画面01)。

 さて、以下はWeb画面ベースに説明をしたい。TOP画面はTeraStationのIPアドレス、HDD状態などが表示され(画面02)、画面左のメニューが更に階層化する仕組みだ。基本画面は本当に基本的な内容の設定(画面03)、IPアドレス設定(画面04)ではIPアドレスの設定とMTUの設定が可能だ。一方ワークグループ設定では、ワークグループないしドメインへの設定が可能になっている。このあたり、ワークグループへの参加のみをサポートした低価格NASとは一線を画している部分だ。

【画面01】クライアントユーティリティはMACアドレスをベースに検索と接続を行なうようで、ここからTeraStationの状態表示のみならず、IPアドレスの変更を行なうこともできる 【画面02】“I'm here!”は新シリーズで追加された機能。これをクリックすると、当該TeraStationは液晶パネルを点滅させながらビープ音を鳴らす。複数台のTeraStationがある状態で個体を識別するのに便利な機能だ
【画面03】名称はこの場合ホスト名として使われる 【画面04】MTUのサイズは1,518byte以外に4,100byteと7,418byteを設定できる

 ディスク管理では状態表示(画面06)とRAID設定(画面07)、USB HDDの接続状態設定(画面08)、ディスクチェック(画面09)、フォーマット(画面10)といったメニューが並ぶ。

【画面05】ドメインを選んだ場合、認証方法は「Windowsドメインコントローラに認証を委任する」しか選べなくなる 【画面06】HDDのユニット名まできちんと表示されるあたりはいいのだが、ちょっと画面が長すぎる気がする 【画面07】このレベルはまだ状態表示のみ。ここで“設定”ボタンを押すと、具体的な設定画面に移行する
【画面08】スペック表にあるとおり、サポートされるUSB HDDは同社の製品のみ。試しに手持ちの汎用USB HDDを接続したが案の定認識されなかった 【画面09】これを開始すると、250GBのもので約6時間ほど応答しなくなる 【画面10】フォーマット形式は、少なくとも内蔵に関してはXFS以外選べない

 共有フォルダ設定は、共有フォルダそのものの設定(画面11)と、そのほかのサービスの設定(画面12)が用意される。

 グループ管理(画面13)/ユーザー管理(画面14)は、ワークグループで利用するときに各々のユーザー/グループの設定を行なうだけである。

 バックアップ設定(画面15)は、別のTeraStationあるいはUSB接続したHDDへのバックアップを定期的に行なうためのものである。面白いのは、TeraStation一覧(画面16)や手動検索(画面17)がこのバックアップの下にあることで、確かに間違ってはいないと思うが、これはネットワークメニューの下でもいいような気がする。

【画面11】フォルダはあくまでもネットワークから見た話であって、例えばTeraStationのRAID領域の中に複数のフォルダを作り、そこを別々の名前で公開できるわけではない。TeraStationが公開できるのはあくまでディスク(というか、ドライブ)単位である 【画面12】ちなみにここで“設定”を押しても詳細項目は出てこない。単に個々のサービスの有効/無効を設定するだけである
【画面13】グループ設定。共有フォルダ毎に利用できるグループを変えるというケースでは役に立つだろう 【画面14】ユーザー設定。特権の類は別にないが、アクセスログを表示する際に「誰が何をやったか」を特定する際に便利だ
【画面15】デフォルトでは当然ながらバックアップスケジュールは空だ 【画面16】“HD-HTGL83F”は同じセグメントに接続した旧シリーズのもの 【画面17】自動検索で見つからないときはここで追加する。サブネットが異なる場所に別のTeraStationがある場合に利用することになるだろう

 メンテナンスのメール通知設定(画面18)は、本体の異常(HDDやRAID、ファンの故障)やバックアップ完了/構成変更などをメールで送信してくれるもの。ほかにUPS連動機能(画面19)、警告音(画面20)、表示パネル設定(画面21)のほか、シャットダウン(画面22)、初期化設定(画面23)などの項目が用意される。

 最後がシステム状態で、主要な項目が細かく見られるようになっている(画面24)。ファンの状態まできちんと監視できるのはやはり便利だ。

【画面18】ちなみにHelpによれば、POP before SMTPには未対応だそうであるが、これはしかたがないことだろう 【画面19】現在はAPCとOMRONのUPSに対応している。OMRONの場合、USB接続も可能である
【画面20】HDD容量などの警告はないが、あってもうるさいだけであり、まずは順当な選択項目と思われる 【画面21】冒頭で述べた輝度の設定はここで行なえる。LEDの輝度も選べるのが嬉しい
【画面22】いきなり電源を落としてもまぁ大丈夫なのだが(そのためにジャーナリングがある)HDDには悪影響を及ぼすし、再起動後はドライブの確認が6時間ほど続くことになるから、このメニューを使うことをお勧めする 【画面23】初期化メニュー。非常にわかりやすい 【画面24】ほかにログ情報では細かなファイル操作ログが表示される。難を言えば、Sambaサーバのログそのままなのでちょっとわかりにくいことだろうか

 以上が新シリーズでの設定画面だが、実は概ね旧シリーズも同様である。というよりも、正確に言えば旧シリーズの設定画面をほとんど新シリーズが継承したというのが正確だろう。従って画面もほぼ同じである。旧シリーズになくて新シリーズにあるのは液晶画面やLEDの輝度調整とシステム状態のログ表示程度であり、一方旧シリーズにあって新シリーズで削除されたのは匿名FTP設定(画面25)、プリンタサーバ設定(画面26)とプリンタジョブ削除(画面27)、及びpcast(画面28)程度である。

【画面25】後述するPCASTに関係して、記録した映像や画像を外部から簡単にアクセスできるように、という配慮で用意されたと思われる 【画面26】これは新シリーズでは機能ごと削除された
【画面27】削除のみ、というのがやや不満ではある 【画面28】LinkTheaterと連動する機能。これは別ウィンドウで表示される 【画面29】“Hd-htg83f”が旧シリーズなのでプリンタ共有サービスが見えている。ちなみに“TODA”は旧シリーズのデフォルトのワークグループ名である

 今回は新旧2台のTeraStationをどちらも固定のIPアドレス、ワークグループ名“TODA”で設定して同一LAN上に配した。これをWindowsから見ると、それぞれアクセスできるようになっているのがわかる。

○テストその1:1台のクライアントからアクセス

 さて、問題の性能である。まず図3のような環境を用意し、1台のクライアントからの接続性能を比較してみた。テストにはHDBench Ver3.30を利用した。

【図3】テスト環境その1

 まずグラフ1は通常サイズのMTU(1,518byte)でアクセスを行なったケースだ。この状態では、Single(1台のHDDへのアクセス)/Stripe(2台のHDDでのストライピング)/RAID 1(2台のHDDでのRAID 1)/RAID 5(4台のHDDを使ってのRAID 5)であまり大きな性能差は見られない。1番下の“Local”というのは、ローカルHDDにアクセスした場合の数字で、やはりローカルに比べるとLAN経由はどうしても遅い。それを踏まえても、Gigabit Ethernet経由にしてはやや数字が伸びない気がする。

 そこでMTUを4,100byteに設定し、Jumbo Frameを利用した結果がグラフ2である。御覧の通り、全般的に数字が大きく伸びており、Localとは比較にならないまでも、だいぶ性能改善が見られることがわかる。

【グラフ1】HDBench(MTU=1,518byte) 【グラフ2】HDBench(MTU=4,100byte)

【写真41】それでもこれはまだいいほうで、Yukonのもう少し古いドライバだとJumbo FrameがEnableかDisableしか選べない。逆にIntelの最近のGigabit Ethernetコントローラの場合、任意の数字を設定できるが、これはこれでどのあたりにしたらよいか迷ってしまうところだ

 「どうせなら7,418byteにすればいいのに」と思われそうだが、これを設定しなかったのは、クライアント側の制約によるものだ。クライアントにオンボードで搭載されるMarvelのYukon(88E8053)のドライバは、MTUが1,518byte/4,088byte/9,014byteの3種類で、7,418byteのサポートがない。本来ならば、Yukon側がTeraStationにあわせて7,418byteまでサイズを減らしてくれそうなものだが、実際にやってみるとどうもそうならないようで通信エラーが多発したため、最大公約数ということで4,100byteで落ち着かざるを得なかった。そもそもJumbo Frameといっても具体的なサイズがどこかで標準化されているわけではないので、致し方ないのだろう。

 4,100byteでは、ディスク構成による性能差がもう少し大きく出てくるが、意外にRAID 5の性能が悪くないのはこの手の製品としては重要なファクターだろう。


○テストその2:4台のクライアントからアクセス

 NASである以上、1台のマシンだけでアクセスしていては意味がない(それならNASなんぞにせず、RAIDカードとHDDを内蔵したほうがマシだ)。そこで、マルチクライアントから一斉にアクセスした場合の性能を次に試してみた。

 利用したのはVeriTestのNetBench 7.0.3だ。このテストは1台のコントローラと複数台のクライアントからなり、コントローラにアクセススクリプトを渡すと、その内容を各クライアントで実施して、その際のスループットやアクセスタイムを測定してくれる。

 今回はdm.scr(20MBのデータファイルを作成し、Word/Excel/PowerPoint/Corel Draw/Word Pro/PageMaker/Paradox/etc...のアプリケーションの動作を模したファイルアクセスを行なうテスト)を利用し、図4に示すような4台のクライアントで同時アクセスを実施してみた。各クライアントでは最大5つのエンジン(スクリプトを実行するプログラム。別プロセスで実施される)を起動するようにしており、1台×1エンジンから4台×5エンジンまで負荷を変化させながら性能の変化を測定した。

【図4】テスト環境その2

 まずMTUを1,518byteに設定した場合の平均転送速度の結果をグラフ3に示す。意外なのは、総じて新シリーズ(TS-TGL/R5)の性能が低いこと。エンジン数が8〜10あたりでピークに達し、そこから緩やかに性能が落ちる傾向を見せている。グラフ4は平均レスポンス時間で、こちらも新シリーズが全般的に大きめ(=レスポンスが遅い)になっている。台数が少ないときはほとんど差がないから、ディスクアクセスのピーク性能自体はほぼ同じで、I/Oリクエストが増えると簡単に飽和しやすいということになる。

【グラフ3】平均転送速度(MTU=1,518byte) 【グラフ4】平均レスポンス時間
(MTU=1,518byte)

 これはMTUを4,100byteにしてもあまり変わらない。グラフ5が転送速度であるが、旧シリーズ(HD-HTGL/R5)が50Mbps近くまで性能を上げているのに対し、新シリーズはほとんど性能が変わらない。面白いのは旧シリーズでも、RAID 1構成の時だけは性能が上がらない(むしろ落ちている)ことで、フレームサイズが大きくなって効率よくクライアントからリクエストが到達するようになったことで、処理がオーバーフローしたと考えるべきであろう。この傾向はグラフ6の平均レスポンス時間にも明確に見て取ることができる。

【グラフ3】平均転送速度(MTU=4,100byte) 【グラフ4】平均レスポンス時間
(MTU=4,100byte)

 さて、これをどう考えるべきだろうか。ハードウェアの構成はほとんど同じであるのは先に示したとおりである。違いはというと、まずはHDDそのものである。旧モデルはSeagateのBarracuda 7200.8 ST3250823A、新モデルはWestern DigitalのWDC2500JS-55Mを搭載している。どちらも7,200rpm/8MBキャッシュ/容量250MBの製品で、平均アクセス時間も大差ない。実際グラフ1、2の結果では大きな違いがないこともわかっている。WDC2500JSはNCQなどには未対応だが、Barracuda 7200.8もパラレルATAだからNCQなどは利用できず、ここでの差はまずない。

 では、CPU側かというと、それもおかしい。なにしろ動作クロックから何から全く一緒で、唯一違うのがHDDコントローラである。ただIT8211AFにせよSiI3512にせよ、マザーボードなどに多く搭載されていてそれなりに枯れている製品だから、(断言はできないが)ここまで差が出るとはちょっと思いにくい。となるとありそうなのは内部のチューニングというあたりか。旧シリーズは試用した製品のファームウェアバージョンが2.01なのに対し、新シリーズは1.00である。案外このあたりがまだ不十分なのではないか、という気がする。

○テストその3:違うHDDを入れてみる

 TeraStationの場合、交換用HDDとしてメーカー指定の「HD-HQFBS」シリーズが用意されている。当然これ以外のHDDでは動作保証はなされていないわけだが、逆に保証がなくても良ければ動くのか、を最後に試してみた。幸い、以前PCI-XバスでRAID構成を試した時に購入した、Barracuda 7200.7 シリアルATA 120GB×4があるので、これとそっくり入れ替えてみた。

 結果はというと、「動かない」。一応TeraStationそのものは起動するのだが、クライアントユーティリティを起動してもファームウェアバージョンが表示されないし、Web設定画面が立ち上がらない。勿論共有フォルダへのアクセスも不可能だった。

 簡単セットアップユーティリティでシステムの初期化を行なってもダメで、残念ながら入れ替えは失敗に終った。こういうところで欲目を出してはいけない、ということだろう。

●結論

 新旧2つのTeraStationを使った感想を言えば、小規模なNASとしてはどちらも良くできているという印象である。価格は確かに高めなのだが、性能や機能を考えれば妥当な線だと思う。問題はどちらを選ぶか、である。使い勝手(特にメンテナンス性)を考えると、これはもう新シリーズがイチオシである。Web画面も進化しているし、なによりHDDの交換の手間が桁違いに少ない。細かいところでは、フロントのカバーがそのままフィルタになっており、埃などが内部に入るのを最小限に抑えているあたりもポイントは高い。

 その一方、性能という意味では明らかに旧モデルの方が良い。このあたりをどう考えるか、が微妙なところだ。例えば筆者宅の場合、最大十数台(今回のテストみたいなケースがあると急に台数が増え、終わると減る。常時動いてるのは5台程度である)の接続があるが、同時アクセスという意味ではせいぜい2〜3台だから、この程度ならそれほど性能差は大きくないのでメンテナンス性や使い勝手重視で新モデルを選びたいところ。ただSOHOなどで5〜10人程度が共用する、などといったケースでは、性能的にやや不満が残りそうだ。将来のファームウェアのバージョンアップでこのあたりが改善されれば、文句なく「新シリーズをイチオシ」と言えるのだが。

追記:テストが終わった後の2月14日に、ファームウェアVer 1.02が公開された。今回は時間の関係で追試はできなかったが、できればこれで多少なりとも性能が改善されていることを期待したい。

□バッファローのホームページ
http://www.buffalo.jp/
□Sun Ultra 20 Workstationの製品情報
http://jp.sun.com/products/desktop/ws/ultra20/
□関連記事
【1月6日】バッファロー、TeraStationの電源に不具合
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0106/buffalo1.htm
【2005年11月2日】バッファロー、HDD交換が容易になった「TeraStation」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1102/buffalo1.htm
【2005年2月2日】【買い物】TeraStationのHDDを換装する
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0202/kai40.htm

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(2006年2月28日)

[Reported by 槻ノ木隆]


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