山田祥平のRe:config.sys

朽ちる紐と生まれる紐




 コンピュータから生える線は、できるだけ少ない方がいい。だから、周辺デバイスの無線接続化技術には大いに期待したいところだ。けれども、個々のデバイスが電子機器であるかぎり、常に、電源の呪縛が新たな紐を生み出す。

●紐と出っ張りからの解放を支えるテクノロジ

 ぼくは今、仕事場で使うデスクトップPCとは別に、3種類のノートPCを使い分けている。その内訳は、

・Lenovo ThinkPad T43
・NEC LaVie G タイプJ
・Panasonic Let'snote LIGHT R4

となっている。大きな違いは画面サイズと重量だ。それぞれ15型(1,400×1,050)-2.7kg、12型(1,024×768)-1.93kg(本体1.38kg+セカンドバッテリ555g)、10.4型(1,024×768)-999gとなっている。ThinkPadは2泊を超える出張には欠かせないし、長めの会議で各種のソフトウェアを駆使しなければならない場合にはLaVieの手頃なサイズが使いやすい。そして、日常の持ち歩きにはLet'snoteのコンパクトさと軽さがありがたい。結果的に、もっとも持ち歩く時間が長いのは、今のところLet'snoteとなっている。

 Let'snoteは、バッテリで公称9時間の運用ができる。このシリーズにはバッテリ充電にエコノミーモードと呼ばれる機能が用意されていて、充電を定格フルの80%に抑えることで、新品時比約50%までとされる寿命を延命させることができる。9時間の80%は7.2時間だが、ぼく自身の日常の使用において、電源アダプタを携帯しなくても、不安になったことはあっても困ったことはない。これで出先では電源アダプタという紐からは解放されてPCを使えている。

 無線に関してはWi-FiとBluetoothを利用している。Wi-Fiは内蔵だが、Bluetoothは実装されていないためsocketのCF型アダプタを愛用している。このアダプタは非常に高価なのだが、CFタイプの他社製品や、USBドングルタイプのものと違ってCFカード内にアンテナが収容されているため、ノートPC本体に装着しても出っ張りがゼロというメリットがある。もっとも、そのために多少感度が犠牲になっているようではあるが、出っ張りゼロという魅力は捨てがたい。

 Wi-Fiによってハイスピードインターネット、Bluetoothによって携帯電話によるインターネット接続と、マウスの接続が無線ででき、それぞれの紐から解放されている。

 マウスといえば、ロジクールの人に会うたびに、CFカードタイプで出っ張りのないレシーバを作ってほしいとお願いしているのだが、なかなか実現に至らない。ノートパソコンにUSBタイプのレシーバーを装着したときの出っ張りは、モバイル用途ではやはりわずらわしい。

 さらに、モバイル用のマウスはマウスで進むと戻るをアサインしたサイドボタンを持つものがなかなか見あたらない。サイドボタンがあるとないでは、ブラウズの効率が全然違う。これも是非製品化を切望したいところだ。

●無線化の魅力を倍増させるバッテリの技術

 ノートPCには、このほかに、さまざまなデバイスをつなぐが、無線化されているものは、Ethernetとマウスくらいで、ほかは紐、つまりケーブルが必要だ。ポータブルHDD、ウェブカメラ、ヘッドセット、iPod、プロジェクタなどなど、用途に応じてさまざまなデバイスをケーブルを使って接続する。

 ワイヤレスUSBの本格普及も間近なようなので、これらのデバイスの無線化も、そう遠くはない話ではありそうだが、パソコンとデバイスを結ぶ紐を撤廃できても、デバイスへの電源供給という問題が残る。わざわざ電源ケーブルをデバイスに接続するくらいなら、パソコンとデバイス間をケーブルで接続して、USB給電する方が簡単だ。マウスのように何ヶ月もバッテリが持つようなデバイスならともかく、種々雑多なデバイスのバッテリ状態を常にチェックして管理していくのはたいへんだ。

 今、自宅に戻ってカバンから取り出したノートPCに接続するケーブルはただ1本、充電のための電源ケーブルだけだ。もし、充電がケーブルレスでできるのなら、カバンから取り出す必要もないのだが、さすがにそうはいかない。明日の7.2時間のために、ノートPCの充電だけは忘れない。これが携帯電話なら1日くらい充電をさぼっても、翌日に支障をきたすことはない。ノートPCもそのくらいのレベルになってほしいものだ。

 ちなみに、松下電池工業は、インテルと次世代電池を使ったプラットフォーム技術の共同開発に合意し、同社の開発した次世代リチウムイオン電池の運用に向けた共同開発を進めている。このバッテリを使えばノートPCのバッテリ運用時間を大幅に延長することができるそうなので期待は大きい。

 具体的にはニッケル酸系正極を使うことと、従来同様の4.2Vの充電電圧でありながら、放電終止電圧を従来の3Vから2.5Vに下げることで、同じ容量のバッテリであっても利用電圧範囲が拡大され、結果的に運用時間を増大させることができるといことらしい。同社では、2006年4月に、この技術によって従来より10〜40%高容量化した次世代リチウムイオン電池を導入する計画だ。

 ただし、この電池を2直で使い、その能力を最大限に発揮させるためには、プラットフォームそのものの使用電圧を5V以下にする必要があるという。インテルと松下電池工業両社の共同開発作業の中で、ノートパソコンの次世代プラットフォームであるNapaの仕様がどのようにすりあわせられていくのかも気になるところだ。

●紐から解放される日は遠い

 もし、パソコン周辺デバイスに電源が必要な場合は、バッテリ形状の標準化も視野に入れてほしいところだ。もし、今の単3、単4電池のような円筒形でなくても、せめて形状が標準化されていれば、その充電の手間も軽減されるし代替もきく。予備のバッテリを用意しておくこともできる。本体のデザインを束縛したり、軽薄短小化の犠牲になってしまうなどの理由でそれが無理なら、せめて、今のUSBミニ端子ケーブル程度に、充電ケーブルの端子形状電圧等を共通規格にするなど、クレードル方式なら端子形状などを共通規格化し、ひとつの充電器でユニバーサルに各デバイスのバッテリを充電できるようにしてほしいものだ。

 もっと理想を言えば、カバンの中にPCとともに個々のデバイスが入っていれば、カバンに1本のケーブルを接続すればすべてのバッテリがケーブルレス充電されるとか、さらに夢物語を言えば、特定の場所にカバンを置くだけで充電が開始されるくらいの便利さがほしい。これは、ぼくが生きているうちには実現されるだろうか。

 いずれにしても、自宅であれ出張先であれ、デバイスごとにバラバラの充電器を用意し、こんがらがるケーブルを紐ときながら充電しなければならないのでは、せっかくの接続無線化も魅力は半減する。

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【9月29日】【笠原】ワイヤレスUSBデベロッパ・カンファレンスレポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0929/ubiq127.htm

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(2005年9月30日)

[Reported by 山田祥平]


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