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ロボット技術の総合見本市「ROBOTREX2005」開催
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会期:7月13日~17日
場所:インテックス大阪
7月13日、「ロボカップ2005大阪世界大会」と、ロボットテクノロジーの総合展示会「ROBOTREX2005」がインテックス大阪にて開幕した。
ロボカップとはロボットによるサッカー大会で、今大会は世界大会。出場選手は31の国/地域から、合計333チームが参加。参加選手はおよそ1,800人。13日から各競技で予選が始まった。17日まで熱戦が繰り広げられる。
競技は中型ロボットや4足、ヒューマノイドによるサッカーだけではなく、震災などを想定としたジオラマで被災者を救出するロボカップレスキュー、ダンスや小型ロボットによるロボット教育を目的としたロボカップジュニア等も展開されている。
その同じ会場内で完全にロボカップと混在した形でブース展示されている、ロボット関連技術の総合見本市であるROBOTREX2005には、主に関西を中心とした中小ベンチャー企業や大学研究室がロボットを出展。
特にビジネス然としている雰囲気を押し出しているでもなく、かといって研究用ロボットの展示でもない、東京での展示会とは少し違う、独特のリラックスした雰囲気を醸し出した展示会となっている。
本レポートでは、ROBOTREXの主立った展示を中心に、ロボカップについても紹介する。
●ROBOTREX 2005
入り口をくぐり、まず目立つのは愛・地球博(愛知万博)のプロトタイプロボット展で出展されていたいくつかのロボットたちだ。万博で見損ねた、という方は、こちらをのぞいてみては如何だろうか。
NECのPaPeRoを使った味覚ロボット | 立命館大学による「みゅーたん」。データグローブをつけて作業者が動作すると、マイクロフィンガーが動き、対象物を操作する。人差し指にはちゃんと関節がある |
アンドロイドの「リプリーQ1」はROBOTREXでも人気者だった | 案内などを行なう街角ロボット | 人間の力を増幅するパワーエフェクタ |
そのすぐ裏にあるシチズン時計ブースでは、独自の技術を使ったマイクロロボットのほか、時計を組み立てる機械を実際に稼動させながら展示している。
時計用のマイクロ熱発電素子で駆動するロボット。熱電対に温度差を与えることで発電する | 【動画】時計を組み上げていく機械。動きが興味深い |
次に目立つのは、RooBO次世代ロボット開発ネットワーク ロボットラボラトリー(財団法人 大阪市都市型産業振興センター)のブース。こちらには近畿大学/株式会社ロボメカニクス研究所による半導体レーザーで動作する歩行ロボットや、株式会社システクアカザワによる小型ロボット、ビー・エル・オートテック株式会社によるチラシ配布ロボット「Robotch(ロボッチ)」などが展示されている。
RooBOブース。ペンギンロボットは開発中のモック。ある会社で受付ロボットとなる予定 | システクアカザワによる小型ロボットたち。それぞれ名前がつけられていたが、動いているところは見られなかった |
京商が製品化に向けて開発中の小型ロボット | アサヒ電子研究所が出展したロボット用画像システム。CMOSカメラモジュールを搭載した世界最小クラスのボードコンピュータだという |
近畿大学大学院総合理工学研究科 河島研究室と、株式会社ロボメカニクス研究所が開発した「Kupm」。身長150cm。背中に背負った太陽電池パネルで半導体レーザーからのエネルギーを受け、駆動する。腕や足にはシリンダーを使った平行リンク方式を採用。
近畿大学大学院総合理工学研究科 河島研究室と株式会社ロボメカニクス研究所が共同で開発した「Kupm」 | 背面でレーザーを受けて動く |
ビー・エル・オートテックのRobotchは、人が来ると立ち上がってチラシを差し出すロボットだ。外観は神戸芸術工科大学が協力している。
Robotch。大きさ40cmほど | 【動画】Robotchがチラシを差し出す |
イクシスリサーチはKHR-1を使った「和ボット」などをデモ展示している。また、同社ウェブサイトで公開したばかりの、Microsoft Visual Studio .NET上で動作するロボット用ソフトウェア開発キットの説明を行なっている。
「和ボット」。着物を着たKHR-1 | 【動画】踊りを踊る |
ロボカップのスポンサーでもある日本SGI株式会社もブースを出展。
マネキンロボット「Palette」。デザイナーの松井龍也氏のフラワー・ロボティクス社と日本SGIの共同開発 | 【動画】人が前に立つとセンサーで反応し、ポーズを取る |
警備会社のセコムは介護用ロボットのマイスプーン、警備ロボットなどを出展。
食事介護用ロボット「マイスプーン」 | 同じく介助用の「セコムリフトロボット」 | 屋外用警備ロボット。詳細は発表時の本誌レポート参照 |
バンダイは自律型探査ロボットの開発過程を学ぶことができるロボットキット「タンサーボーグ」を出展した。タンサーボーグはワンダーボーグの発展版で、ユーザーは付属のソフトウェアを使うことで、フローチャートでロボットのプログラミングを行なうことができるようになっている。フローチャートで書いた動作はボタン1つでCにコンパイルされ、ロボットにダウンロードされる。
タンサーボーグは、少し改造することでロボカップジュニアにも出場できる。本体価格は25,000円で、11月発売を予定している。
タンサーボーグ | タンサーボーグ。キャタピラ改造版 | タンサーボーグ。ヒト型改造版 |
富士通オートメーションは7月5日に発表したばかりの研究用ヒューマノイド「HOAP-3」をデモ展示。HOAP-2の後継機である。
HOAP-3。身長60cm、体重8.8kg。カメラを備え、音声認識・合成機能を標準搭載し、喋る機能を持った。また膝に形状記憶合金を使って突っ張るなど構成も一部改良されている |
【動画】赤を認識してボールをもぐら叩きのように叩く。叩けない場所にボールが出ると、自分でそちらまで歩いて行ってさらに叩く | 調子が悪く、一時は背中のカバーをあけてメンテナンスも。許可を得て撮影させてもらった |
ロボカップの4足リーグは全てソニーのAIBOが用いられている。ブースでは、スケルトンモデルのAIBOのほか、'93年、'98年に製作された試作機が展示されていた。
AIBOのスケルトンモデル | '93年に製作された試作機。6足 |
'98年に製作された試作機 | そのほか、NTT西日本ブースにはなぜかウルトラマンが。記念撮影している人が大勢いた |
●ロボカップ2005
ロボカップは、2050年に人間の世界一のチームと勝つことを目標としている。だが現状では残念ながら、ロボットたちのサッカーは、人間のサッカーとは比べようがない。いわゆるサッカーとは別物だと思ったほうが良いだろう。発展途上にあるロボットたち、そしてその開発に従事する研究者たちの姿を見に行くのだと思ったほうが良い。2050年までは、まだまだ時間がある。
写真と動画で簡単に様子をご紹介する。
ロボカップの歴史と目標 | ロボカップの目標までの時間がカウントダウンされている | ロボカップサッカー・中型リーグ |
かなりガツンガツンぶつかり合いながらボールを弾き合う | シミュレーションリーグ。ある意味、一番進んでいるロボカップサッカーかもしれない |
4足リーグの様子 | 【動画】ハードは全てAIBOなので、ソフトウェア、プログラミングの勝負になる |
ヒューマノイドロボットリーグ。今年からPK戦だけではなく、2 on 2や不整地歩行などが競技に加わった | 【動画】競技中の1コマ | 【動画】シュートしているのは前回優勝した「Team OSAKA」のVIsiON Nexta。記者が見たなかでは他のロボットたちに比べると抜群の安定感を誇っていた |
ロボカップ2005、ROBOTREX2005は共に17日まで。その後、研究成果発表の場である「第9回ロボカップ国際シンポジウム」が18、19日の2日間にわたって開催される。
□ROBOTREX 2005のホームページ
http://www.robocup2005.jp/robotrex/
□ロボカップ2005のホームページ
http://www.robocup2005.jp/
□関連記事
【7月14日】ロボカップ・プレジデントに聞く、「ロボット産業とロボカップの関係」(Enterprise)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/07/14/5719.html
【6月28日】ロボカップ2005記者発表会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0628/robocup.htm
(2005年7月14日)
[Reported by 森山和道]