|
ロボカップ2005記者発表会
|
開催日:7月13~19日(競技は13日~17日)
場所:インテックス大阪3、4、5号館
6月27日、ロボカップ2005大阪世界大会の記者会見が開かれた。
ロボカップはロボットによるサッカー大会。'97年に国際プロジェクトとして始まり、今年で9年目。「2050年に、人間のワールドカップ優勝チームを11体の自律ヒューマノイドロボットのチームで破る」ことを目標に掲げていることで知られる。マイルストーンとして高い目標を掲げることで、人間とロボットが共生するための技術課題を洗い出し、解決していくことを目指している。
今年7月13日~17日までインテックス大阪にて開催される大阪世界大会には、世界35カ国から400チーム以上、2,000人が参加するという。サッカー競技の他、災害救助を目的としたレスキューリーグ、教育目的のジュニアリーグなどが開催される。目標入場者数は20万人。当日入場券は1,200円。
記者会見ではロボカップサッカー、ロボカップレスキュー、ロボカップジュニアの競技説明のほか、併催されるロボットや情報処理技術関連の展示イベント「ROBOTREX 2005」の解説、各スポンサーによる協賛趣旨解説、そしてロボットによるデモンストレーションが行なわれた。
まず、大阪大学教授でロボカップ国際委員会プレジデントの浅田 稔氏からロボカップの概略が解説された。浅田教授は「ロボットと我々の生活はもう始まっている。これからはロボット単体だけではなくバックエンドにあるネットワーク、人間との関係が重要だ」との考え方を述べたあと、「ロボカップは人間と共生するための技術課題を象徴的に表現できる。ロボットが協調してサッカーをする、そのなかにさまざまな深い研究テーマがある」と語った。
またロボカップ参加チームは世界中でどんどん増えていると、盛り上がりを強調した。
ロボカップ国際委員会プレジデント 浅田 稔氏 | 参加チームの推移 |
なおロボカップサッカーは、小型、中型、シミュレーション、4足、ヒューマノイドとレギュレーションごとにリーグに別れている。
小型は直径18cm以内のロボットが5台1チームで試合を行なう。中型は4台~6台のロボットでフットサルのボールで試合をする。シミュレーションリーグはコンピュータ上の仮想フィールドでプログラム同士が戦う。四足リーグはソニーのAIBOを使った闘いだ。ヒューマノイドロボットリーグは2002年に初めて正式種目となった競技である。
ロボカップサッカー | ロボカップサッカー・シミュレーションリーグ |
ロボカップレスキュー | ロボカップジュニア |
ロボカップ日本委員会会長の松原 仁 はこだて未来大学教授は、今大会の見所について解説。今大会ではヒューマノイドロボットリーグで2対2の試合が初めて実施されるので、ヒューマノイドによる試合らしきものが見られるかもしれないとのこと。また、今年は阪神淡路大震災10年であり、レスキューも注目される。また、ジュニアリーグは世界的に盛り上がっていると語った。
ロボカップ日本委員会会長 松原 仁氏 | 参加予定ヒューマノイド |
ベストヒューマノイド賞にはルイ・ヴィトン・ヒューマノイドカップが贈られる | ルイ・ヴィトン・ヒューマノイドカップ |
ロボカップは、ロボットの実用も視野に入れたプロジェクトである。ロボカップ・フェデレーション・チーフビジネスオフィサーを務める石黒 周氏は、「大阪市の次世代ロボット産業創出戦略」と題し、ロボカップだけではなく、ロボットをビジネス、産業として立ち上げるための考え方を述べた。
石黒氏は、「大阪エリアに次世代のロボット産業を興したい」とし、大阪市のロボット産業の戦略を語った。感度のいい市場を育てる、新事業に乗り出す企業を集める、技術×市場の知識を創る、新事業の環境を整えるの4つの戦略があるという。
大阪ではこの考え方に基づいて「ロボットラボラトリー」を大阪の駅前にオープンし多くの実証実験を行なっている。また次世代ロボットに乗り出したいという意志と技術を持つ企業を集め、「RooBO」という中小企業を中心とした150社のネットワークを作っている。これらを中心に、大阪を次世代サービスロボットの拠点として発展させていくという考え方を語った。
石黒周氏。ロボットで地域振興しようとしている地域は福岡、神奈川、岐阜などがあるが大阪が強いと述べた | 大阪でのロボット産業化を狙うための4つの戦略 |
RooBOの機能。参加企業は毎月10社のペースで増えていっているという | リーディングプロジェクトを立ち上げてロボット産業化を狙う |
その後、ロボカップを支援する企業から、夢に共感したという日本SGI株式会社、AIBOを提供しているソニー株式会社、電子工作キットで「科学する心」を伝えたいとする株式会社イーケイジャパンが協賛趣旨を述べた。手も頭も使う必要のあるロボットは、教育効果も大きいという。
またロボカップ2005の公式iモードサイトも立ち上げる。同サイトでは、大会中にライブ中継するだけではなく、大会前、大会後も情報を掲載していく予定。
エフビットコミュニケーションズ株式会社による公式サイト | 大会の様子をライブ中継する |
●デモ
続けて、デモが行われた。デモに登場したのはヒューマノイドロボットリーグに出場する予定である、「VisiON NEXTA」。ヴィストン株式会社が開発した。前の大会で優勝したロボット「VisiON」をベースに、大型化し、性能を上げた。ジャイロを搭載し、不整地の走破性が向上しているという。
VisiON NEXTA。身長47.5cm、約3.1kg | 頭部には全方位カメラを備える。透明部分がカメラ。足下を見るときは頭を傾ける |
旧型VisiONと並ぶと大きさが分かる。旧型は38cm、約2.4kg | キーパー役のロボットとフォワードに相当するロボットの2体で試合に挑む |
デモはまず、同じくヴィストンが製作したマスコットロボットによる挨拶に続き、「VisiON NEXTA」によるシュート、キーパーのデモが行なわれた。ボールを蹴ってポールに当てたり、素早い動作でボールをおさえる様子を見せた。
【動画】マスコットロボットによる挨拶 | 【動画】デモの前に抱負を語るVisiON NEXTA | 【動画】ボールを見て位置決め中 |
ボールとポールを見て、ボールを見事にポールに蹴り当てた | 【動画】ボールを蹴る様子 | 【動画】シュートの様子 |
【動画】シュート | 【動画】シュートしようとするが空振りも |
【動画】キーパー。素早い動作で見事にキャッチ | 【動画】キーパー。止めきれなかったが素早い飛び込み動作に報道陣もどよめく |
最後に、アクトロイドも登場し、ロボットの可能性を披露した。
アクトロイド。万博でも活躍中 |
【動画】自己紹介するアクトロイド | 会場には、SGIから同日発表された研究開発プラットフォーム・ロボット「Blackship」も。これはオプションの超音波センサー等をつけたもの |
□RoboCup2005 OSAKA
http://www.robocup2005.jp/
(2005年6月28日)
[Reported by 森山和道]