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エプソン、インクジェット技術による超薄型多層回路基板
〜厚さ200μmで20層の積層回路を実現

試作された20層積層回路

11月1日 発表




 セイコーエプソン株式会社は1日、インクジェット技術を応用した20層の積層回路基板の開発に成功したと発表した。

 現在回路基板の製造で一般的に利用されているフォトリソグラフ技術では、基材の上に金属膜を形成、次いでその上にフォトレジストを形成し、フォトマスクの上から紫外線で露光することで回路パターンを現像し、金属膜をエッチング、レジストを剥離という工程を経る。

 これに対し、今回発表された回路基板の製造に用いられているのは、同社独自のインクジェット技術を応用したもので、基板に対し金属微粒子を含むインクをインクジェットで直接描画することで配線パターンを形成する。

 インクの中には、有機物で覆われた粒径が数nm〜数十nmの銀ナノ粒子が含まれる。銀ナノ粒子を有機物で覆うのは、粒子同士が凝集してしまうのを防止するため。基材上にインクを塗布した時点では導電性はないが、150〜200度の温度で焼成することで有機物が除去され、導電性を持つようになる。

 また、この技術では、回路パターンだけでなく、絶縁膜やランドもインクジェットで描画し、すべての工程をインクジェットで処理する。

従来技術と新技術の比較 エプソンの新技術では、まずインクジェットで銀ナノ粒子を塗出し、回路パターンを形成
焼成することで、銀ナノ粒子を覆う有機物を除去し、メタル化。次いでランドを描画 その上に層間絶縁膜を描画。この繰り返しで多層化する 最終的に表面絶縁膜を描画して完成。実際の製造では1つのヘッドで複数の回路基板を同時に製造する

 今回同社は、同技術で200μmの厚さ(基材除く)で20層の配線層を持った回路基板の試作に成功した。主な仕様は、ライン幅50μm、ライン厚4μm、最小ラインピッチ110μm、総ライン長5m、連鎖数2,480、外形サイズ20×20mm。

 このほか、同一基板上での多数形成、Ni-Auメッキおよびはんだ付けの実装、実際のICとの接続にも成功した。

エプソン生産技術開発本部本部長 森昭雄氏

 同社生産技術開発本部本部長の森昭雄氏によれば、従来のフォトリソグラフ技術では、巨大な施設/設備が必要で、エネルギーや材料の消費も大きく、また現像液やエッチング液などの廃棄物が排出されるが、新技術では装置が小型ですみ、無駄な金属膜などの形成も不要で、廃棄物が出ないというメリットがあるという。

 製造コストについては、製造する製品によって異なってくるため一概にフォトリソグラフ技術との比較はできないが、従来の半分のコストですむ製品をターゲットにしていくという。

 今回の成果は、独立行政法人 新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業から生まれたもので、今後、プロジェクトが終了する2006年3月までに、実用化に向けた量産性の検証などを行なっていく。

 また、さらにその先の応用例として、積層基板の中にICやコンデンサなどの部品を埋め込んだ超高密度のシステムモジュールや、電子回路を埋め込んだフィルム状の回路、筐体表面への電子回路形成などを見据えているという。

20層回路の厚さは200μm、基材を入れても240μmと極薄 20層回路の内部構造 同一基板上での多数形成にも成功
Ni-Auメッキ、はんだ実装を施した試作品 実際のICとの接続でも正常動作を確認した インクジェット描画試作機
将来の応用例

□セイコーエプソンのホームページ
http://www.epson.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.epson.co.jp/osirase/2004/041101_2.htm
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(2004年11月1日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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