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NEDO、次世代ロボットの委託・助成先を決定、
愛知万博で公開へ
〜燃料電池実用化に向けての取り組みも発表

日立のDMFC燃料電池搭載情報端末の試作機。燃料電池はディスプレイ背面に搭載、カートリッジは株式会社東海と開発中

6月3日発表



 2004年6月3日、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)は、2005年3月から開催される愛知万博(愛・地球博)で6カ月間、運用・デモンストレーションを行なう次世代ロボットの委託・助成先を決定し、霞ヶ関イイノホールでひらかれた「燃料電池とロボットへの研究開発の取り組みと将来社会へのインパクトについて」と題されたプレス懇談会で発表を行なった。


●ロボット技術に関する産業競争力強化と社会へのインパクト

 これは「21世紀ロボットチャレンジプログラム」の一環である「次世代ロボット実用化プロジェクト(実用システム化推進事業)」として実施されるもので、予算総額は13億円。

 具体的な企業名と対象分野は人間のように見えて4カ国語を操る接客ロボットや、自立走行するインテリジェント車イス、自動掃除ロボット、警備ロボット、子供と一緒に遊ぶチャイルドケアロボットなどの分野が対象となっている。企業名を見る限り、実際には新規開発よりも既存のロボットの改良が多くなりそうだ。詳細はNEDOのリリース参照(PDF)。

光川寛(みつかわ・ひろし)NEDO副理事長。独立行政法人化したこともあり、NEDOの広報体制を改革しようということで本会は開催されたという 辻義信(つじ・よしのぶ)機械システム技術開発部長。井上博允 日本学術振興会監事の言葉を引用して「日本ではロボットと言えば機械のことを考えるが、これからはIT面を強化していかなければならない」と語った

 同時に「プロトタイプ開発支援事業」に係わる委託先63件も発表された。こちらはユニークな研究に対して助成を行なうもので全体の予算はおよそ15億円で、研究1件あたりの予算は1,000万円〜3,000万円。63件の詳細はリスト参照(PDF)。

 審査委員は井上博允 日本学術振興会監事、金出武雄 カーネギーメロン大学教授、白井良明 大阪大学大学院工学研究科電子制御機械専攻教授、土井利忠 ソニー株式会社常務の4名。公募に応じた249件から絞り込んだという。

 研究開発テーマ一覧を見ると、ロボット用の通信プロトコルの統一や、アプリケーションを複数企業で統一的に扱えるようにするためのミドルウェア開発に関する研究、また、ネットワーク家電との連携をはじめとして、狭義のロボットだけではなくユビキタスな屋内環境全体をロボットと捉え、ロボットをよりインテリジェントに動作させるための研究開発テーマが目立つ。

 その一方、「金の鯱ロボットの研究開発(菱明技研株式会社)」、「時速160kmの剛速球を打ち返す超高速バッティングロボットの研究開発(広島大学)」、「ダンスパートナーロボットの研究開発(東北大学)」、「自然地形散策用搭乗型移動ロボットの研究開発(東北大学)」といったデモが楽しみな研究開発テーマも散見される。

 また本誌で何度かレポートしているHRP-2を使った研究タイトルも多い。「HRP-2用インパクト動作生成ソフトウェアの研究開発(東北大学)」という研究テーマでは、たとえばパンチや空手チョップのような激しい動作の生成とデモンストレーションを視野に入れて研究開発を行なうという。2005年5月以降に順次、分野ごとの成果発表を行なっていくという。

 2010年のロボット市場規模は3兆円、うち人間と共存するロボット市場規模は7,300億円と推定されている。今回の助成・委託はロボットに関する実用的なアイデア発掘と一般市民へのロボットの理解を深めることを目標としている。

新しいロボットの市場 プロトタイプの分野
プロトタイプ研究の例:異種ロボット協調機能の研究開発 プロトタイプ研究の例:ネットワーク家電との連携や不特定話者の音声認識を目指す

●燃料電池:水素エネルギー社会実現に向けた技術開発の取り組み

燃料電池に関する説明を行なった名久井恒司(なくい・こうじ)燃料電池・水素技術開発部長。手にしているのはスタックの試作品とセパレータ

 プレス懇談会ではロボットのほか燃料電池研究に関する展望に関しても説明が行なわれた。NEDOは住友金属株式会社、株式会社日立製作所等と、水素供給ステーションや自動車用燃料電池、定置型燃料電池、携帯型燃料電池の研究開発を行なっている。

 7月21日(水)には技術開発課題および開発目標の設定を行なうために燃料電池・水素技術の公開シンポジウムを開催する(会場:大手町サンケイプラザ)。また、6月27日(日)〜7月2日(金)まで横浜で開催される「第15回・世界水素会議」を水素エネルギー協会と共催する(会場:パシフィコ横浜)。

 NEDOでは、化石燃料社会から水素社会へというスローガンを掲げて研究開発を行ない、技術課題、産業化への課題、そして国際競争面における課題を解決していくことで燃料電池・水素産業を確立していきたいという。

 会場では日立などが製作した燃料電池も展示された。

金属セパレータを用いたDMFCスタック(20W級)の試作品。充電不要で長時間使用可能なPC用電源を目指す ナノメタル導電処理した耐食金属セパレータ 燃料電池のしくみと課題
NEDOの要素技術の研究成果から製品まで 水素社会の実現へのロードマップ

 ニーズを創出する必要のあるロボット。既存技術の上を行く必要のある燃料電池。双方とも技術面、コスト、耐久性など課題は多いが、良いモノができ、産業化されれば、社会へのインパクトは大きい。今後に期待する。

□NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構のホームページ
http://www.nedo.go.jp/
□ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/informations/press/160603_1/160603_1.html
□関連記事
【4月16日】産総研、「HRP-2」の新歩行機能/走行ロボットを公開
〜人間の代替作業ができるロボットを4年後に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0416/hrp.htm
【2003年2月26日】nano tech 2003レポート
〜NECが燃料電池で動作するノートPCのデモを実施
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0226/nanotech.htm
【2003年12月11日】日立、携帯機器向け燃料電池カートリッジを開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1211/hitachi.htm

(2004年6月4日)

[Reported by 森山和道]


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