プロカメラマン山田久美夫の

カシオ 「 QV-R51」
ファーストインプレッション



 カシオから、中堅クラスの500万画素3倍ズームモデル「QV-R51」が登場した。このモデルは昨年発売された「QV-R40」の後継機であり、年始のCESで海外市場向けが先行発表されていたモデルだ。

 いまやカシオといえば、薄型モデルのEXILIMシリーズがその代表格になった感があり、昨年は300万画素3倍ズーム機の「EX-Z3」が大ヒットし、いまも事実上の後継機である「EX-Z4」が売れ筋商品の上位にランクするほどだ。

 それに対して、やや影が薄くなった感のある”QVシリーズ”。だが、昨年は軽快でコストパフォーマンスの高い400万画素モデル「QV-R40」を発表。残念ながら大きなヒットとはならなかったが、私自身、結構愛用したモデルであり、1/1.8型400万画素CCDによる余裕のある写りも魅力的で、使っていて実に気持ちのいいモデルだった。

 いまでは店頭価格も実売3万円前後まで下がっており、この「R40」はかなりお買い得なモデルといえる。

 さて、その後継機となる「QV-R51」だが、「R40」の軽快動作や単三型2本駆動という特徴はそのままに、同機の弱点だった液晶モニターを大幅にグレードアップし、最新のEXILIMシリーズで好評の大型2型液晶を採用している。

 発売は1月28日。価格はオープンプライスとなっているが、店頭想定価格は45,000円前後と、500万画素モデルのなかでもリーズナブルな設定だ。


●最大の魅力は2型液晶

 本機の最大の魅力は、やはり新採用された2型の大型透過式液晶モニターだ。サイズや質感は「EX-Z4」と同等のもので、より薄型で2.5型液晶を搭載した「ソニー DSC-T1」が登場したあとではクラス最大とはいえないが、それでもこのクラスで多い1.5〜1.6型液晶に対して、その見やすさは圧倒的なものがある。

 また、液晶周辺には「Z4」と同じアクリルカバーがされ、周囲をブラックアウトしていることもあって、パッと見たときにはより大きく見える。ボディがコンパクトなこともあって、背面のほぼ半分をカバーが占めており、インパクトは十分だ。

 「R40」の1.6型液晶モニターと比較すると、そのサイズに違いは歴然。操作部をさほど圧迫することなく、よくこのボディに収まったもんだと感心してしまう。

 基本的なスタイリングは、先代の「QV-R40」とほぼ同じもの。前面から見たときの印象は、ほとんど変わりばえしないが、液晶モニターのサイズの違いはあまりに大きく、「R40」が一気に色あせてしまうほどだ。ボディ素材は両機ともにアルミ外装となっており、質感は比較的良好で安っぽさを感じることは少ない。

2004 International CESに展示されたQV-R51。両写真とも、左側がQV-R51。右側はQV-R40

 薄型タイプの「EX-Z4」を見慣れた目には、さすがにその厚みが気になるところ。厚みは約10mm違うため結構目立つとはいえ、高さと幅は数mm程度の差でしかない。そのため、さすがにスリムとはいえないが、十分にコンパクトなモデルに仕上がっており、携帯性も上々だ。

 注目の2型液晶は、画素数こそ84,960画素と少なめだが、その見え味は上々。バックライトの特性もあるが、高精細タイプに比べて、液晶1画素あたりの面積が大きいこともあって、表示がとても明るく明快な点に好感が持てる。

 もちろん、視認性も上々で、日中屋外での視認性も実用十分な実力だ。コントラストも高く、色再現性も比較的良好。液晶モニターの視野角もかなり広く、ほとんど真横からでも画像の確認ができるほど。ただ、上下左右とも約45度付近でシャドー部の反転現象が見られる点が少々残念だった。

 液晶の表示品質という点では、大型液晶がウリになっている、2.5型21.1万画素の半透過型液晶搭載機「ソニー DSC-T1」よりも、ワンランク上の実力といえる。

 ただ、暗めの屋内などでは、液晶でのフレーミングを補助するため、かなり大幅なゲインアップを行うようで、画像が相当にノイズっぽくなる傾向がある。この傾向は「Z4」でも顕著に見られるものだが、他社モデルでそのような欠点が感じられるケースが少ないこともあって、少々気になるところだ。

●ボタン一つで瞬間起動と終了が可能に

 先代の「R40」の最大の特徴だったのが、背面上部に配置された2つの起動ボタン。これは右側が撮影専用、左側が再生専用の起動ボタンになっており、使用したいモードのボタンを押せば、モード切替なしに、ほとんど瞬時にカメラが起動する。

 もちろん、起動時間は約1秒と超高速で実にスピーディーで心地いい。また、撮影から再生、再生から撮影モードへの切り替えもほとんど瞬時に行われるため、撮影後、画像をチェックし、すぐに次の撮影をしたいといった場合にも即座に対応できる。

 また、この反応の早さは、シャッターチャンスを逃しにくいという物理的なメリットもあるが、それ以上に、撮影意欲をかき立ててくれ「さあ! 写真を撮るぞ!」という気にさせてくれるという、精神的なメリットも大きい。

 ボタン自体も「R40」より出っ張った形に変更されており、より押しやすくなった。ただ、バッグに入れて持ち歩いているうちに、自然に押されて、何度かONになってしまっていたこともあった。オートシャットOFFが働くので、実際の電力消費は気にならないレベルではある。

 さらに、本機では、カスタム設定で、電源のOFFも同じボタンで可能になった。「R40」では終了時にカメラ上面にあるON/OFFボタンを押す必要があったが、本機では、先のボタンを再度押すことで、電源を切ることができるようになり、操作性が大幅に向上した。

 実際にこの高速な2ボタン起動に慣れてしまうと、普通のデジタルカメラのON/OFFがなんともじれったく感じられてしまうほど。また、他機種と違い、撮影、再生で専用ボタンがあるため、起動したら再生モードになっていて、シャッターチャンスを逃すような、悔しい思いをしなくてすむ点にも好感が持てる。

●軽快な撮影感覚

 実際の撮影感覚も、十分に軽快で、心地良い。

 AF測距はきわめて高速というほどではないが、十分にスピーディー。

 AFロック後の、半押し状態からのシャッタータイムラグはかなり短く、シャッターチャンスを逃しにくい。

 もっとも、このこのタイムラグの短さは、店頭で見ていてもなかなか気がつきにくい。これを体感するには、光学ファインダーを覗きながらストロボ撮影をするといい。本機の場合、ほとんどシャッターを押した瞬間にストロボが発光する感じだ。

 また、使ってみて感心するのは、手ぶれの少なさ。今回はフルオートで撮影し、感度も自動的にゲインアップするモードで撮影したのだが、本機は手ぶれの心配が起こりそうな明るさになると、自動的に感度をISO200程度までアップし、積極的にシャッター速度を高めて、ブレを軽減している。また、ストロボ撮影時にも、自動感度アップをすることで、ストロボの到達距離を延ばすといった工夫がなされている。さらに、高感度時のノイズレベルが大幅に抑えられ、感度アップ時の画質低下が少なくなったため、全体として失敗の少ないカメラに仕上がっているという印象を受けた。

 各種設定も比較的使いやすく、液晶メニューなどは、「R40」というよりも、むしろ「Z4」のものをそのまま移植した感じだ。また、2型液晶を搭載したことで、各種設定メニューの文字表示サイズも相対的に大きくなっており、とても使いやすく感じられた。

 もちろん、本機にも同社自慢の「ベストショットモード」が搭載されている。いまや、各社ともシーン別モードを搭載したモデルを多数発表しているが、なかでも同社のものは種類も多く、効果も明快なものが多い。あまり活用されていない機能だが、意外なほど効果的なため、購入した際には積極的に活用されることをオススメしたい。

●高速で充実した再生機能

 撮影モードから再生モードへの移行は、背面の再生ボタンを押すだけの簡単操作で、ほぼ瞬時に切り替わる。

 もともと、QVやEXILIMなどカシオのモデルは、再生表示の早さでは定評がある。これは液晶表示用に大きめのサムネールファイルを予め生成しているためで、DCFファイルのサムネール(120×160ピクセル)よりも高画質で、しかも、元画像から展開するよりも遙かに高速な表示を実現している。

 実際に、再生表示は実にスピーディーで気持ちがいい。とくに、コマ送りは「100枚で10秒」とカタログで謳われる通りの超高速さで、連続コマ送りをすると、目が追いつかないほど。

 もちろん、表示画像も最初の約2秒間だけが独自サムネールで、その後は、元画像となるわけだが、その差はごくわずかだ。たとえば、ソニーなどは最初に粗いサムネールを表示しているため、切り替わり時の差が明確に感じられるが、本機では細部を見ていないとその差に気が付かない程度だ。

 また、EXILIMで先行搭載されていたカレンダー機能も採用されている。「R40」では、通常再生から、ズームノブをワイド側に2回倒すことで機能したが、「R51」では十字キーの上を押すだけで、簡単に呼び出せるようになった。この機能は、その日に撮影した最初のコマが、1カ月のカレンダーの撮影日のところに表示されるもの。そのため、再生したいコマを探すときでも、撮影日が分かっていれば、即座にジャンプできる。また、大容量のSDカードを入れっぱなしにしておけば、写真日記的な使い方もできる。

【お詫びと訂正】初出時にカレンダー機能の操作の記述が一部誤っておりました。R51では上記のように機能が強化されています。

●やっぱり便利な単三電池駆動

 本機の隠れた魅力に、バッテリーがある。EXILIMシリーズは薄型化を実現するため、専用充電池を採用しているわけだが、QV-Rシリーズでは初代モデルから、単三電池2本での駆動がベースとなっている。

 付属するのは、充電式の単三型ニッケル水素電池(充電器も付属)のため、ランニングコストが気になることはない。さらに、普通のアルカリ電池での駆動も実現している。そのため、充電し忘れて持ち出しても、外出先で充電池を使い切っても大丈夫。単三アルカリ電池なら、コンビニや駅の売店でも手に入るうえ、海外旅行をしたときでも現地での入手が容易だ。

 そこで心配になるのが、撮影枚数。先代の「R40」では付属のニッケル水素電池で公称500枚だったが、今回の「R51」では内部処理回路の省電力化により、その2倍近い900枚となっている。

 「R51」が手元に届いてから、まだ、400枚程度しか撮影していないが、フル充電したニッケル水素バッテリーは無くなる気配を見せない。先代の「R40」は、液晶ファインダーメインでも、ストロボの使用頻度が低ければ、楽に400枚以上の撮影ができたことを考えると、本機では何枚撮影したのか忘れてしまいそうなほどの枚数が撮影できそうだ。

 アルカリ電池ではそこまで持たないと思われるが、通常の使用であれば、1〜2日分の撮影枚数くらいはカバーできそうだ。私自身、海外取材のときに、必ず一台は単三アルカリ電池で動くモデルを持ってゆくように心がけているが、当面は本機がその役割を負いそうだ。

●高画素化でも大幅に減ったノイズレベル

 このQV-Rシリーズでは歴代、「EXILIM Z」系のような1/2.5型ではなく、一回り大きな1/1.8型CCDを搭載しているわけだが、この「R51」になり画素数が400万画素から、500万画素へとアップしている。

 さらに、今回のモデルでは、内部処理用のLSIも「NewStackMCM(NewStack Multi Chip Module)」と呼ばれる新型のものになっており、ノイズリダクション効果がアップしているという。

 一般に、同じCCDサイズで画素数が増えると、解像度は若干アップしても、1画素あたり面積が小さくなるため、再現性が低下したり、ノイズが増える傾向があり、本機でも当初はその点が大きな懸念だった。

 しかし、同じシーンを「R40」と「R51」で撮影してみて、その懸念は完全に一掃された。

 比較してみると一目瞭然なのだが、「R40」に比べ、「R51」はきちんと解像感が向上しており、500万画素機らしいシャープな写りを実現している。

 さらに注目すべき点は、高画素化されたにもかかわらず、明らかにノイズレベルが少なくなっている点だ。

 これは新採用のLSIが大きく貢献していると思われる。もちろん、ノイズリダクションの方法によっては、細部のディテールが失われたり、空などがノッペリとした感じになるケースもあるわけだが、本機の場合にはその傾向もあまり見られず、なかなか自然な仕上がりになっている点にも好感が持てる。

 また、もともとノイズが目立たないため、ゲインアップされたときのノイズ感も少ない。自動的に感度がアップしたときでも、ノイズは総じて少な目だ。

 さらに、ノイズが大幅に減ったことで、見かけ上の階調再現性が向上しており、滑らかなグラデーションを実現している。もともと高画素機は、同じサイズにプリントしても、単位面積当たりの画素数が多くなるため、グラデーションが豊かに見えるというメリットがあるわけだが、本機はその恩恵をより堪能できる。なかなかの高画質モデルだ。

 色調は、「EX-Z4」に比較的近い、明快なモノ。初期のEXILIMから「EX-Z3」あたりまでに見られた、被写体に近い、若干渋めに感じられる色調と違い、パッと見たときの印象を重視した仕上がりだ。500万画素クラスとはいえ、本機のようなポジションのモデルの絵作りとしては、好ましい印象のものといえる。

●安心してつきあえるカメラ

 「いつも連れ歩くなら、スリムでスレンダーな「EX-Z4」だけど、ごく普通に使うなら「QV-R51」のほうが賢い選択かもなあ」というのが、今回本機を使っての素直な印象だ。

 もちろん、デジタルカメラを日常的に持ち歩くのが前提であれば、やはり本機よりも、携帯性に優れる薄型モデルのほうがより魅力的な存在だ。

 しかし、デザインや携帯性に“さほど”こだわらなければ、「QV-R51」のほうがより魅力的に感じられるケースも多々ある。

 たとえば、土日やイベントなど必要なときしか持ち歩かない人であれば、同じ液晶サイズで、動作も速く、1/1.8型の500万画素モデルが、ほぼ同じ価格帯であれば、本機の方がよりコストパフォーマンスが高く感じられるだろう。

 また、日常的に持ち歩く人でも、出先で充電池の電池切れを起こし、シャッターチャンスを逃した経験のある人なら、単三電池2本で駆動できる点も大きな魅力だろう。

 もし、この両機を女性に例えると、「EX-Z4」が多彩でスレンダーな美人タイプであれば、さしずめ「QV-R51」は安心してつきあえる良妻賢母タイプといえる。

 「EX-Z4」と「QV-R51」はいずれも魅力的なモデルだが、肩肘張らず、より気軽に付き合うなら「QV-R51」はなかなか魅力的な選択肢といえそうだ。

 また、発売以来大ヒットを続け、「EX-Z4」と人気を二分している薄型500万画素モデル「ソニー Cyber-shot T1」と本機を比較しても、スタイリングや携帯性の点では劣るが、液晶モニターの表示品質や画質面では「T1」を上回る実力といえる。そのため、実用性重視で500万画素クラスのモデルで選ぶのであれば、ぜひとも「QV-R51」を選択肢の一つとして検討することをオススメしたい。



 山田久美夫氏によるカシオ 「 QV-R51」の実写画像を公開する。

 特に指定のない画像は、フォーカス、露出、ホワイトバランスともオートで2,560×1,920ピクセルのノーマルモードで撮影されている。また、撮影は試作機によって行なわれており、製品版とは異なる可能性がある。

 なお、製品の仕様などについては、関連記事を参照されたい。(編集部)


●屋外撮影(遠景)


●屋内撮影


●マクロ撮影


●夜景


●人物


●定点撮影

●定点撮影(参考)

カシオ QV-R40
キヤノン IXY400
ソニー Cyber-shot T1


□カシオのホームページ
http://www.casio.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.casio.co.jp/release/2004/qv_r51.html
□製品情報
http://www.casio.co.jp/QV/Info/qv_r51/
□関連記事
【1月20日】カシオ、大型液晶を搭載した500万画素デジカメ「QV-R51」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0120/casio.htm
【1月11日】【CES】会場で見つけた日本未発表デジカメ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0111/ces11.htm
【2003年11月26日】【山田】ソニー 「サイバーショット T1」ファーストインプレッション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1126/yamada.htm

(2004年1月26日)


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[Reported by 山田久美夫]


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