13日に発売されたPSXについて当日レポートをお届けしたが、その際に光ドライブ自体の構造には触れなかった。 これは掲載時間を優先したためと、厳重にシールされた状況から、このシールを破ることでホコリなどが入り、再度組み立てても正常に動作しないことが容易に想像されたからだ。 しかし、PSXの光ドライブは特別製でヘッドが2つあるという噂があり、思い切ってドライブの内容まで踏み込んで見ることにした。
●厳重なシールを破る 当日のレポートでもお届けしたように、PSXの光ドライブは本体のほぼ半分を占める大きさで、専用に設計されたものと思われる。ローディングはスロットイン式で、ドライブ中央にスロットがある。 ドライブの周囲は両面テープとシール材で厳重に密閉されており、ケーブルの引き出し部分にまで及んでいる。
●噂どおり2つのヘッド 両面テープをゆっくりはがし、シール材を取り除く。アルミ材と思われるケースを取り外すとヘッド部分が見えた。噂のとおり、スピンドルの両方に1つずつヘッドが見える。
一方のヘッドは黒のカバーで覆われ、もう一方はむき出しだ。ヘッドの移動方式も異なっており、黒い方は螺旋を切った金属ロッドによる移動、金属の方はプラスチック歯車とネジ山を切ったプレートによる。歯車の形式で言えば黒い方がウォーム&ウォームホイール、金属の方がラック&ピニオンという形だ。 黒い方のヘッドには「KHS-400C」という型番が刻まれ、PS2用のヘッドであることが分かる。金属の方は「KWS-200A」のシールが貼られており、ソニー製のDVD±R/RWドライブで使用されているヘッドだ。ヘッドまわりもPS2用が一体化されているのに対し、DVD±R/RW用はサブの基板がついている。
ヘッドからの信号は、DVD±R/RWがドライブ内の大きな基板に送られているのに対し、PS2用はマザーボードへ直接接続されている。これはコピープロテクションなどの関係だろう。逆に言えば、マザーボードは完全なPS2の互換機能を備えていることになる。 DVD±R/RW用の制御基板上のチップは発熱が大きいようで、熱伝導のよさそうなクッションでアルミ基板につながれ、放熱するようになっていた。比較的、シンプルなPSXのハードウェアだが、光ドライブは専用部品であり、もっとも複雑な部品だったわけだ。
●専用ドライブの負担 それにしても、シールを優先するのであれば、もう少し密閉度の高いシャーシにするという選択もあるはずなのに、なぜ、両面テープなどを使用した手間のかかる密閉方式を使用しているのだろうか。考えられるのは連続して書き込みを行なった場合の放熱対策だが、将来的にはチップの高密度化などを待って、簡素化されると思われる。 また、PS2用に専用のヘッドが用意されることから、PSXにとって、PS2のアプリケーションへの再生という機能のコスト負担があることがわかる。PSXにPS2の互換機能を持たせるという選択によって、純粋なハイブリッドレコーダーとして作る場合よりもコストが高くなる要素は増えているわけだ。もちろん、生産量の多いPS2の部品流用なので、コスト負担はごく軽いとは想定されるが0ではないことが確認できた。 弊誌での開発者インタビューでも「PS2機能を外すという選択もあった」という発言があったが、現在のPSXは当初からPS2の互換機能を想定したハードウェアであることが、このドライブやマザーボードからわかる。 ●補遺:PSXの製造日 前回のレポートで1つ書き忘れたことがあるので、ここで補っておきたい。 今回のレポートに使用したPSXは、発売当日に予約販売で購入したものだ。PCと同様に本体パネルには製造日を記録するスナップが用意されており、製造日が確認できた。 それによれば手元にあるPSXの製造日は11月20日から12月2日と推定される。製造日が複数あるのは、場所によって記録が異なるためだ。 これは、PSXが、一つのラインで組み立てているのではなく、ある程度の半製品をどこかで組み立てておき、納入された半製品を別の場所で最終的な製品として仕上げているのではないだろうか。もしくはハードウェアの完成と、一番最後になったと思われるファームウェアも含めた最終的な完成の差なのだろうか。単なる想像にすぎないが、なかなか興味深いことだ。
□関連記事 (2003年12月15日) [Reported by date@impress.co.jp]
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