PSXハードウェア速報レポート




●なんとか間に合った予定日

 今年5月に発表され、年内発売とされていたPSXが、本日ようやく発売にこぎつけた。

 価格が明らかになったのが10月、主な仕様が明らかになったのが11月中旬、発売日が決まったのが11月27日という秘密主義で、しかも11月末には発売直前で仕様が変更されるというドタバタぶりだった。この仕様変更と、バージョンアップ予告で、とりあえず様子見に切り替えた層も多かったようで、事前の予約の多さに対して、発売当日の店頭は静かな幕開けとなっている。

 しかし、PS2アーキテクチャーをベースにしてHDD/DVDハイブリッドレコーダーを作ったという、PSXのハードウェアへの興味は薄れるものではない。本日到着したばかりでやや簡略になるが、PSXの外観と内部をレポートする。

段ボールの色は白 固定は最近では珍しい発砲スチロール パッケージ内容

●PS2よりずっと大きな筐体

 PSXの筐体は、PS2よりもずっと大きい。体積的にはほぼ2倍近い印象だ。横置きの状態では厚みがほとんど変わらないのに、奥行きがずっと深い。全体のボリュームはゲームやAV機器というよりは、大きめの省スペースPCぐらいある。

 今回購入したのは、下位機種のDESR-5000で外観はホワイトだが、天板などはきちんと塗装されていて、価格相応の高級感はある。

 重量はかなり重い。パッケージは小さく手提げできるが、手持ちで買ってかえるときは注意が必要だ。

PS2に比べるとかなり大きい筐体。色も白と黒で対照的

●インターフェイスは裏面に集中

 操作ボタンとメモリーカードスロットとボタンは前面下のトビラ、インターフェイス類は裏面に集中している。

 Ethernetポートには、誤って電話回線をつながないようにという警告のシールが貼られている。

 リモコン用のIR受光部は前面と、天面の下にそれぞれあり、縦置き時でもリモコンが使用できるように配慮されている。

カバーをはずしたインターフェイス部 Ethernetにはシールが貼られている 縦置きした場合用のIR受光部とパイロットランプ

リモコンにも当初シールが貼られている。電源は単三電池2本。このパッケージではソニー製の電池が入っていた


■■ 注意 ■■

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●分解防止のシールが存在

 本体の組み立てには特殊なネジなどは使われていないが、底面のネジのカバーには「ラベルが一度はがされた製品は、保証期間の内外、有料無料等を問わず、一切の修理をお断わりします」と記載されたシールが貼付されている。これは、最近のPS2ではおなじみのもので、剥がしてしまうと「VOID」という文字が全面に浮き出るようになっている。

分解防止用の警告シール 剥がした時点で、このように変化する

●組み立てやすそうな部品配置

 部品類は、シャーシの裏表に分配されて実装されている。

 本体の天側には、光ドライブ、HDD、電源が、裏側にはマザーボード、チューナーカード、端子用のサブボードが配されている。各部品はネジで固定されており、部品間の信号線にはフレキシブルケーブルが多用されている。

 主要部品は以上の6点しかない。シャーシは縦型に自立することもでき、いかにも組み立てやすそうなデザインだ。

底板をはずした状態 マザーボードを取り出す マザーボードをはずした状態。黒いカバーの下はチューナーカード

●1チップ化されたEEとGS

 マザーボードは大型で縦横ともほぼ25cmぐらいある。PS2とメモリースティックのカードスロット、操作ボタンなども直づけされている。

マザーボード全景 変わった形のヒートシンクと、長い電源ピンが特徴的 マザーボード背面

 心臓部であるEEとGSは1チップ化されている。事前に発表されていた90nmDRAM混載SOC「90nm EE+GS」だろう。なお、このチップのみヒートシンクがつけられている。

 背面にもチップが配されており実装密度は高いが、基板の配置には余裕がある印象だ。積層基板の層数も少なく、コストにも配慮されている。ジャンパ線はまったくない。

 マザーボードの表側にあるコネクタは、電源コネクタ一つだけ。フレキシブルケーブルのコネクタはマザーボードの裏面にのみ配置されており、これも組み立てやすさに配慮された設計だ。

心臓部の「90nm EE+GS」 「90nm EE+GS」のヒートシンク PS2用メモリーカードスロットの根本にはSCEIの刻印が入ったチップが

●防塵に配慮された光ドライブ

 光ドライブはきわめて大きく、本体面積の約半分を占める。

 スロットイン式のため、挿入口は不織布と思われるカバーで覆われている。また、ドライブ全体も防塵カバーとウレタンで囲まれており、防塵に対する配慮が伺える。その徹底ぶりは、マザーボードに接続するフレキシブルケーブルの引き出し部分にもカバーがついているほどだ。光ドライブはホコリを嫌うので、PSXの中で一番ナーバスなパーツということだろう。

スロット口もシールされており、このようにディスクが入る 厳重にシールされた光ドライブ

ドライブのまわりもこのようにカバーされている マザーボードに向かうケーブルの出口にもシールが 光ドライブと電源の位置関係。光ドライブの大きさがわかる

●HDDはSeagete製

 HDDはSeagateの「U Series 9 160Gbytes」が搭載されていた。外観はPC用と大差ないが、AV用と思われる。

 HDDのコネクタ類は通常のものだが、奥行きをとらないようにケーブル類が配慮されている。

Seagate製のHDDユニット 奥行きをとらないようにケーブル類が工夫されている

●よくシールドされたチューナーカード

 チューナーカードは薄型のチューナーユニットと、ビデオ関係のユニット、NEC製のチップなどが搭載されている。部品は両面実装だ。シールドは徹底的で、上下から挟み込む形になっている。メインのチップはNEC製だ。

チューナーカードの表面 裏面 チューナーカード上のチップ
チューナーカードの取り付けられ方 シールドは挟み込む形。基板はビデオ入力用のサブボード シールドには部品をよけるためのへこみがある

●電源横に冷却ファン

 電源部分は220V1,000μFの大きなコンデンサが目立つ。

 冷却ファンは電源脇に設置され、本体脇から排気される。排気先の数cm先には縦置き時に本体を支えるパネルがあるので、設置時には、他の機器と密着して設置することができる。

電源基板 カバーをはずした側面。ここにファンの風が当たる

●シンプルなハードウェアで将来に期待

現在サポートされている規格

 PSXのハードウェアは、シンプルで、よく練られた印象だ。筐体まわりのフレキシブルケーブル関係を除けば、トリッキーな構造はほとんどなく、一定水準以上の工場であれば組み立てられるし、生産性も高そうだ。

 コスト的にも配慮されており、無謀な価格設定ではなく、当初から考えられていた価格であることが感じられる。

 問題は、このハードウェアを生かすためのソフトウェアであり、現状では発売日に間に合わせるための仕様を制限している状態であることは否めない。

 現状では完成品とはいいがたい製品かもしれないが、ハードウェアの素性には良い印象を受けた。今後、ソニーがこの製品をどのように生かしていくのか見守りたい。


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(2003年12月13日)

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