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インテル、「Intel R&D Day」を開催
~ゲルシンガーCTOらがIntelの研究開発戦略などを解説

10月28日 開催



 インテル株式会社は28日、「Intel R&D Day」と題したセミナーを開催。米Intelの上席副社長兼最高技術責任者のパトリック・ゲルシンガー氏を始めとした同社幹部が、研究開発への取り組みについて語った。

●Intelと一般の研究者・開発者との接点の場に

インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏

 今回のセミナーは、同社がこれまで行なってきたものと異なり、報道陣以外に、大学関係者や企業の研究者・開発者なども多く来場した。

 開会の挨拶を行なったインテル代表取締役共同社長の吉田和正氏はまず、「グローバルな視点で見た時、企業・アカデミア・ガバメントの3者の大きな協力がなければ技術革新は難しい。当社がこういった形で研究活動を紹介するのは初めてだが、積極的にみなさんと意見交換して次のステップにつなげたい」とコメント。

 その上で、「リラックスした感じで、オープンなディスカッションを行なって欲しい」と述べ、今回のイベントを一方的な説明会ではなく、Intelと一般の研究者・開発者との接点の場にしたいとした。

●新たな技術革新には産官学の連携が不可欠

Intel上席副社長兼最高技術責任者のパトリック・ゲルシンガー氏

 続いて、パトリック・ゲルシンガー氏による基調講演が行なわれた。ゲルシンガー氏はまず、同社の研究開発をとりまとめるコーポレート・テクノロジ本部を紹介。その使命が“Intelの技術におけるリーダーシップの確立”にあるとしながらも、ゲルシンガー氏は、新たな技術革新には産官学の連携が不可欠であるとの考えを終始強調した。

 具体的には、大学での調査・基礎研究にもとづき、Intel内で戦略的リサーチプロジェクトを立案。その後同社ラボでの開発を経て事業化、製品化へとつなげる。また、新技術を持つベンチャー企業には、投資を行なうことで、実用化を支援する。

 技術の標準化に際しては、同社が政府に対し、積極的に認可や規制の緩和を働きかけることで、業界への貢献したいとの方針を示した。

インテルの業界標準に対する取り組み分野と貢献

 現在同社が取り組んでいる具体的事例としては、Intelフェロー兼コミュニケーション・テクノロジ・ラボのディレクタであるケビン・カーン氏が「UWB(Ultra Wide Band)」、「再構成可能な通信ベースバンド・アーキテクチャ」、「スマートアンテナ」などについて解説。

 システム・テクノロジ・ラボ・プリンシパルエンジニアのウッタム・セングプッタ氏は、無線WAN/無線LAN/無線PAN/GPSなどに透過的にアクセスできる新世代通信端末「ユニバーサル・コミュニケータ」などを紹介した。

 そのほか、インテルキャピタルジャパン代表のショーン・タン氏は、オプトウェアやパイオニクスなど国内での実例を挙げながら、同社の投資戦略について説明した。

Intelフェロー兼コミュニケーション・テクノロジ・ラボ ディレクタのケビン・カーン氏 システム・テクノロジ・ラボ・プリンシパルエンジニアのウッタム・セングプッタ氏 インテルキャピタルジャパン代表のショーン・タン氏

●Intelにはセカンドベンダーの育成をお願いしたい

NTTドコモの常務取締役研究開発本部本部長の木下耕太氏

 また、ゲストとしてNTTドコモの常務取締役研究開発本部本部長の木下耕太氏が招かれ、Intelとの共同戦略について語った。

 両者は2002年から7つの共同プロジェクトを実施。木下氏自身も半年に1回のペースでゲルシンガー氏と直接ミーティングを行ない、各プロジェクトのレビュー、方向性・進捗の整理、今後の方向性の決定などを行なっているという。

 NTTドコモとしては、Intelの持つ無線LANの技術をFOMAに取り込み、次世代機に活かしたい考えだが、木下氏は「とはいえ、その技術をIntelしか提供できないのでは、供給、コスト、信頼性の面で問題が残る。これからもIntelとは密接にやっていき、お互いのサクセスストーリーを探っていきたいが、Intelにはセカンドベンダーを育成するなどして産業全体がうまくいくようにしてもらいたい」と述べた。

 最後は、約1時間近くが質疑応答に費やされ、ゲルシンガー氏が来場者からの多岐にわたる質問に答えた。

 ムーアの法則についてゲルシンガー氏は、「すでに20nm台のプロセス技術の目処はついており、今後10年はムーアの法則を維持できる。しかし、10nm以降については大きな問題が立ちはだかっている。その解決にはカーボンナノチューブや、シリコンナノワイヤなどの新たな技術が必要になるだろう。しかし、ここで重要なのは、シリコンに新たな技術を追加するというのが我々のポリシーであり、シリコン以外の新しいものを模索することはない」とした。

□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
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(2003年10月28日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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