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Intel、国内リチウム電池ベンチャーに210万ドルを投資

インテルキャピタルジャパン ショーン・タン代表(左)とパイオニクス 佐田勉社長

9月3日 発表



 米Intelの戦略的投資プログラム「Intel Capital」の国内実行部門インテルキャピタルジャパン(本部東京都千代田区、ショーン・タン代表)は、9月3日、電池技術開発のベンチャー企業であるパイオニクス株式会社に出資したと発表した。出資規模は210万ドル(約2億5千万円)。

 この出資額のなかには、ベンチャーキャピタリストのジャフコ関西支社や少額の投資者なども含まれている。また、米Intelと、パイオニクスは技術協力でも提携したと発表した。

 パイオニクスは、リチウム電池技術の開発を目的に'97年に設立した企業で、同社によって開発された高エネルギー密度リチウム電池は、薄型タイプのノートパソコンやPDAなどでの電池寿命を延長するために利用されることになる。

 パイオニクス社長の佐田勉氏は、化学会社において企画開発、研究開発業務を経験するなど20年以上に渡り電池開発技術に関わっている。同社がもつ材料評価技術、高分子ポリマー合成技術を背景に、自社で電池材料のコア材料部分を自ら研究開発し、それをセットユーザーやエンドユーザーが求める形に製品化できる点が特徴だと訴える。

 「いま、電池に求められているのは、モバイル機器により適合したリウチム電池技術をいかに開発し、提供できるかといった問題。だが、いまの電池技術では限界にきている。素材から吟味し、自分たちで開発しなければならない。料理の達人が、食材の源泉から吟味して、最高の調理を行い、お客の要求にあわせて出すようなもの。ベンチャー企業ならではの小回りが利く点を生かして、Intelの要求をしっかりと受け止めて、より適合した技術を提供していきたい。まだ、滋賀県の小さな企業だが、技術力で勝負したい」と抱負を語った。

パイオニクスの概要と技術的優位性

 一方、インテルキャピタルジャパンのショーン・タン代表は、「モバイル環境が進展するなかで、ノートパソコンの電池が切れてしまうというのは将来に向けての大きな問題となっている。Intelは、Centrinoパソコンが一日充電なしで利用でき、将来的には1週間充電なしで使えるようにしたいという夢がある。パイオニクスの高エネルギー密度の技術を採用することで、その夢に近づくことができる。佐田社長の比喩を借りれば、佐田流のクッキングに期待している」と投資理由を語った。

 今回の投資を背景にパイオニクスでは、現在の電池寿命の最低2倍以上を開発目標として、2年以内の製品化を目指す。

 Intel Capitalは、これまで10年以上にわたり、1,000社以上、40億ドル以上の投資実績をもつ。現在は、米国をはじめ26カ国、約475社に投資しており、同社の時価総額は8億ドル相当に達するという。日本でも、'99年以降16件の投資実績があり、「日本には、他の国には見られないような革新的な技術が数多くある。とくに、電池や放熱関連技術、ナノテクノロジーは先端的だ」(ショーン・タン代表)として、日本における投資案件を拡大する姿勢を示した。

 また、同社では、燃料電池技術の関連企業にもすでに投資しているが、「燃料電池とリチウム電池は、補完するものだと考えている。双方の技術を搭載したハイブリッド製品も登場することになるだろう」(タン代表)とした。

Intel Capitalの投資戦略

□インテルキャピタルのホームページ
(9月3日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.intel.co.jp/jp/capital/
□パイオニクスのホームページ
(9月3日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.pionics-inet.co.jp/

(2003年9月3日)

[Reported by 大河原克行]


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