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IDF Japan Spring 2003レポート

UWBによる250Mbpsの無線通信を世界初披露
~既存無線LANの拡張技術も紹介

会期:4月9日~4月11日
会場:ヒルトン東京ベイ



 IDF Japan Spring 2003の最終日となる11日は、次世代の無線技術についてのセミナーが行なわれたほか、基調講演でも250Mbpsという超高速無線通信のデモが行なわれるなど、無線通信について焦点が当てられた。


●1Gbpsまで視野に入れたUltra Wide Band

 「Ultra Wide Band (UWB)」とは、その名の通り非常に幅の広い周波数帯域を利用する無線通信。IEEE 802.11aが利用する帯域幅が5.15GHz~5.25GHz(規格値)と100MHz程度であるのに対し、UWBの利用する帯域幅は、米国の場合で3.1GHz~10.6GHz=7.5GHzと桁違いに広い。

ケビン・カーン氏

 もう1つのIEEE 802.11aなどとの違いは変調方式。IEEE 802.11aなどが時間的に連続した搬送波を用いるのに対し、UWBは断続的なインパルスを用いる。

 さらにUWBは、マルチバンドという特性も持つ。マルチバンドとは、1つの周波数帯域を複数の小さな周波数帯(=バンド)に分割する技術で、例えば100MHz分の周波数帯を5つの20MHz周波数帯に分割するといった形となる。

 説明にあたったインテルフェロー兼コーポレート技術本部コミュニケーション&インターコネクト・テクノロジ・ラボ ディレクタのケビン・カーン氏の説明によれば、30MHz/1bitのバンドを8つ束ねることで240Mbpsでの通信が可能となり、1バンドあたり2bitにすることで480Mbpsの通信が可能になるという。

 ケビン氏によれば、UWBは200Mbpsあたりから市場に登場し、将来的には1Gbpsでの通信も見据えているという。

Ultra Wide Band (UWB)の仕組み マルチバンドUWBのアーキテクチャ

 無線通信では、既存の技術/機器との干渉や、各国の規制などによって、利用できる周波数帯が限られている。しかし、マルチバンドでは、どのような周波数帯に分割するかといった設定を、ソフトウェアでダイナミックに指定できるため、この周波数帯は使用しない、といった具合にほかの機器との干渉を容易に避けることができる。

マルチバンドは特定周波数帯を利用しないことで干渉などを避けられる

 また、低速で十分な機器の場合は、狭い周波数帯だけを利用することで、コストを下げさせたり、新たな周波数帯が利用可能になった際に周波数帯を広げることで、初期の規格と下位互換性を維持しながらパフォーマンスを上げるといったこともできる。

 このように、UWBは柔軟性があり、高い性能を持つ技術といえるが、想定される通信距離は数mと非常に短い。UWBは10m以内の距離であれば数百Mbpsの速度が期待できるが、10mを超えたところから急激に速度が落ちる性質を持っており、約16m離れるとIEEE 802.11aよりも遅くなる(理論値)。

 このような特性から、UWBは既存のIEEE 802.11aなどの無線LANの置き換えとはならない。用途としては現在のBluetoothに近いイメージとなるが、転送速度が速いため、幅広い利用が考えられる。

 カーン氏は1例として、扱う情報量の多いAV機器を挙げ、TVとTVチューナを無線でつないで視聴することも可能になるだろうとした。

 UWBは、現在米国でのみ認可されており、欧州や日本などで認可に向けた活動が進行中となっているが、Intelが用意した試作機がIDF直前に日本での使用を許可されたため、基調講演ではそのデモが行なわれた。デモでは、6つの42Mbpsのバンドを束ねて、252Mbpsでの通信に成功した。

 今後の開発スケジュールは、2004年までに標準化を完了し、2004年後半から規格に準拠したチップを開発する予定で、最初の製品は2005~2006年に登場予定となっている。

デモに使われたUltra Wide Bandの試作機。左が送信機、右が受信機
両者の間隔は2m程度 42Mbpsのバンドを6つ束ね252Mbpsの通信に成功


●無線LANを網の目状につなぐ無線メッシュ・ネットワーク

 また、「無線メッシュ・ネットワーク技術」への取り組みも紹介された。

 現在利用されている第1世代の無線LANは、有線LANの代替を前提としたアーキテクチャとなっており、有線LANクライアントがネットワークのコアとなるHubにすべてつながるスター型接続になっているのと同様に、すべての無線LANクライアントも1つのアクセスポイントに接続される。

 無線メッシュ・ネットワークとは、一言で言うと、すべての無線LAN機器をルータにする技術で、あらゆる無線LAN機器同士が接続し合い、パケットを転送する。

 無線メッシュ・ネットワークの1つ目のメリットは、アクセスポイントの負荷分散。端末同士が通信することで、アクセスポイントのボトルネックが解消されるほか、アクセスポイントの故障などのトラブルを解消できる。

 また、端末を経由することで、電波の到達距離を延ばせる。それと同時にアクセスポイントより近い他の端末につなげることで、端末間の物理的な距離が縮められ、結果として転送速度の向上にもつながる。

 メッシュ・ネットワークの登場時期について詳細は明かされなかったが、現在同社ではIEEE 802.11bを使ったプロトタイプでの実験などを行なっているという。

無線メッシュ・ネットワークの概念図 従来のネットワークとの比較

□IDFのホームページ
http://www.intel.co.jp/jp/developer/idf-j/

(2003年4月11日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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