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明日発売! ザウルスSL-C750
ファーストインプレッション

5月24日発売

標準価格:オープンプライス

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 シャープ株式会社のPDA「ザウルス SL-C700」の後継機、「ザウルス SL-C750」がいよいよ明日24日、発売される。使いやすいキーボードと鮮明で精細なCGシリコン液晶で好評を博した先代だが、ユーザーの間では動作にスムーズさを欠く点やバッテリ容量が小さく動作時間が短い点など、いくつかの不満も指摘されていた。CPUやメモリが強化されたSL-C750に期待している人も多いはずだ。

 発売前ではあるが、“ほぼ製品版”のSL-C750をお借りすることができたので、ファーストインプレッションをお届けする。

●精悍さを増した外観

 先代からSL-C750へのもっとも大きな変更点は、ディスプレイ部の塗装が銀から黒になったこと。キーボード部は従来どおり銀のままだ。ツートーンカラーとなったことで、先代のよくまとまったデザインが崩れてしまうのではないか、という懸念も聞かれたが、筆者にはとくに破綻は感じられない。どうせならキーボード部も黒だったらいいのに、とも思うが、これはこれでまとまっているのではないか。

 ディスプレイ部の黒い塗装には、「ピアノ調塗装」を思わせる光沢があり、質感が高い。先代よりも筐体が締まって見え、精悍さと高級感を増している。

黒い塗装は質感が高く、光沢も美しい 先代の塗装も悪くないが…… キーボード部の塗装は同じ

 一方でこのような塗装に付き物の悩みとして、表面についた指紋や脂が目立つ、という問題も抱えることになった。気になる向きはクリーニングクロスを一緒に携帯する必要があるだろう。が、元来の塗装が美しいだけに、きれいに磨き上げたときの喜びは大きい。1日の終わりにSL-C750を磨き上げ、塗装を愛でる、というのも悪くないかもしれない。

●質感は維持されている

 SL-Cシリーズはディスプレイ部を回転させて「ビュースタイル」に変形できるのが大きな特徴の1つだ。このような複雑な機構を備えながら、ボディ全体の剛性感や質感が損なわれていないのもSL-C700の魅力の1つだが、この美点はきっちりSL-C750にも受け継がれている。回転時の重みやクリック感も適切だ。

 ノートPCやPDAのような製品では、代を重ねるごとにコストダウンが図られ、質感を落としていくことが多いが、SL-C750にはこのようなことが起きていない。

●キーボードは見やすく

 SL-Cシリーズの“売り”の1つであるキーボードは、レイアウトもメカニズムも変更されていない。ストローク、クリック感、キーピッチのすべてが良好で、よくできたキーボードだと思う。キーボード全体の剛性感が向上し、打鍵してもベコベコとへこむような嫌な感触が無くなった……と感じられるが、これは比較したSL-C700の経年変化による可能性もある。

 キーボードの変更点は、配色のみだ。SL-C700の黒地に黒いキートップ、白い文字から、銀の地に白いキートップ、黒い文字に変更された。筆者にとってこのキーボードは小さすぎてタッチタイプできない(ホームポジションマークも小さすぎる。ホームポジションのキーだけ、もっとわかりやすい感触にならないものか)ので、キートップの文字を確認しながら打鍵しなければならないのだが、この配色変更のおかげで視認性が上がり、入力速度も向上した(ような気がする)。

キーボードの色が変更された SL-C750(左)とC700のキーボード比較。レイアウトは変更されていない

●やはり鮮明なCGシリコン

表示されている画像自体がボケているためにあまり鮮明に見えないかもしれないが、実物ははっきりくっきりと見える。ぜひ店頭でご覧いただきたい

 VGA(640×480ドット)のCGシリコン液晶ディスプレイも、SL-C700が支持された理由の1つだ。SL-C750ではとくに変更されたところは見受けられないが、表示の精細さや鮮明さは先代からきっちりと引き継がれており、不満はない。

 ここまできれいな表示なら、もうすこしサイズを大きくして、解像度を上げたい、とつい欲張ったことを考えてしまうが、SL-C750全体のバランスを考えると、現状が最善なのだろう。



●ちょっと速くなった

 動作速度は、SL-C700よりも速くなっていることが体感できる。特にアプリケーションソフトの起動や画像などの読み込みで顕著だ。ファイルのコピーや、インプットスタイル-ビュースタイル変形時の画面の縦横切替も早くなっているが、これはSL-C700とSL-C750を並べて「よーいドン」で比べればわかる、という程度だ。

 体感できるとはいうものの、劇的に改善されたわけでもない。さまざまな動作で一拍待たされる感じは相変わらずだし、大きめの画像を読み込む際にはかなり待たされる。再起動にかかる時間も先代よりも30秒ほど短縮されているが、やはり数分待たされることに変わりはない。

 実用上で恩恵が大きいのは、CPUよりもメモリが増えたことだろう。SL-C700では起動したアプリケーションをまめに終了させないと、メモリ不足を宣告され、アプリケーションの終了を余儀なくされる場面によく出くわした。SL-C750でわざと多数のアプリケーションを起動して動作させてみたが、今のところメモリ不足には至っていない。

 メモリの増量は、Webブラウザで表示できるページ、受け取れる添付ファイルの容量緩和にもつながっているとされている。今回はネットワーク環境を用意できなかったのでこうした機能は試せなかったが、ブラウザの表示速度の改善なども期待される。

内蔵アプリケーションのHancomSheetを同時に起動してみたところ。SL-C700(下)ではあと2秒ほどかかる SL-C750(上)とC700のシステム情報でメモリ容量を比較。使用している容量は750が約26MB、700が約20MBと、750のほうが多くのメモリを使っているにも関わらず、空きは750が約35MB、700は約9MBと750が圧倒的に広い システム情報でOSのバージョンを比較。Linuxカーネル、Qtともにメジャーバージョンは変わっていない。プラットフォームの「Embedix Plus PDA」が「OpenPDA」になっているが、これはMetroworksがEmbedixのLineoを買収したことによるもので、ベースは同じものと推察される

●最大の魅力は塗装?

 本体色の変更と、CPU、メモリの強化、今回は試すことができなかったが大容量バッテリへの対応がSL-C750の主な変更点だ。ざっと触ったところ、先代の好評だった点をスポイルせず、欠点をつぶすことに注力した様子がうかがえる。劇的な変化はないが、着実な進化が確実に感じられるだろう。

 6月21日には、電子辞書と大容量バッテリを標準で搭載し、本体内蔵フラッシュメモリを128MBとしたSL-C760も待っている。1万円程度の上積みでこれらが手に入るなら、お買い得だ。

 が、SL-C750のシックな塗装は捨て難い魅力だ。常に持ち歩くPDAでは、所有欲を満たしてくれる質感の高さも重要なポイントになる。大容量バッテリや電子辞書は別に買えるし、フラッシュメモリはSDメモリーカードやCFで代替できなくもない。そう考えると、外観のためにSL-C750を買うのも悪くないように思われる。

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/030516.html
□関連記事
【5月16日】シャープ、大容量バッテリに対応したキーボード付ザウルス「SL-C760/750」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0516/sharp.htm
【2002年12月16日】【PDA】キーボードが付いたLinuxザウルス「SL-C700」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1216/pda08.htm
【2002年12月27日】【PDA】Linuxザウルス「SL-C700」詳細レビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1227/pda09.htm
【2002年11月12日】シャープ、VGA液晶とキーボードを搭載した「2Wayスタイル」ザウルスSL-C700
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1112/sharp1.htm

(2003年5月23日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


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