【Centrinoノート速攻レビュー(6)】
携帯電話を卒業したユーザーに奨めたい
〜ソニーの携帯電話キラー「バイオU101」



新しいバイオUとなるPCG-U101

 ソニーのバイオUは、昨年の3月に発表されたミニノートPCだが、これまでのノートPCの概念を打ち破った新しいジャンルの製品として大きな注目を集めた。

 そのバイオUが、CPUを従来のCrusoeからIntelのBaniasコアを採用したCeleron 600A MHzというプロセッサに変更されて新しくU101として生まれ変わったのは、すでに多くの記事で取り上げられている通りだ。本レビューでは、そんなバイオU101の魅力に迫っていきたい。



●デザインが大きく変更された新しいバイオU101

 今回のバイオU101では、コンセプトを維持しつつ、デザインが大きく変更されている。大きな変更点は、従来モデルでは標準バッテリが本体からはみ出るように装着され、まるで拡張バッテリのように飛び出していたのに対して、U101ではバッテリが本体の下部に取り付けることは変わっていないものの、本体の底面全体を覆う形態となり、出っ張り感が無くなっていて、本体の一部のように見えるデザインに変更されている。

 これは、バッテリを従来のリチウムイオンの角形セルからリチウムポリマーの角形に変更したため、同じ電力を維持しながらより薄いデザインをとることが可能になったためだ。これにより、本体は四角柱に近いデザインとなり、より違和感が無くなっていると同時に、本来の厚さは最厚部で46.1mmから37.6mmと8.5mmも薄くなっている。

 もう1つの大きな変更点としてキーボードとポインティングデバイスをあげておきたい。

 従来モデルでは、QWERTY配列を採用していたが、数字キーとファンクションキーの間に「Numlock」、「Insert」、「む」、「ろ」、「\」などのキーが入っているという、やや変則的な7段配列になっていたのだが、U101では一般的なQWERTY配列のキーボードになっており、他のバイオノートシリーズと比べても違和感のない6段配列となっている。

 ただし、従来モデルも、U101と横幅はほとんど変わらないので、7段のキーを6段に入れたことでキーピッチは従来モデルの14mmから13mmへと小さくなっている。こうした変化が入力感にどれだけ変化を与えるかは人それぞれだと思うが、筆者などはもともと従来モデルでも通常の打ち方をすることを諦めて親指打ちしていたので、むしろ入力しやすくなったと感じた。

 なお、従来モデルでも採用されていた携帯電話的に、12個のキーを利用して入力できるThumbPhraseも利用することができる。ただ、従来モデルと同じようにThumbPhraseに利用するキーは左側にあるので、左手で入力しなければいけない。右手で携帯電話のメールを入力している右利きユーザーにとって使いやすいかは疑問が残るところだ。ぜひ、次機種では右利きのユーザーにも快適に入力できるように右側にも用意して欲しいものだ。

 通常の配列に近くなったといっても1つだけ大きな違いがある。それが矢印キーが右上にきていることだ。これは、さすがに慣れるまでには時間がかかった。ただ、親指打ちしていると右上に移動するのに時間はかからなかったので、慣れてしまえばさほど違和感はない。

 矢印キーの中央にはポインティングデバイスがある。これも、C1に採用されているようなスティック型のものに変更され、使い勝手が向上している。従来モデルではボタンは右クリック用と左クリック用だけになっていたのだが、今回は中央にセンターボタンが用意されてスクロールなどに利用できるようになっている。

PCG-U1(左)とPCG-U101(右)との比較、厚さという意味ではU101は8.5mmも薄くなっている PCG-U1(左)とPCG-U101(右)の比較。U1がバッテリにより本体が斜めになっていたのに対して、バッテリが下部前面に入っているU101は床に対して平行となっている キーボードの比較。U101(右)は一般的なQWERTY配列になっているがピッチはやや小さくなっている

液晶を開けて横から比較したところ バッテリ搭載位置が変更されたことで、U101のポートは左右に分散されている

ポインティングデバイスと矢印キー。周囲にはThumbPhraseのボタンとズーム/ローテーションボタンが用意されている ポインティングデバイスのボタン。中央のボタンはセンターボタンで、スクロールなどに利用する


●CPUにBaniasコアのCeleronを採用することで大幅な性能向上を実現

 外観だけでなく、内部のアーキテクチャも大きな変更が加えられている。従来モデルでは、TransmetaのCrusoe TM5800シリーズが採用されていたのに対して、今回はBaniasコアのCeleron 600A MHzが採用されている。

 このCeleron 600A MHzは、L2キャッシュは512KBと半分になっていることと、動作クロックが600MHzに固定されるため、クロックや電圧を動的に変動するエンハンストSpeedStepテクノロジ機能には対応していないのが、同じBaniasコアを採用しているPentium Mと比べての違いといえる。

 チップセットはIntel 855PMを採用し、メモリは標準で256MB(DDR266)となっている。内蔵されているメモリを取り外して512MBモジュールに交換すれば、最大512MBまで増設が可能。

 ハードディスクは標準で30GBになっている。採用されているのは東芝のMK3004GAHで、1.8インチのドライブだ。また、ハードディスクはリムーバブルではないし、そもそも1.8インチドライブが単体売りされた例もないので、事実上ハードディスク交換は不可だと考えていいだろう。ただ、バイオUの用途を考えると、30GBもあれば特に不満を感じることはないといえる。

 ポート類だが、前面にはマジックゲート対応メモリスティックスロットとオーディオ入出力が用意されている。右側面はEthernetポートとACアダプタのポートが用意されており、左側面はUSBポート、IEEE 1394+専用電源、外部RGBコネクタケーブル接続用ポート、PCカードスロット(Type2×1)、後面はUSBポートという仕様になっている。

前面。メモリスティックスロットとオーディオ入出力が用意されている 右側面にはEthernetポートとACアダプタのコネクタが用意されている。蓋はやや開けにくく、デザイン上はあったほうが美しいが、実用上は無くてもいいのではないかと感じた

左側面にはUSB、IEEE 1394+専用電源、外部RGBコネクタケーブル用のポート、PCカードスロット(Type2×1)が用意されている 後面にはUSBポートが用意されている


●高い3D描画性能を実現する新しいMOBILITY RADEONと高品質なCGシリコンの7.1型液晶

 グラフィックス周りの充実も、今回のバイオU101の大きな特徴の1つだ。採用されているグラフィックスチップは、従来モデルと同じMOBILITY RADEONが採用されているが、ビデオメモリの容量は倍の16MBとなっている(従来モデルでは8MB)。

 また、従来モデルでは、AGPをサポートしないTM5800を採用していたため、PCIバス接続となっていたが、今回のモデルではAGP接続となっている。ただ、すでにPentium Mのパフォーマンスチェック記事でも述べたように、同じMOBILITY RADEONでも、バイオU101に採用されているのは、ハードウェアT&Lを搭載した新バージョンとなっており、3D描画性能は大幅に向上している。

 液晶ディスプレイは従来の6型からやや大型化されて7.1型となっている。ただ、この影響か、重さは従来モデルの820gからやや増えて880gとなっている。ディスプレイが大型化されたことを考えれば十分リーズナブルな範囲に収まっていると言えるだろう。

 液晶パネルは、CGシリコン液晶という新しい液晶が採用されている。また、微反射仕様になっており、強い太陽光の下でも十分な視認性が確保されている。また、新しく用意された3段階の輝度切り換えボタンにより、輝度を三段階にワンタッチで切り換えることができる。輝度最大と、やや暗め、そして輝度オフをこのボタンを押すことで切り換えられる。

 また、従来製品にもあったズームボタン(800×600ドットと標準解像度である1,024×768ドットの切り換え)の機能に加え、ローテーション(画面回転)機能が追加された。これはズームボタンを長押しすることで、画面解像度の方向を切り換えるもので、1,024×768ドットでこのボタンを利用することで、768×1,024ドットと、縦方向が長い表示モードに切り換えて利用することができる。例えば、Webサイトや電子図書などでは、縦方向が長い方が見やすい。こうした時にはこのボタンを切り換えて利用することで、快適なWeb閲覧が可能になるのだ。

輝度をワンタッチで変えるボタンが用意された。輝度は明るい、暗い、節電(バックライトオフ)というモードが用意されている ローテーションボタンで画面を回転したところ。Webブラウザや電子図書などはこのモードにすると使いやすい


●遂に無線機能を標準で内蔵したバイオU101

無線LANの電波を切るためのスイッチ

 今回のU101のもう1つの重要なアップデートは、標準で無線LANを内蔵していることだろう。従来モデルでは、無線LANは内蔵されていなかったため、これは大きな改良点といえる。これにより、ホットスポットで無線LANでデータ通信したりということが追加投資なく行なうことができる点は評価したい。

 なお、NTTコミュニケーションズの“HOTSPOT”サービスのプリペイドカードで、24時間利用が可能な500円分が2枚同梱されている。とりあえずホットスポットがどのようなものか試してみたいというユーザーには嬉しい同梱品と言えるだろう。

 搭載されているのはIntersilの無線LANコントローラで、IEEE 802.11bに準拠した11Mbpsの通信が可能になっている。なお、無線LANの電波を切るハードウェアスイッチも液晶の右側面に用意されており、電波を出したくない場所では電波をオフにすることが可能だ。

 このほか、Ethernetポートが用意されており、100BASE-TXでの利用が可能だ。そのほかのコミュニケーションポートは特に用意されていないが、PCカードスロットが用意されており、PCカードを利用してモデム、PHSなどの拡張は可能だ。


●デスクトップPCや他のノートPCとファイルを同期できるVAIO Synchronizer

 今回のバイオU101ではVAIO Synchronizerと呼ばれるファイル同期ツールが用意されている。VAIO Synchronizerでは、母艦となるデスクトップPCやノートPCなどと、バイオU101の間で、ファイルを常に同期させて、どちらでも同じバージョンのファイルを利用するというための同期ソフトだ。VAIO Synchronizerでは、常にネットワークを監視しており、バイオU101が母艦となるPCが接続されているネットワークに接続すると、同期が開始され、常にファイルは最新に保たれる。

 この自動で行なわれるというのが意外と大事で、筆者のようにものぐさで、Palmの同期も忘れてしまうようなユーザーでも、使いこなすことが可能であるということは強調したい。また、同期の設定自体も、ウィザードで簡単に行なうことが可能となっている。

 もちろん、自動で行なうという仕組みのために、誤ってファイルが消されてしまうのではないかという心配がでてくるだろう。VAIO Synchronizerではそれにも配慮されており、削除されたファイルはバックアップフォルダに一度格納され、ユーザーが設定した容量を超えない限りは消されることはない。つまり、誤って消されたデータでも復活させることが可能だ。

 VAIO Synchronizerではより高度な設定も可能で、例えば指定したファイルだけ同期させることも可能だ。まさにモバイルノートに必要なツールと言えるだろう。このツールは別にバイオUだけでなく、SRXシリーズやV505など他のモバイルノートでも便利なツールだと言えるので、ぜひ、他のバイオノートユーザーでも使えるようにして欲しいものだ。

 このほか、SmartNetworkと呼ばれるネットワーク切り換えツールも付属している。SmartNetworkに関してはV505と同じバージョン2.0が採用されているので、詳細はV505のレビューを参照して頂きたい。

VAIO Synchronizerのウィザード画面、同期の設定を簡単に行なうことができる

VAIO Synchronizerの実行画面。ネットワークに接続され、同期先のPCを見つけると同期が自動で行なわれる VAIO Synchronizerの細かな設定画面、フォルダ単位だけでなく、ファイル単位での設定も可能だ


●バッテリ駆動時間を伸ばし、かつ性能も大きく向上

 バイオU101とバイオU(PCG-U1)との比較は、Pentium Mの性能レビューの記事で触れた通りで、MobileMark2002の比較記事において、バイオU1のバッテリ駆動時間が2時間33分であったのに対して、バイオU101は2時間48分にのびている。

 MobileMarkは、割と厳しい条件下で実行されるテストなので、実使用環境においては3時間程度は利用可能だろう。バイオU101に採用されているバッテリの容量は2,200mAh/11.1Vと、バイオU1の1,800mAh/11.1Vに比べて増えていることを考えると妥当な駆動時間だと言える。なお、大容量バッテリもオプションで用意されており、大容量バッテリを利用した場合には8時間〜13.5時間(メーカー公称)の駆動が可能になる。

 性能面でもバイオU101は向上している。MobileMarkではU1が44であったのに、U101は88と大幅にのびているほか、グラフィックスチップがハードウェアT&Lに対応したことにより、3D性能も大幅に向上している。


●携帯電話に飽き足らなくなったユーザーにお勧めしたい新しいバイオU

 以上のように、バイオU101はバイオU1/U3を、性能面、バッテリ駆動時間、使い勝手などのあらゆる面で上回っており、これから買い換えを検討するというのであれば、間違いなく満足できる製品に仕上がっている。

 また、筆者としては、本製品は携帯電話のデータ通信環境に飽き足らなくなってきたユーザーにこそ購入を検討して欲しいと思う。確かに携帯電話でもメールや写真が送信できるし、最近は動画再生も可能になりつつある。

 だが、あの携帯電話の小さなディスプレイで満足できるだろうか? もちろん、それでもいいというユーザーも少なくないから、あれだけカメラ付き携帯電話が話題になっているのだが、携帯電話からPCに乗り換えることで、できることは飛躍的に増えていくことになる。

 確かに既存の1kgを超えるようなノートPCは大きくて重かった。だが、本製品のように1kgを切る製品であれば、なんとか鞄の中にいれて持ち歩くことも不可能ではないだろう。

 特に本製品は携帯電話ユーザーが違和感なく使えるようにThumbPhrase機能が用意されている。PCのキーボードに違和感を感じるのであれば、しばらくはこの機能を使えばいいのだし、乗り換えは他のPCよりも容易だろう。

 携帯電話でできることに限界を感じ、さらに高機能なデバイスが欲しいなぁと思う、携帯電話を“卒業”したユーザーならば、本製品は格好の選択肢と言えるし、お奨めしたい。価格も16万円前後と“ノートPCとしては”安価であり、その点も評価していいだろう。

 筆者個人としては、もう一歩進めて携帯電話(あるいはPHS)の機能をバイオU101に取り込んではと思うのだが、おそらく現状ではこれ以上内部にスペースはありませんというのがエンジニアの悲鳴が聞こえてきそうだ。

 ではどうだろうか、2004年に登場するかもしれない“バイオU201(?)”では、携帯電話やPHSの機能が取り込まれて、携帯電話やPHSとしても使えるバイオU登場というストーリーは。それが実現するのであれば、さらに携帯電話を卒業したユーザーを取り込めるようになると思うのだが……などと勝手に夢はふくらましたところで、今後も期待ということでまとめとしたい。

□関連記事
【3月12日】ソニー、BaniasコアのCeleronを搭載した新「バイオU」
〜11b無線LAN内蔵、本体底面がフラットに
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0312/sony1.htm

バックナンバー

(2003年3月28日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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