【Centrinoノート速攻レビュー(3)】
Centrino採用で生まれ変わった最薄部14.9mmのスリムノート
東芝「dynabook SS S7」



 2002年2月に東芝から登場したDynaBook SS S4は、12.1型液晶搭載ノートとして、当時世界最薄となる最薄部14.9mmというスリムなボディを実現し、大きな話題となった。

 DynaBook SSはその後、2回のマイナーチェンジが行なわれており、今回発表されたdynabook SS S7で4代目の製品となる。dynabook SS S7は、Centrinoモバイルテクノロジを採用しただけでなく、無線LANアンテナの位置が変更され、重さも100g軽くなるなどさまざまな改良が施されており、モバイルノートとしての魅力はさらに向上している。

 なお、今回のレビューは試作機に基づいたものであり、ベンチマークテストは行なっていない。また、実際の製品とは細部が異なる可能性があることもお断りしておく。



●超低電圧版Pentium M 900MHzを搭載した現時点唯一の製品

 dynabook SS S7/290LNKW(以下dynabook SS S7)は、Intelの最新モバイルプラットフォーム「Centrino」を採用した1スピンドルスリムノートである。2002年12月に発表されたDynaBook SS S6/286PNSL(以下DynaBook SS S6)の後継となる製品であり、ボディの基本デザインは変わらないものの、中身は大幅に強化されている。

本体底面。従来のモデルでは、メモリモジュールが専用形状だったが、dynabook SS S7では、SO-DIMMに変更されている

 dynabook SS S7は、CPUとして超低電圧版Pentium M 900MHzを搭載しており、現時点で、超低電圧版Pentium M 900MHzを採用した唯一の製品でもある(ソニーのバイオU PCG-U101は、超低電圧版Pentium MをベースにしたCeleronを採用)。

 旧モデルのDynaBook SS S6では、超低電圧版モバイルPentium III 866MHz-Mを搭載しており、動作クロックはあまり変わっていないが、Pentium Mは、クロックあたりのパフォーマンスが非常に高く、SSE2のサポートも追加されているため、パフォーマンスは大きく向上している。

 また、旧モデルではメモリとしてPC133 SDRAMが採用されていたが、dynabook SS S7ではPC2100 DDR SDRAMを採用しており、メモリ帯域幅は従来の2倍に広がっている。標準で256MBのメモリを実装しており、SO-DIMMによって最大768MBまで増設可能である。なお、旧モデルのDynaBook SS S6までは、独自形状の専用メモリモジュールが使われていたが、dynabook SS S7では、一般的なSO-DIMMに変更されたことも評価できる。



●HDD容量が40GBに増加

 DynaBook SSシリーズは、軽量化・低消費電力化のためにPCカードサイズの1.8インチHDDを採用していることも特徴だが、1.8インチHDDは、通常のノートに採用されている2.5インチHDDに比べると、容量面では不利である。実際、初代DynaBook SS S4と2代目のDynaBook SS S5では、HDD容量が20GBと小さいことが不満であった。

 3代目のDynaBook SS S6では、HDD容量が30GBに強化されたが、dynabook SS S7では、さらにHDD容量が増え、40GBに向上している。40GBあれば、通常の利用なら特に不満はないだろう。また、HDDの周りは衝撃吸収ラバーでカバーされているので、振動や衝撃にも強い。

 ボディの基本的なデザインは変わっていないが、従来はキーボード部分に内蔵されていた無線LANアンテナの位置が液晶ディスプレイ最上部に変更されたことにより、見た目の印象が若干変わっている。液晶裏面のロゴも新デザインに変更されている。

 ボディサイズは、286×229×14.9〜19.8mmで、従来とほとんど変わっていないが、重量が約1.19kgから約1.09kgへと、100g軽くなったことも高く評価できる。このクラスでの100gの違いというのは大きく、手で持ってみても、明らかに従来より軽くなったと感じる。

 また、液晶ディスプレイを固定するラッチが従来のプッシュ式からスライド式に変更され、片手でも楽に開閉できるようになった。

 液晶ディスプレイとしては、従来同様、12.1型低温ポリシリコンTFTカラー液晶が採用されている。低温ポリシリコンTFTは、通常のアモルファスシリコンTFTに比べて開口率が高いため、明るく鮮明な表示が可能だ。

 また、ビデオチップも強化された。従来のDynaBook SSシリーズでは、Tridentの統合型チップセットCyber ALADDiN-Tが採用されており、ビデオメモリとしてメインメモリの一部(16MB)が利用されていたため、3D描画性能は決して高いとはいえなかった。

 それに対し、dynabook SS S7では、ビデオチップとしてTridentの最新チップ「XP4 m32LP」を搭載している。ビデオメモリも、メインメモリとの共有(SMA)ではなく専用メモリになり、容量も32MBに倍増している。今回試用したのは試作機であったため、ベンチマークテストなどは行なえなかったが、3D描画性能が大きく向上していることが期待できる。

液晶部分を閉じたところ。基本的なデザイン自体は旧モデルと変わっていない 液晶裏面中央には、新デザインのロゴが埋め込まれている 無線LANアンテナの位置が液晶ディスプレイ上部に変更されている。アンテナカバーは、電波を通す材質でできているので、周囲との継ぎ目が見える

DOS/V POWER REPORT誌とのサイズ比較。横幅はほぼ同じで、奥行きはやや大きい 新開発の1.8インチ40GB HDDを搭載。HDDの周囲は衝撃吸収ラバーでカバーされている 「コンピュータの電源を切る」ダイアログボックスに並ぶアイコンの横の長さは約9mmである


●無線LAN機能の感度も向上

 dynabook SS S7では、IEEE 802.11b対応の無線LAN機能を内蔵している。dynabook SS S7のような携帯性を重視したモバイルノートでは、無線LAN機能を使う機会も多くなるため、無線LAN機能を標準搭載していることはありがたい。

 ちなみに、初代DynaBook SS S4では、無線LAN機能は標準搭載されていたが、後継のDynaBook SS S5では、無線LANモデルとCFカードスロットモデルの2モデルが用意され、3代目のDynaBook SS S6では、CFカードスロットモデルのみとなっていた。

 従来のDynaBook SSシリーズの無線LAN機能では、アンテナがキーボード部分に内蔵されていたため、他の無線LAN内蔵ノートに比べて、アンテナの感度が低いという欠点があったが、dynabook SS S7では、アンテナの位置が液晶ディスプレイ上部に変更されたことで、そうした問題も解消されている。

 従来同様、右側面に無線LAN機能をオンオフするためのハードウェアスイッチが用意されているのも便利だ。また、新たにネットワーク接続設定ユーティリティ「ConfigFree」がプリインストールされており、ネットワーク環境の自動切り替えやネットワークの診断などが行なえる。

 dynabook SS S7は、インターフェイスも充実している。USB 2.0×2、外部ディスプレイ、Ethernet、モデム、ヘッドホン出力、マイク入力の各ポートが用意されているほか、PCカードスロット(Type2×1)とSDカードスロットを装備している。ただし、PCカードスロットのフタはダミーカード方式なので、紛失してしまう恐れがある。

右側面には、無線LAN機能をオンオフするためのハードウェアスイッチが用意されている 左側面には、ファンの排気孔とSDカードスロットが用意されている 右側面には、無線LANスイッチやヘッドホン、マイク、PCカードスロットがある。モデムやEthernet、USB 2.0×2、外部ディスプレイの各ポートは、本体背面に用意されている

「ConfigFree」のネットワークドクター機能では、ネットワークの診断を行ない、ネットワークに繋がらない原因を教えてくれる 「ConfigFree」では、現在のネットワーク設定を自動的に取り込んで、プロファイルとして保存できる。LANケーブルを接続すると自動的に有線LANに切り替え、LANケーブルを抜くと無線LANに切り替えるといった設定も可能。また、無線LANのSSIDによって、プロファイルを自動的に切り替えることもできる

キーボードの配列も標準的で使いやすい。数字キーとファンクションキーの間に隙間が空いているのも、ミスタッチを防ぐためである

 キーボードのキーピッチは19mmで、キーストロークは1.7mmである。キーの配列も標準的で、カーソルキーの位置が少し下に配置されており、上カーソルキーの左右にキーがないなど、入力のしやすさへのこだわりが感じられる。

 数字キーとファンクションキーの間に隙間があいているので、数字キーとファンクションキーを押し間違えることも少ない。キータッチも良好であり、タイピングも快適に行なえる。また、キーボード上部には、インターネットボタンとメールボタンも用意されている。

 ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが採用されている。パッドのサイズはやや小さめだが、操作性は良好である。



●大容量バッテリが標準添付、ACアダプタもさらに小型に

 DynaBook SSシリーズでは、スリムボディを実現するために、バッテリにリチウムイオンポリマー電池が採用されている。バッテリパックは、従来のDynaBook SSシリーズで採用されているものと同じで、10.8V、1,600mAhという仕様である。

 標準バッテリパック以外に、容量が3,600mAhの大容量バッテリパックが標準添付されていることも特徴だ。大容量バッテリパックを装着すると本体後部が分厚くなり、重量も約1.42kgに増加するが、それでも十分携帯可能な範囲に収まる。

 また、従来のDynaBook SSシリーズのACアダプタもコンパクトであったが、dynabook SS S7ではACアダプタがさらに小さくなっており、より携帯性が向上していることも嬉しい。

 公称バッテリ駆動時間は約2.5時間とCentrino搭載マシンとしては短めだが、バッテリパックの容量が1,600mAhと小さいためなので、標準で付属する大容量バッテリパックを装着すれば、バッテリ駆動時間は約8.1時間に延びる。

 東芝製のノートは、省電力設定ユーティリティの機能が充実していることでも定評がある。バッテリ残量に応じて、バックライトの明るさやCPUパフォーマンスなどを細かく設定できるので、バッテリを無駄なく利用することが可能だ。

【お詫びと訂正】初出時、大容量バッテリについて、誤った容量が記載されていました。正しくは3,600mAhとなります。お詫びとともに訂正させていただきます

バッテリパックにはリチウムイオンポリマー電池が採用されている。電圧は10.8Vで、容量は1,600mAhである ACアダプタのサイズは39.5×92.5×39.5mmで、従来品に比べて体積が約3割小さくなっている 東芝省電力ユーティリティの設定画面。CPUパフォーマンスやバックライトの明るさ、ハードディスクの回転休止などを、バッテリ残量に応じて指定できることが特徴だ


●実用性と携帯性を両立させたモバイルノート

 dynabook SS S7は、最薄部14.9mmというスリムなボディに最新テクノロジを凝縮した製品であり、モバイルノートとしての完成度は非常に高い。標準で大容量バッテリパックが付属していることからもわかるように、常にマシンを持ち歩いており、AC電源が利用できない場所で使うことが多いヘビーモバイラーには、ぴったりの製品である。

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【3月12日】東芝、15型液晶搭載Centrinoノート「DynaBook V7」
〜dynabook SSにもCentrinoモデル登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0312/toshiba.htm

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(2003年3月17日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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