【速報編】Athlon MP 2600+登場
~K7デュアル最高峰のパフォーマンスは?



Athlon MP 2600+

 AMDがAthlon MP 2600+をリリースした。AMDのAthlon MPは、CPUの価格が安価なのもさることながら、マザーボードが低コストなのも特徴で、特にコストに敏感なチャネル向けのサーバー、ワークステーション市場で高い評価を受けている。

 今回は、このAthlon MP 2600+のエンジニアリングサンプルを入手したので、速報としていくつかのベンチマーク結果をお届けしたい。



●実クロックで2.133GHzを実現したAthlon MP 2600+

 AMDのAthlon MP 2600+は、AMDの0.13μmプロセス技術に基づいて製造されているThoroughbredコアを採用したCPUで、L2キャッシュは256KBとなっており、従来のAthlon MP 2400+と同等だ。

 実クロックは、2.133GHzとAthlon XP 2600+(266MHz版)と同じとなっている。動作電圧は1.65Vで、従来のAthlon MP 2400+と変わらない。熱設計消費電力(TDP)の値は60Wとなっており、Athlon XPに比べて低く抑えられているのが特徴だ。パッケージも従来と同じOPGAで、外見上も大きな違いはない。

 システムバスのクロックは266MHzとなっており、Athlon XPが333MHzに移行したのに比べると、こちらも従来の仕様のままに押さえられている。これは、Athlon XPではシステムバス333MHzに対応したチップセットが登場しているのに対して、Athlon MP用の唯一のチップセットであるAMD-760MPX(あるいはAMD-760MP)は、システムバスは266MHzがリミットで、同じくメインメモリもDDR333をサポートしておらず、DDR266までとなっている。

 このため、現状のままでは、AMD-760MPXの新しいリビジョンの製品でもリリースしない限りはシステムバス333MHzに移行するのは難しい。しかし、現在AMDは次世代のサーバー、ワークステーションプロセッサであるOpteron(オプティオン)への移行を最優先しており、AMD-760MPXの新しいリビジョンなどを投入する余裕があるとは考えられない。また、OEMメーカーにもそうした説明はされていない。


●ビデオエンコードやPhotoshopなどマルチスレッド対応アプリケーションで大きな効果

今回使用したAMD-760MPX搭載マザーボード「GIGA-BYTE GA-7DPXDW+」

 それでは、ベンチマークを利用してAthlon MP 2600+の性能に迫っていこう。本来であれば、IntelのXeonと比較するのがベストなのだが、今回はXeonのシステムを入手するタイミングの問題で、本記事作成に間に合わなかったため、シングルのAthlon XP 2600+(333MHz版)とPentium 4 3.06GHz(HTテクノロジ有効)の2つと比較してみた。Xeon 2.80GHzのデュアルシステムも近日中に入手できる予定なので、入手次第追加レポートを行なっていきたい。

 テスト環境は下記の通りで、利用したベンチマークはTMPGEnc Version 2.5を利用したMPEG-2エンコードテストと、Photoshop V7.01のアクションファイルを利用したベンチマーク“HI-FI-Ultimate-Bench-PS7”で、HI-FI( http://www.hi-fi.jp/index@hi-fi.html )で配布されていたものを利用させていただいた。

 HI-FI-Ultimate-Bench-PS7は、Photoshop 7で複数のフィルタをバッチ実行し、実行にかかった時間を計測するベンチマークで、複数のフィルタをまとめて計測できる優れものだ。数値は時間で、ここでは、数字が小さければ小さいほどパフォーマンスが高いことを示している。Photoshopはマルチスレッド対応のフィルタがいくつかあるので、その効果が確認できるだろう。

【テスト環境】
CPUPentium 4 3.06GHzAthlon MP 2600+(Dual)Athlon XP 2600+
チップセットIntel850EAMD-760MPXVIA Apollo KT333
マザーボードIntel D850EMV2GIGA-BYTE GA-7DPXDW+EPoX EP-8K3A+
チップセットドライバIntel 4.00.1013+Intel IAA V2.20AMD 5.33AGP+AMD IDEVIA 4in1 V4.42
メモリDirect RDRAM/1066MHzDDR266DDR333
メモリモジュールPC1066-32PC2100(2.5-3-3)PC2700(2-3-3)
容量512MB
ビデオチップNVIDIA GeForce3
ビデオメモリ64MB DDR SDRAM
AGP Apature Size256MB
ビデオドライバNVIDIA Detonator XP V30.82
標準解像度1,024x768ドット/32bitカラー/85Hz
サウンドYMF-754R
EthernetカードIntel PRO/1000 MT Desktop Adapter
ハードディスクIBM IC35L040AVVN07-0(40GB)
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional

■ベンチマーク結果

【グラフ1】TMPGEnc MEPG-2エンコード(17,989フレーム)

 グラフ1はTMPGEncを利用したAVIファイルをMPEG-2に変換する際のパフォーマンスだが、見て判るようにAthlon MP 2600+のデュアルは37.2フレーム/secと、リアルタイムエンコードが可能になる30フレーム/secを大きく超えるパフォーマンスを発揮していることがわかる。



【表1:Photoshop 7.01のベンチ結果】
 Athlon MP 2600+(Dual)Athlon XP 2600+Pentium4 3GHz(HT有効)
雲模様 22.9 2.7 3.0
ノイズを加える0.9 0.9 1.7
水晶26.5 36.7 29.1
モザイク1.5 1.3 0.9
明るさの中間値46.3 86.6 193.3
アンシャープマスク6.9 7.8 5.7
光彩拡散16.8 14.7 11.4
ぼかし (詳細)107.1 96.7 72.3
シャープ(輪郭のみ)2.4 3.6 2.9
ウォーターペーパー31.5 30.7 28.6
ドライブラシ28.0 27.2 31.5
輪郭以外をぼかす2.1 3.2 2.5
クロム24.4 21.5 18.7
墨絵30.8 29.6 25.3
明るさの最大値44.3 44.0 33.4
ハイパス9.1 14.7 8.8
エッジの光彩23.6 22.8 20.2
ぼかし(ガウス)4.7 4.9 3.5
逆光4.9 6.4 3.9
NTSC カラー3.8 3.5 2.8
水彩画27.9 26.6 21.7
照明効果2.2 2.4 2.2
モード変換CMYKカラー3.7 5.5 4.5
モード変換Lab 5.5 11.1 9.6
モード変換グレースケールモード1.9 2.9 2.5
モード変換RGB 1.4 1.8 1.5
輪郭検出2.1 3.4 2.6
カラーハーフトーン5.2 4.4 2.9
極座標10.8 15.0 12.4
押し出し228.1 168.6 97.0
ハーフトーンパターン14.0 12.9 10.9
クラッキング34.9 33.4 24.7
プラスター19.0 17.9 14.2
パレットナイフ41.9 38.9 33.1
インク画 (外形)25.0 23.3 17.9
拡散152.9 131.2 79.6
ぼかし (放射状)301.9 590.8 444.6
合計1,296.9 1,549.6 1,281.4

 表1がPhotoshop V7.01における結果で、数字が小さい方が高いパフォーマンスであることを指し示している。こちらの結果では、Athlon MP 2600+(デュアル)は、合計タイムではPentium 4 3.06GHzに比べてやや劣るがほぼ同等という結果になった。

 だが、内容を見ていくと、例えば、“明るさの中間点”や“ぼかし(放射状)”といったやや重め(つまり時間がかかる)フィルタでは、逆に上回っている。そういう意味では、ヘビーな用途に使うことが多いユーザーであれば、大きな意味があると言えるだろう。


●ビデオエンコードソフトウェアなどマルチスレッドで利用したいユーザーにお奨め

 以上のように、Athlon MP 2600+は、ビデオエンコードや写真のレタッチなど、マルチスレッドをサポートするアプリケーションで大きな効果があることがわかる。

 気になる価格だが、1,000個ロット時の価格が米国ドルで273ドル(日本円では34,125円)となっており、CPUを2つ買ってもPentium 4 3.06GHzの7万円台後半とほぼ同じだと言える。

 もちろん、マルチスレッドではないアプリケーションではPentium 4 3.06GHzの方が高いパフォーマンスを発揮する可能性が高いので一概に比較はできないが、ビデオエンコードやPhotoshopの負荷が高いフィルタなどを重視するのであれば、Athlon MP 2600+という選択もありだろう。そういう用途を重視したいユーザーであれば、本製品を検討する価値があるだろう。

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(2003年2月4日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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