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個人・SOHO向けNAS「HDA-i120G/LAN2」を試す



●個人・SOHO向けのネットワーク接続型ストレージ

HDA-i80G/LAN
 このところ筆者が興味を持っている周辺機器の1つが、個人でも使えるような価格帯のネットワーク接続型ストレージだ。これまでもいくつか取り上げてきたが、最初に取り上げたのがアイ・オー・データ機器のHDA-i80G/LANだった。

 ネットワークに接続可能なストレージというと、それまではもっぱら企業向けで、価格も10万円以上と高かった。しかし、ブロードバンドの普及でほとんどのPCがEthernetポートを持つようになった現在、ユニバーサルな接続性を持ったストレージとして、SOHOやパーソナルが使えるネットワークストレージがあっても良いのではないか、と考えていた。

 そこに現れたのがHDA-i80G/LANであった。HDA-i80G/LANは、RAIDのサポートや高度なネットワークの設定といった、企業向けのNASに求められる機能を持たない代わり、5万円を切る価格を実現し、個人やSOHOでも導入可能な製品であった。

 だが、HDA-i80G/LANは、必ずしも良いところばかりではない。試用していくつかの点が気になった。決して速いとはいえないデータ転送速度、利用に際し2つのACアダプタが必要となるデザイン、Plug and Playからほど遠い設定環境といった部分だ。今回取り上げるHDA-i120G/LAN2は、型番でもわかるとおり、HDA/i80G/LANの次世代機に該当する。どの辺りが改良されたのか見てみたい。


●スペックアップされたHDA-i120G/LAN2

LAN-iCN2
 HDA-i120G/LAN2は、i・CONNECT対応の120GB外付けHDDユニットに、LANコンバータアダプタであるLAN-iCN2と組み合わせた製品。ほかに160GBモデル、250GBモデルも用意される。このことからもわかる通り、最初から137GBを超えるBigDriveに対応しているというわけだ(前シリーズはファームウェアのアップデートで対応)。

 HDDユニットは、同社のHDA-iUシリーズ相当で、i・CONNECTコネクタ以外にUSB 2.0に対応したもの。ただしUSB 2.0接続用のケーブルや単体で使う場合のACアダプタは添付されない。価格は120GBモデルが53,800円、250GBモデルが92,800円、LANコンバータアダプタが29,800円で、同じ容量でも若干の値上がりとなっているのは、LANコンバータアダプタが5,000円高くなっていることを反映したものだ(ただしセット価格では4,000円の値上げにとどめられている)。

LANコンバータアダプタ(左)とHDDユニット(右)。写真は縦置きだが、横置きにしてスタックすることもできる
 HDA-i120G/LAN2を実際に見て、まず気づくのは、LANコンバータアダプタの形状が変わったことだ。前シリーズのコンバータは、確かに小型であったものの、ちょっと置き場に困るデザインだった。今回のLANコンバータアダプタは、i・CONNECTシリーズのHDDユニットと同じ筐体で、積み重ねて使うことが可能となっている。コンバータが大型化したわけだが、この方がかえって扱いやすいかもしれない。

 もう1つ扱いやすくなったのは、ACアダプタが1つで済むようになったことだ。以前は、コンバータとHDDユニットそれぞれにACアダプタが必要だったが、今回のHDA-i120G/LAN2では、ACアダプタを接続するのはコンバータアダプタのみ。HDDユニットにはコンバータアダプタから電源を供給する。HDDユニットを単体で利用する際には別売のACアダプタが必要になるが、ACアダプタが1つで済むようになったため、設置場所がスッキリする。

 LANコンバータアダプタに用いられているソフトウェアは、基本的には以前のものと同じようだ。CFカードに納められたLineoの組み込み用Linuxを、コンバータアダプタの前面スロットにセットする。他の製品の多くと異なり、本製品はHDDユニットが交換式であるため、OSをHDDに書き込んでおくことができない。そこでCFカードを用いているというわけだ。コンバータアダプタが内蔵するCPUもSH3からSH4へアップグレードされており、性能向上が期待されるところだ(同社Webサイトの情報では3倍のパフォーマンス)。

LANコンバータアダプタの内部。中央上部に見えるのがSH-4プロセッサ、右側にCFカードスロットがある LANコンバータアダプタの心臓部となるSH-4プロセッサ

設定メニュー
 残念なのは、設定環境について特に変化がなかったことだ。工場出荷時の設定はIPアドレス固定(192.168.0.200のプライベートアドレス)。ブラウザからこのアドレスを指定して、まず設定メニューを呼び出す(画面)。もちろんDHCPクライアントとしても利用できるが、その場合サーバ側でDHCPの割り当てテーブルを参照するなどして、本機が利用しているIPアドレスを調べる必要が生じる(あるいはDHCPサーバ側で、本機に固定したIPアドレスを割り当てるように設定するか)。

 設定にユーティリティを必要としないということは、利用するOSを選ばない(Macintoshでも使える)ということではあるのだが、逆にユーザーを選ぶことになるのではないか、という気がする。本機に添付されているマニュアルは、様々なシナリオ(OSの違い、IPアドレス設定の違い)に合わせて、本機をどう使うかについて丁寧に書かれているが、その結果、分厚いマニュアルになってしまっている。

 また、設定メニューでは、ユーザー管理やユーザーグループの管理が可能になっているが、果たして本機にそのような機能が必要なのかも疑問に思うところだ。マニュアルには注意書きとして、ネットワーク経由で接続可能なMacintoshの台数は最大5台まで、と書かれている。同様に、Windowsクライアントには台数制限は設けられていないものの、推奨する同時接続台数は8台まで、となっている。筆者は、これだけの台数であってもネットワークでファイルを共有するメリットは高いと考えるが、ユーザー管理やユーザーグループの管理までは要らないのではないだろうか。共有すべきものはサーバーに公開し、守秘すべきものはローカルに置くという方法でもいいと思う。


●実際の使用感と「買い」の指標

 さて、筆者の環境における性能だが、前シリーズに比べて性能が改善されていることは間違いない。だが、ファイルサイズが大きくなると、転送速度が低下する傾向が見られた。ファイルコピー中の、本機のアクセスランプの点灯を見ていると、ネットワークから送られてきたデータを一度コンバータアダプタでバッファリングし、それからHDDユニットに転送しているようだ。しかも、HDDユニットへのデータ転送中は、コンバータアダプタのネットワークアクティビティを示すインジケータは消灯していることが多い。

 印象(あくまでも印象だが)では、CPUはPIOによるHDDへのデータ転送でいっぱいいっぱいな感じだ。したがって、バッファに入りきるような小さなデータのコピーでは、PC間のコピーに劣らない速度が期待できるが、データがバッファに入りきらなくなると、速度が低下する。ただ、それでもCPUがアップグレードされた効果は大きく、大きなデータのコピーでも、PC間コピー時の1/2から1/3程度の性能は出ているようだ。一般的なファイル共有用途であればまったく問題ないが、AV関係のファイル共有(特にビデオファイルの共有)にはあまり向かないかもしれない。

 とはいえ、コンバータアダプタ、HDDユニットのいずれにも冷却ファンがなく、一定時間以上利用しない場合に自動的にHDDがスピンダウンするなど、静音性への配慮がなされている点では本機はパーソナルユースに向く。様々な点で、初代のLAN-iCNに比べて改良されていることも間違いない。LANコンバータアダプタの単品販売もあることから、すでにi・CONNECT対応のHDDをもっているユーザーには、有力なオプションといえるだろう。

□関連記事
【2002年3月13日】【元麻布】低価格NASの先駆者となるか!?
〜アイ・オー・データ「HDA-i80G/LAN」を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0313/hot191.htm
【1月27日】アイ・オー、性能が3倍に向上したi・CONNECT対応NASコンバータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0127/io1.htm
【2002年2月12日】アイ・オー、i・CONNECT対応HDDをNAS化するコンバータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0212/iodata2.htm

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(2003年1月29日)

[Text by 元麻布春男]


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