元麻布春男の週刊PCホットライン

eMachinesの低価格PCの実態



●eMachinesの49,800円PC

eMachines N1840
(ディスプレイは別売)
 昨年末、筆者はこのコラムで「49,800円のPC」を何回か引き合いに出した。PC本体が49,800円で買える時代に、XXがYY円というのはいかがなものか、といった具合だ。もちろん、「49,800円のPC」を引き合いに出した時、筆者の頭の中には具体的なPCが想定されていた。それは、eMachinesのPCである。

 現在、九十九電機と石丸電気で販売されているeMachinesのPCは、全部で4モデル。その中の最も安価な「N1840」が、ウワサの49,800円PCだ。残る3モデルのうち2モデルはこのN1840をベースにしたもので、「N1845」はハードウェアはそのまま、OSをWindows XP Home EditionからProfessionalに変更したビジネス向けモデル。「N2040」はCPUをCeleron 1.80GHzから同2GHzへ、CD-ROMドライブをCD-R/RWドライブへ、それぞれアップグレードしたものである(OSはHome Edition)。

 これら3モデルに共通するスペックは、チップセットがIntelの845GLで、内蔵グラフィックス専用となること、メモリが128MB(PC2100 DDR SDRAM)、HDDが40GB(5,400rpm)で、AC'97 CODECによるオンボードサウンド搭載(スピーカー付属)、アナログFAXモデム標準装備といったところだ。

 もう1つのモデルが、Intelの845Gチップセットをベースにした「N4010」。4モデル中、唯一AGPスロットを持つモデルだ。標準構成では内蔵グラフィックスを使用しており、AGPスロットは利用されていない。とはいえ、CPUも内蔵L2キャッシュが512KBのPentium 4 2A GHzになり、メモリの搭載量も256MBに、HDD容量が100GB(5,400rpm)になるなど充実。

 光学ドライブも、CD-R/RWとDVD-ROMのコンボドライブになっており、かなりスペックが強化されている。そのかわり価格は94,800円で、「激安」とか「爆安」という感じは後退した印象だ(高いとは言わないが)。

 販売が開始された昨年末、筆者宅から徒歩圏内にあるツクモ下北沢店では、上記4モデルのうち第1ロットが売り切れになったのがN1840とN4010の2モデル。中でもN1840の売れ行きは結構良かったようだ。アキバ的に見て、Celeron 1.80GHzとCeleron 2GHzの差額にCD-ROMドライブとCD-R/RWドライブの差額を足しても1万円はしない。

 N2040が高いというわけではないが、お買い得感の点でN1840に及ばない印象は否めない。N2040のメモリが256MBだったら、N1840と同じくらい売れたのではないか、という気もする。逆に、全モデルにアナログモデムを搭載する必要があったのかが難しいところだが、メモリ容量を128MBに抑えてもアナログモデムを搭載するあたりがアメリカで企画されたPC、という印象を受ける部分でもある。

 すっぴんのPCという印象の強いN1840系に対しN4010は、ほとんど筐体を開けることなく一通りのことができるコンシューマー向けPCというスペックだ。これはこれで悪くはないが、価格が99,800円になってもいいから、DVD-R/RWドライブ内蔵だったら、もっと話題になったと思う。やはり、インパクトの点で49,800円のN1840が最も高かったのは間違いないところだ。


●N2040の内部構成

eMachines N2040
 そんなことを考えていたところ、筆者の手元にN2040の評価機が届けられた。そんなに49,800円のPCが気になるのなら、実物を見てみたら、ということらしい。引き合いに出しておきながら、実物を見たことがない(もちろん店頭では見ているのだが、じっくりと中身を見たわけではない)のもアレなので、この機会に触ってみることにした。モデルがN2040になったのも、N1840が完売したからかもしれない。

 さて届けられたN2040だが、箱から出てきたのはスタンダードなミニタワーケースのPC。MicroATXケースとしては、比較的奥行きが深い部類で、設置面積が大きくなる代わりに、内部へのアクセスは容易だ。外観はDellに通じるような、今のアメリカで人気のあるタイプ。ことさらに高級感があるとは言わないまでも、安っぽい印象はない。

写真ではカバーに隠れているが、筐体全面下部にUSBポートとヘッドホン、マイクジャックがある 背面にも4つのUSBポートがある ドライバー無しで筐体内にアクセスできる

 付属のキーボードも、やたらと特殊キー(音楽再生やインターネット関連、さらにはカット&ペーストまで)が多いものの、思ったより良質で、十分使える印象。キーボードとマウス(ボール式、スクロールボタン付)の両方ともPS/2タイプだが、USBポート自体は2.0対応のものが背面のI/Oパネル部に4ポート、筐体前面下部にヘッドフォンジャック、マイクロフォンジャックと共に2ポートの計6ポート用意されており十分だ。

特殊キーがやたらとついているPS/2タイプのキーボード PS/2タイプのボールマウス

 内部は5インチベイ×2(うち1つは標準搭載のCD-R/RWドライブ搭載済み)と前面アクセス可能な3.5ベイ(FDD搭載済み)、3.5インチHDDベイ×2(うち1つに40GB HDD搭載済み)と、このクラスとしては標準的な構成だ。

 HDDベイは、手前にコネクタサイドがくるタイプ(コネクタの向きがCD-ROMドライブやフロッピードライブと90度の角度をなす)。他のデバイスとデージーチェーンするには向かないが、ケーブルの交換やジャンパスイッチへのアクセスは容易だ。

 マザーボードはFICのVC37。845GLチップセットを用いたMicroATXフォームファクタのマザーボードで、3本あるPCIスロットの1つにArchtek Telecomの56Kモデムが実装されている。V.92にも対応するが、国内のプロバイダで対応しているところはほとんどないのではないかと思う。

コネクタが手前に来るHDDベイ マザーボードにVC37の文字が見える。メモリは128MBが1枚

 もちろんV.90モデムとしても利用できるが、現在の日本の状況を考えれば、アナログモデム自体が必要だったのか微妙なところだ。が、事前に構成を決め打ちし、同じ構成のPCを大量生産することでスケールメリットを出して低価格化を実現するというポリシーなら、この構成もやむをえないところだろう。

 2本あるメモリスロットのうちの1つには、Samsung製の128MB DIMM(PC2100)1本が実装されていた。ヒートシンクはアキバでもおなじみの、Taisolブランドのものである。ハードウェアとしては、おおむねこのようなもので、極めてシンプル。何の飾りもないプレーンなPCだ。


●添付ソフトウェアは一切なし

 そのプレーンさは搭載ソフトウェアにも現れている。というより、最初からプリインストールされたソフトウェアは何もない。ただ、壁紙のみが、eMachinesのロゴ入りのものになっているだけで、追加されたソフトウェアは基本的にない。CD-R/RWのライティングも、Windows XPの標準機能を利用する徹底ぶりだ。筆者は、この何もないところを好ましく感じた。

 別にこれは皮肉でもなんでもない。コンシューマー向けのPCの中には、頼みもしないのに、使わないアプリケーションがいろいろインストールされたものが存在する。使わないアプリケーションはHDDの肥やしにしかならない上、ユーザー登録と称してやたらと個人情報の入力を要求してくる。アンインストールしてしまうに越したことはないのだが、厄介なことに一度アプリケーションがインストールされてしまったシステムは、たとえアンインストールしても、完全に元には戻らない。

 正規版のアプリケーション(使用制限のないもの)でもこれだけ迷惑することがあるというのに、評価版だったりしたら、アンインストールする手間賃を払えといいたくなってしまう。

 まぁ、格安海外ツアー旅行に必ずついてくる、「市内観光」みたいなものと割り切ればよいのだろうが、その点このeMachinesのPCは、「完全フリープラン」というわけである。本当に必要なアプリケーションは、その対価に見合うかどうかを自分で判断した上で別途購入し、自分でインストールすればよい。

 実際、筆者はDellが好調な理由の1つは、頼まない限り余計なソフトが入ってこないからではないかとさえ思っているし、変なアプリケーションのバンドルされたPCは、それだけでメーカーのセンスを疑ってしまう。何でもつければいいというわけじゃないと、声を大にして言っておきたい。


●グラフィックパフォーマンスとクオリティ

 このN2040やN1840に関して、特に高性能を期待して購入するユーザーはいないと思うが、一応、ベンチマークテストも実施してみた(表1)。英語版のWindows XPを用いてのものなので、あくまでも「ご参考」というレベルだが、十分実用に足る性能だと思う。

【表1】ベンチマーク結果
ベンチマーク スコア
3DMark 2001 1,071
SYSMark 2002 Rating 141
Internet Content Creation 194
Office Productivity 103

 3DMark 2001のスコアが1,000程度と低いが、痛いのはスコアが1,000であることではなく、スコアが1,000のグラフィックスに飽き足りなくなった時に、アップグレードする簡単なオプション(つまりはAGPスロット)がないことだ。こればっかりは、チップセットが845GLなだけにやむをえないし、そうしたユーザーはN4010を検討して欲しい、ということなのだろう。

 とはいえ、マザーボードは標準的なMicroATXフォームファクタだから、その気になればマザーボード交換はいつでもできる。ユーザーによっては、3Dグラフィックスがバリバリのゲームなんて、死ぬまで縁が無い、という人も(特に日本は)少なくないハズだ。案外とこれでいいのかもしれない。

 もう1つAGPスロットがないことで気になるのは、内蔵グラフィックスの出力品質だが、これも意外と悪くない。少なくとも、筆者の手元にあるIntel純正の845GLマザーボード(D845GLLY)よりは、ベターだと思う。D845GLLYでは1,024×768ドットの解像度が上限という印象だったが、N2040(VC37というべきか)では1,280×1,024ドットが十分使える印象だ。

 1,600×1,200ドットでは、さすがにゴーストが明らかだが、D845GLLYのようにジッターを伴うものではないため、我慢すれば使えなくも無い。アナログ的な画質は、個体差もあるし、一概には言えない面もあるが、内蔵グラフィックスとしては良い部類に入る。

 難点を挙げれば、ミニタワーケースで省スペース性がイマイチなことだろうが、その代わりハードウェアエンコーダ付TVチューナカードのような周辺機器でも問題なく使える(こうした周辺機器と内蔵グラフィックスの相性はまた別の問題だが)。省スペースタイプにすると、価格が1万円から2万円上昇することを踏まえれば、eMachinesのPCにも十分競争力があると思う。低価格といって侮れないPCだ。

□関連記事
【2002年12月20日】九十九電機と石丸電気、米eMachinesの低価格PCを販売
〜Celeron 1.80GHz搭載の最廉価機種は49,800円
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1202/tsukumo.htm
【2002年10月15日】【買い物】75,999円のチーズバーガーパソコンのお味
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1015/kai11.htm

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(2003年1月24日)

[Text by 元麻布春男]


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