ジャーナリスト・コンテンツプロデューサー・研究者という3つの肩書を名刺に書くようになってから10年近くになろうとしている。取材を行ない記事として寄稿したり、書籍や論文にまとめたり、Webコンテンツやイベントの企画やプロデュースを行なっている。
どの仕事にもパソコンが欠かせないのは言うまでもない。そして仕事道具としてのパソコンは、速く・確実に・いつでもどこでも働いてくれなければ困る。そんな私が、約20年という長きにわたり、質実剛健かつ安全な国産ブランドとして知られるレッツノートの最新モデルを試用する機会を得た。
今回試用したのは、レッツノートの「CF-SV7」(以下、SV7)。これまでSZというシリーズ名だった「王道モバイル」モデルが、フルモデルチェンジを果たしたという。12.1インチ画面・光学式ドライブ内蔵でありながら、1キロを切るという特長はそのままに、最新世代のクアッドコアCPUや汎用性の高いThunderbolt 3を搭載している。
SV7は第8世代インテル®のクアッドコアCPUを搭載した、クラムシェルタイプの12型モバイルノートPCだ。レッツノートとしては初めてThunderbolt 3規格に対応したUSB type-C(以下、type-C)ポートを搭載している。
液晶画面は16:10のWUXGA(1920 × 1200ドット)。一般的によくノートパソコンに採用されている16:9よりも書類の作成・閲覧により有利な画角となっている。
動作時間はモデル構成にもよるが、代表機種ではバッテリー(S)装着時で約14時間、バッテリー(L)装着時で約21時間となっており、終日の利用であれば標準のACアダプターを持ち歩く必要はほぼ無くなったといえる。バッテリーは使用に伴う経年劣化は免れないが、それを交換できるようになっているのもSV7の大きな魅力と言えるだろう。
さらに、Windows Hello対応の顔認証対応IRカメラを採用した。パスワードを入力することなく、カメラに顔を向けるだけでWindowsへのログインが可能だ。
そのほか、Ultrabookの普及で11インチ~13インチクラスのノートパソコンでは搭載されることが少なくなった光学式ドライブや、VGA・LANポートなどの「レガシー」な接続端子を引き続き採用。それでいて、1キロを切る重量に収まっているのには驚かされる。「76cm動作落下、100kgf加圧振動、局部加圧試験などをクリア」した頑丈な筐体も受け継ぐなど、ビジネスシーンに求められる要望をことごとく満たしている。
最近の一般的なノートPCには搭載されることが少なくなった光学式ドライブやVGA・LANポートなどを採用
SV7に搭載される第8世代インテル® クアッドコアCPU(Kaby Lake Refresh)は、前世代よりも2つコアが多いクアッドコア(4コア)となり、約25%高クロック化。それでいながら電源制御も改善されることで、モバイル使用時の安心感も増している。
SV7の個人店頭モデルでは、インテル® Core™ i7-8550U プロセッサー(1.80GHz / 最大4.00GHz)とインテル® Core™ i5-8250U プロセッサー(1.60GHz / 最大3.40GHz)の2種類から、さらにPanasonicの直販サイト「Panasonic Store」では、ひとクラス上位のCPUの選択も可能だ。
その性能をベンチマークテストで検証してみた。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1403」とMaxonの「CINEBENCH R15.0」だ。
以下の通り結果は、PCMark 10、CINEBENCH R15.0ともにクアッドコアの実力を発揮できている数値となった。CINEBENCHの数値については、SV7が軽量で優れた放熱処理性能を持っているためと考えられる。
ベンチマークスコア | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1403 | |
PCMark 10 | 3,693 |
Essentials | 7,755 |
App Start-up | 10,162 |
Video Conferencing | 6,856 |
Web Browsing | 6,695 |
Productivity | 6,470 |
Spreadsheets | 7,506 |
Writing | 5,578 |
Digital Content Creation | 2,727 |
Photo Editing | 3,241 |
Rendering and Visualization | 1,798 |
Video Editing | 3,481 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 44.80fps |
CPU | 479cd |
SV7ではパナソニック独自の放熱処理でこの第8世代Core Uの性能を可能な限り保つ工夫がされている。ほとんどのモバイル向けモデルでは、グラフィック処理などの負荷の大きい作業の際には、プロセッサーが過熱することを避けるため、自動的に処理速度を下げる仕組みになっている。これがしっかりと放熱がされていれば、作業効率を高いレベルで保つことができるというわけだ。
Thunderbolt 3はType-Cコネクターを採用するデータ通信規格で、PCI Express3.0・Display Port1.2を内包するThunderbolt 2、そしてお馴染みのUSB3.1の3つの規格に対応したものだ。
ポートの形状はType-Cと同じでもちろん互換性もあるのだが、転送速度はUSB3.0が5Gbpsなのに対して、Thunderbolt 3は40Gbpsと桁違いだ。市販の拡張ドック(USBハブ)を使用すれば、Type-C以外のUSB・DisplayPort規格の機器も接続可能で、SV7の活用シーンをさらに拡げてくれそうだ。
またThunderbolt 3は、USB PD(Power Delivery)に対応し、15W=5V 3Aまで給電可能。USB3.0では難しかった4Kディスプレイなどより大きな電力を必要とするデバイスも、ケーブル1本で接続できることが大きな特長となっている。
さらに、市販のUSB PD対応ACアダプターを使って充電が可能。バッテリー駆動時間の長さとも相まって、標準のACアダプターを持ち歩く必要もいよいよ少なくなったと言えるだろう。
さて、このような特長を持つSV7を実際に1週間ほど試用して得たインプレッションを紹介していきたい。
ここまで見てきたようなSV7の特長――クアッドコアCPUのパワー、Thunderbolt 3の利便性、セキュリティ面、豊富なインターフェイスなどトータルにみても、筆者のワークスタイルに合致するモバイルノートPCだった。
特に、「動作速度と動作時間」というモバイルノートが抱える相反問題にうまく着地点を見いだしているという点は、一見地味だが高く評価したいポイントだ。クルマに喩えるならば、高馬力と低燃費を絶妙なバランスで実現している、というとイメージしやすいかも知れない。
「仕事をこなす目的でノートパソコンを選ぶ」ということは、効率や生産性に投資するということと同義だ。処理速度が速くなれば、仕事を早く完了させることができる。いわば時間をおカネで買っているのだと言える。
とはいえ、モバイル用途においては、処理速度の速さはバッテリー消費が大きいことも意味する。電源が尽きてしまっては、効率以前に仕事そのものが進められなくなってしまう。筆者の場合、取材、打ち合わせ、大学の講義などで1日中外出することも多く、それぞれの場所で電源が確保できるとは限らない。SV7の約21時間(Lバッテリー)というバッテリー持続時間と、それを支える放熱設計は頼りがいがあった。
【1日の動き】
・9時~10時30分 書籍企画の打ち合わせ
・11時~12時 ウェブサイトの連絡会議
・13時~14時 広告記事企画の打ち合わせ
・15時~18時 シェアオフィスでの執筆作業
・19時~21時 大学講義の準備
編集部での打ち合わせでは、180度開いて画面を共有。ノングレアで映り込みの少ない画面は情報の共有もスムーズだ
仕事柄、大学の講義などノートPCを持ち歩くことが多い。それでもバッテリー残量を気にしたことはなかった
試用時は、HD画質の映像の再生や、大学の講義で使う映像をエンコードしたりもしたが、ファンが高回転したり、本体が熱くなるといったことはなかった。また、そういった負荷の高い作業を進めながら、並行して講義資料をPowerPointで作成してみたが、処理が遅くなることもなくスムーズに講義の準備を進めることができた。
Thunderbolt 3ポートは充電だけでなく、データ転送&給電を1つのケーブルで可能とするため、例えば対応するモバイルディスプレイをThunderbolt 3対応ケーブル1本で接続することが可能だ。作業効率をさらに高める「投資」としてこのようなディスプレイ導入も有力な選択肢になるだろう。
また、手持ちのUSB Type-C ACアダプターを用いて、SV7に給電・充電ができるかを試して見たところ、問題なく動作することが確認できた。
このACアダプターは最大20V / 1.5Aでの給電が可能で、これはもちろんレッツノートSV7に付属するACアダプターの16V / 5.3Aよりも出力は劣る。しかし、総重量は軽く(手元のスケールでの計測では173グラム)、体積も小さくて済む。このACアダプターであれば普段使っているスマホにも急速充電が可能で、トータルではメリットの方が大きい。ただし、もちろんメーカー保証はない。がこの利便性は捨てがたい。
SV7は、16:10 WUXGAという最近では珍しい画角を備えている。解像度は1920 × 1200ドットとなる。一般的な16:9(フルHD)では解像度は1920×1080。つまり、SV7は縦方向に120ドット表示領域が広い。
ブラウザーでホームページを閲覧するときや、Excelで表を作成する際など、縦方向に表示が多い方がやはり生産性は高まる。
筆者は仕事柄、原稿だけでなく、契約書や論文を確認したり、そこに訂正やコメントを入れることも多い。文書の表示行数が多いと先の見通しが効くので好印象だ。
原稿など文書の作成にあたっては、キーボードが快適に入力できるかも重要だ。レッツノートはキーストローク2mmを確保。指先がキーボードに引っかかりにくくなるリーフ形状のキートップも、タイプミスを防ぐことに一役買っている。
大学の図書館やシェアオフィスなど静粛さが求められる空間では、タイプ音がうるさいと、周りの視線が気になって作業に集中することが難しくなる。SV7はタイプ音はもちろんのこと、放熱が上手くいっているためかファンが回ることも少なく、タッチパッドのクリック音も上品だ。静粛さが求められる空間でも安心して作業に集中できた。
大学の教室など、アナログRGBでしかプロジェクターに接続できないケースも珍しくないのが現実だ。筆者は講義間際に変換コネクターを忘れたことに気がつき、大学生協まで大慌てで買いに走ったことも一度ではない。しかしSV7であれば、そんな心配とも無縁だ。
また、記者会見などで資料やソフトの試用版がCDやDVDで配布されることもいまだに多い。その場でデータを確認できれば、仕事を早く完了できる。アニメーションに関連した仕事や研究も行なう筆者の場合、DVDに収録された映像をその場でチェックできるのは、SV7の大きなメリットだ。
SV7は、これも稀少な仕様となりつつある交換可能なバッテリーも引き続き採用している。6セルのLバッテリーであれば約21時間の駆動が可能だが、たとえば普段はSバッテリーをセットしておき、長丁場の作業が予想されるときにLバッテリーに交換するという、レッツノートならではの柔軟な運用も可能だ。
Windows Hello対応の顔認証についても積極的に活用したい機能だ。これまで指紋認証を備えたノートパソコンを使ったことはあったが、少しでも指がずれたり、指先が乾いていたりするとログインに失敗することが多かった。しかしWindows Hello対応の顔認証対応IRカメラは反応も早く、パスワードのようにのぞき見されて盗まれるといった心配もない。
SV7を1週間使ってみて感じたのは、生産性を高めることに直結する質実剛健さと信頼性の高さだ。20年という長きにわたり、多くの人に支持されてきた理由をあらためて確認できたように思う。
カタログスペックを飾るような新しい技術・トレンドをやみくもに取り入れるのではなく、ユーザーが着実に仕事を進めることができるのか、という観点で採用を図っていることが、確認できるのも好印象だ。
第8世代クアッドコアCPUを採用しつつも、きちんと放熱設計・制御を行なっていることはその象徴であり、周辺機器が充実してきたThunderbolt 3を満を持して採用しつつも、レガシーな規格を省くという選択肢をとっていない点にもそれはよく現れている。
生産性を向上する最新技術と頼れるレガシー技術の継承。SV7は、どんな場面でも仕事の能率を高いレベルで維持できることを約束してくれる。2018年春の「働くノート」の本命として有力な選択肢となる1台と言えるだろう。
Web販売モデルでは、vPro付きのプロセッサーを搭載。Intel® Core™ i7-8650U vPro 1.90 GHz(最大4.20 GHz)とIntel® Core™ i5-8350U vPro 1.70 GHz(最大3.60 GHz)の2種類から選択できる。
さらに、PCIe接続SSDは最大1TBまで、メモリーは16GBを、光学式ドライブはブルーレイドライブを選択可能。光学式ドライブと入れ替えとなるが、SSD128GB+HDD1TBのモデルも用意されている。
また、カラーバリエーションとしてジェットブラックを用意。カラー天板は2種類から選ぶことができる。無償保証期間が4年間となるのも大きなメリットだ。
IT系スタートアップ・出版社・広告代理店、アニメ事業会社などを経て、フリーランスに。実務経験を活かしながら、IT・アニメなどのトレンドや社会・経済との関係をビジネスの視点から解き明かす。Webメディアへの寄稿やデジタルコンテンツ関連の著書多数。法政大学社会学部兼任講師・デジタルハリウッド大学院DCM修士(専門職)・東京大学大学院修士(社会情報学)。
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