このコーナーでは、窓の杜編集部の協力を得て、Windows用のさまざまなオンラインソフトを月ごとにテーマを決めてレビューします。今月のテーマはゲームソフトです。掲載は毎週木曜日を予定しています。
【編集部】 |
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■Windowsでなつかしの名作を楽しもう
パソコンを買う目的のひとつとして、ゲームの存在はかなり大きいだろう。現在はインターネットに食われてはいるものの、NECのPC-98シリーズ全盛のころは一太郎かゲームか、といった感じだったし、プラットホームがWindowsに移行しても、戦略シミュレーション、ネット対戦ゲームなど、さまざまなジャンルのものが楽しまれている。また、コンピュータの処理速度とグラフィックカードの3D性能の向上から、美麗な3Dグラフィックを駆使した各種のシミュレータも人気だ。
しかしゲームの本質は、アイディアとゲームバランスにあることは間違いない。複雑なアルゴリズムや凄いグラフィックなどがなくても、単純でよく練りこまれたシステムは面白いのだ。今回は、MS-DOSなどで動作していた名作を、Windows上に再現したゲームを紹介しよう。
■ダンジョンクエストの金字塔「Rogue」
地下迷宮に潜り込み、襲いくるモンスターを倒し、アイテムを手に入れ、最終的な目的を達成するのがこのRogue(ローグ)の目的だ。Rogue自体は付属のドキュメントにもある通り、UNIXに搭載されているゲームをTim Stoehr氏が新たに書き起こしたクローンであり、これはPDSとして配布されている。今回紹介するのは、これを太田純氏がMS-DOS用に移植・日本語化したものを、さらに風桜へぽぽ氏がWindows用に移植したものだ。
[?]キーを押すと、すべてのコマンドが表示される | 敵を見つけたら方向キーで敵と戦おう |
ゲームの目的は、地下25階以降にある「イェンダーの魔除け」を手に入れ、無事地上に戻ること。モンスターを倒すことによって経験値を得てレベルアップし、ダンジョン内に落ちているアイテムをうまく使って、目的を達成するのだ。プログラムを起動すると、なんともそっけない画面が現われるが、これがゲーム画面のすべてだ。主人公のキャラクターは「@」の記号、床は「.」、壁やドアや通路、モンスターやアイテムもすべて記号だ。とりあえず[?]キーを押すと、すべてのコマンドが表示される。移動はカーソルキーでもOKだ。敵のモンスターはアルファベットで表示され、敵と接触すると戦闘になる。戦い方は敵のいる方向に移動キーを押すだけの簡単なものだ。自分のステータスは画面下に表示されており、体力が0になると死亡する。減った体力は歩いているか、その場で休む([.]コマンド)で徐々に回復するが、だんだんとお腹も空いてくる。「空腹」から「飢餓」になったら、速やかに[e]コマンドでなにか食べないと餓死してしまう。たまに落ちている食料は、ある意味強力な武器より重要だ。
ダンジョンの床に落ちているアイテムは、デフォルトでは上に乗れば(持てる範囲であれば)自動的に拾うが、もちろんアイテムの素性はなんだかわからないものばかりだ。武器や防具は呪われているかもしれないし、水薬や巻物や指輪、杖などの効用は実際に使ってみるまでわからない。実用的なものから、とんでもない災厄に見まわれるものもあるのだ。
登場するモンスターもさまざまだ。階が進むにつれ、毒を持つもの、体を凍らせるもの、アイテムを奪うものなど、いろいろな特性をもつ敵が登場する。肉弾戦だけでなく、飛び道具や杖なども使って、これらに対抗していこう。
このゲームは途中でセーブができるので、こまめにセーブを繰り返すのが成功への早道だ。[S]コマンドでセーブしてゲームが終了するので、添付されている「restore.bat」を編集してセーブファイル名を指定したら、「restore.pif」を使ってゲームを実行すれば、セーブしたポイントから再開できる。このゲームのダンジョンはランダムなので、途中でいくつもセーブしておいてもほとんど意味はないから、セーブファイル名もひとつに統一しておいたほうが面倒がないだろう。では、健闘を祈る!
■最後に
Rogueは見た目は味けないが、一度始めてしまえば面白い。ゲームシステムは驚くほど単純だが、奥が深く、簡単に楽しめるわりには、最終的な目標にたどり着くための難易度はかなり高いのだ。愛好者も多いので、ゲームに関する情報についてはWebページやNews、チャットなど事欠くことはないだろう。先人のアドバイスをうけて、ぜひクエストの成功を目指して欲しい。
ところで、このキーボードによるコマンド操作は、初心者にはちょっと辛いだろう。せっかくWindows用に移植されているのだから、初心者用のメニューがあってもいいのではないだろうか。もちろんオリジナルのキーバインドを変更されるのは困るのだが、リアルタイム性がないコマンドなどは、Windowsならではのメニュー選択もできれば、より簡単に、そして幅広くの人が楽しめるようになる。これだけのゲームが、「インターフェイスが面倒だから」で敬遠されるのは非常にもったいない。
□作者のホームページ
http://www.freak.ne.jp/HEPOPO/
[Text by 鹿山雅志]