このコーナーでは、窓の杜編集部の協力を得て、Windows用のさまざまなオンラインソフトを月ごとにテーマを決めてレビューします。今月のテーマはPIM関連ソフトです。掲載は毎週木曜日を予定しています。
【編集部】 |
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■さっとメモって簡単整理
電話で受けた伝言や、テレビで流れたおいしい店の情報、ちょっとした思いつきなどは、とりあえず手近の紙にメモを取る。パソコンを使って入ればエディタを起動して入力したり、付箋紙ソフトを使う人もいるだろう。しかし、エディタは起動-入力-名前をつけて保存とステップが多くて面倒だし、付箋紙はどんどん貼り付けていくとちょっと目障りで、けっきょくテキストに移さなくてはならないので二度手間だし、どちらにしても検索性が悪い。Smart Note LTならば、断片的な情報をうまく整理することができる。
■Smart Note LTの使い方
Smart Note LTは、メモをツリー形式で保存しておけるソフトだ。まずはソフトを起動して、ツールバーのいちばん左にある[開始]ボタンを押してみよう。[開始画面]のボタンが現われ、ウィンドウには[引き出し]と[ごみ箱]のタブが並んでいる。[引き出し]ウィンドウ内には「サンプルノート」と「取扱説明書」があるので、これを見ていけば機能の概要がわかるはずだ。
ノートを開いた状態のメインウィンドウは3つのペインに分かれており、ツリーを表示するフォルダの階層ウィンドウ、フォルダ内にあるメモの一覧を表示するウィンドウ、そしてメモの内容を表示するコメントウィンドウがある。
使い方は簡単だが、少し慣れが必要かもしれない。まず[ファイル]メニューから[新規ノート]を作成したら、階層ウィンドウにあるノートに名前をつける。[F2]を押すか、名前の部分を選択してクリック、というWindowsのエクスプローラライクなもので、ほかの操作もほとんどエクスプローラ互換なので迷うことはないだろう。次に[編集]の[新規の用紙]を選ぶと、一覧ウィンドウに新しいメモ用紙が現われるので、ここでも同様に名前をつけ、コメントウィンドウで内容を書き込む。メモをどんどん作ったら、分類用に[編集]メニューから[新規の子フォルダ]を作って名前をつけ、メモをフォルダにドラッグ&ドロップして整理していけばいい。これはそのまま、いわゆるアイディアプロセッサとして使うことができるだろう。
しかし、いちいちメモを取るたびにこんなステップを踏んでいては面倒だ。普段のメモでは[速攻メモ]機能を使うべきだろう。デフォルトでは[Alt]+[\]のショートカットで速攻メモウィンドウがポップアップしてくるので、タイトルと内容を書き込んで[確定]ボタンを押せば、作業していたフォルダ内にメモがすぐに保存されることになる。
一般的なメモ用紙だけでなく、ほかに「ToDo」と「リンク用紙」という機能をもつ。これは新しい用紙を作成するときに、ツールバーにあるドロップダウンボックスで種類を指定したり、[編集]の[種類を指定して作成]で選ぶことができるほか、すでにあるほかの形式を[用紙のプロパティ]から選択することも可能だ。
ToDo形式にすると、一覧ウィンドウの表示でチェックマークが表示されるようになる。これはクリックによってチェックのON・OFFがトグルで切り替わるようになっているほか、[用紙のプロパティ]の[ToDo]タブにある、[期限]指定することによって、簡易的なスケジューラとして使うこともできる。
リンク用紙では、ちょうどWindowsのショートカットのような機能をもつ用紙が作成できる。[用紙のプロパティ]の[リンク用紙]で、リンクするファイルを指定すれば、コメントがついたショートカットファイルのように扱えるわけだ。リンクはファイルだけでなく、URLを指定することもできる。用紙をクリックすれば、リンクされたファイルやURLがオープンするわけだ。
入力したデータの検索機能は強力だ。[検索]-[文字列検索]では、検索したい文字列を、用紙のタイトルやコメント、また用紙の種類、さらに日付の範囲を指定して検索することができるほか、[照会]からはクエリー型で、検索結果を一覧で表示してくれ、もちろんクリックで該当用紙へのジャンプが行なえる。
データの保存は基本的にはノートごとにオリジナルのバイナリ形式で保存することになるが、[設定]-[保存形式]でプレーンテキストで保存することもできるほか、重要なファイルにはパスワードを設定することも可能だ。
さらに[出力]からは、ノートの内容を全部、またはフォルダごとに指定の形式で書き出すことができる。デフォルトでは標準、HTML、メール、シンプルテキスト、TeXの書式が用意されていて、自分で新しい書式を作成することもできる。
■最後に
ある程度の文章にならない、こまごまとしたデータというのは意外に多い。これらはよほど気をつけていないと、結局はゴミとなって消えて行く(もちろん本当に重要でない場合も往々にしてあるが)。情報は単体では意味を持ちにくく、分類・整理され、関連性を持った時こそ、その価値を見出すことができるのだ。Smart Note LTはもともとそういった用途を目指して作られており、データベースとして十分な機能を持っているといっていい。しかし、その分メモ機能が弱いのが気になる。ファイルの自動保存(ハングアップ対策)や、速攻メモの保存場所選択機能(データ分類の即時性)があると、さらに強力なものになるだろう。
□作者のホームページ
http://www.geoxi.com/
[Text by 鹿山雅志]