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プロカメラマン山田久美夫の

COMDEX/Fall '99 会場レポート デジカメ編 その3
「世界が広がるメモリーカード編」

会場前

期日:11月15日~11月19日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center
   Las Vegas Hilton

 

 COMDEX最後のレポートは、メモリースティックの新展開と、主要メモリーカードメーカーの動きについてまとめる。


●もっともアグレッシブな展開をはかっていたソニー

 既報の通り、ホームネットワークや「メモリースティック・ウオークマン」を中心とした新展開は実に興味深いものだったが、その中でも注目度が高かったのが、メモリースティック関連の出展だ。

 これまで、メモリカードというと、記録メディアという側面だけがクローズアップされがちだった。だが、今回のCOMDEXでソニーは、メモリースティック自体にさまざまな機能を持ったデバイス系カードとしての側面をクローズアップ。しかも、従来のPCカードのように、モデムやLANだけではなく、デジタルカメラやGPS、テレビチューナーといったより高機能なユニットを、メモリースティックというスタイルで提案していた。

【動画】

 これらは、機能拡張カードのため、それ単体で機能するものではないが、同時に出品された大小の液晶付きの本体ユニットと自由に組み合わせることで、あらゆる目的に対応できる多目的システムとして活用できるわけだ。
 残念ながら、いずれもモックアップだが、やがては商品化される可能性を秘めたモデルといえる。


●Bluetooth対応のInfoStickも出展

 また、InfoStickと呼ばれるメモリースティックカードで、次世代無線転送規格であるBluetoothに対応。つまり、メモリースティック対応機器に、このInfoStickを指すだけで、その機器でBluetoothが利用できるようになる。

 たとえば、Cyber-shotにInfoStickを装着して撮影すると、手持ちのBluetooth対応の携帯電話を経由して、撮影されたデータを簡単に無線転送することもできる。



●内部の4層化により1GBメモリースティックも!

 記録メディアとしてのメモリースティックの大容量化にも新展開が見られた。これは「High Density Mounting Stack Technology」と呼ばれるもので、内部のメモリユニットを薄型化し、4層構造にすることで、飛躍的な大容量化を図るものといえる。現在予定されているラインナップは最大で128MBまでだが、この技術を使うことで、サイズや仕様を変えることなく、一挙に4倍に容量を増やした512MBカードを現実化できるわけだ。さらに、同ブースの説明では、256MBユニット×4層構造により、1GBのメモリースティックも将来的に実現できるとしている。

 出展された試作品を見ると、かなり現実的なもののようで、ごく近い将来に製品化される可能性が高い。もし、このサイズで1GBクラスのカードが実用化されれば、ポケットサイズの「メモリースティック・ハンディーカム」も夢ではない。もちろん、メモリはかなり高価になるので、それがそのまま最終記録メディアになるのはまだ先としても、記録メディアとしては、結構現実的な世界になりそうだ。


●続々登場するメモリースティック搭載機器

 また、この手のイベントではすでに恒例になりつつある、メモリースティック搭載機器の参考出品も、今回はニューフェースが多く、見応えがあった。

【動画】

 なかでも、超薄型デジタルカメラやカメラ付きのハンディGPS、ユニット交換によりカメラにもオーディオ機器としても使える携帯AV機器。メモリースティックスロットル付きカラープリントなどを簡単にデジタル化し保存できる写真版“データーイータ”スキャナなどもユニーク。

 もちろん、いずれの機器もモックアップ展示のみだった。


●静かだった「SDカード」

 メモリースティックの対抗馬として期待される、松下、東芝、SanDisk共同開発のSDカード。今回のCOMDEXでは、かなり派手な展開を繰り広げるのでは……と期待していたのが、残念ながらその期待ははずれてしまった。

 今回、SDカードを出展していたのは、SanDiskブースのみ。しかも、ウインドウ越しにいくつかの対応製品が展示されていただけで、あまり大きな進展はなかった。

 同社では64MBのMultiMediaCard(MMC)と、MMC用フラッシュパスやカードリーダーなどを出展しており、きちんとシステム化を図っていた。このほか、Type2の880MB PCカードや、CF Type2の320MBカード、CFの192MBカードといった大容量カードを出展していた。いずれも、米国で発売中という。


●ニコンD1対応の高速160MBカードを発表したLEXAR

 デジタルカメラに特化したメモリカードを多数発売しているLEXAR Media。今回は、カタログに「for Nikon D1」とうたった、160MBの10倍速CFカードを出展していた。

 同社のカードは、読み書きが高速な点が大きな特徴だ。最近のデジタルカメラは大容量バッファを搭載しているため、バッファがフルになるまではストレスを感じないが、いったんバッファがフルになると、カードへの書き込み時間が早いカードのほうが、より速く次のカットを撮影できるわけだ。データ量が大きくなるCCD RAWモードやTIFFモードなどでは、書き込み速度の差が歴然と感じられるケースも多い。このカードは、10倍速(約2MB/秒)の速度を実現しており、CFカードの中でもトップレベルの高速化を実現している。社長自らがカメラマンなだけに、本製品はそのあたりにこだわったプロ向けのカードといえる。



●PCMCIA Type2の260MB HDDカードを出品したCalluna

 PCMCIA Type3の大容量HDDカードで有名なCalluna。ブースでは話題の1GBのType3カードを出展していたが、今回はさらに、ポピュラーで汎用性の高いType2のPCカードで260MBのHDDカードをアピールしていた。

 IBM microdriveが登場した現在では、サイズや容量もさほど驚くべきものではないが、価格が299ドルと比較的手頃な点が大きな魅力。しかも、ノートPCなどで利用するのであれば、とくにCFタイプである必要もないことを考えると、意外にお買い得な製品といえそうだ。なお、このカードはすでに発売中で、同社のサイトから購入することもできる。


●大容量カードを出展した中規模メモリーカードメーカー

 大容量化に熱心なSimple Technologyは今回、320MBのCF Type2と880MBのPCカードを出品。会場で見掛けたなかでは、同社のCFカードが各規格でもっとも大容量だった。


 このほか、Feiyaは、Type2の520MB PCカードを出品するなど、各社とも大容量化に熱心な取り組みを見せていたのが印象的だった。


 また、eFILMも、CF Type2カードの224MBカードを出品。こちらはカードにおまけとしてミニ三脚がついているあたりがデジタルカメラを重視したメーカーらしいところだ。


 また、MicrosoftのWindows CEデモスペースでは、各社のメモリカードを一堂に展示。日本では見ることのできないメーカーも数多く見ることができた。


 PCカード、なかでも小型カードは今後、デジタルカメラのみならず、音楽メディアなどの家電系製品にも広く普及することが予想されるだけに、各社ともかなり本格的な展開をはじめている。また、さらなる大容量化がすすめば、ビデオ用のストレージやPCのメイン記録装置としての用途も広がるだけに、今後もますます動きが活発になっていくことだろう。



□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/

□関連記事
【11月19日】 プロカメラマン山田久美夫のCOMDEX/Fall '99 会場レポート デジカメ編その1
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991119/comdex21.htm
【11月22日】 プロカメラマン山田久美夫のCOMDEX/Fall '99 会場レポート デジカメ編その2
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991122/comdex23.htm

('99年11月26日)

[Text by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp