日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下日本HP)は、10月20日に同社のインクジェットプリンタ秋冬モデルの技術説明会を開催した。
説明会は、今年のインクジェットプリンタに投入された新技術の説明、メモリカードスロットを搭載した「PhotoSmart」シリーズに関する説明、プリンタ市場についての3部から構成されていた。
新技術に関しては、5pl(ピコリットル)による2,400×1,200dpiの実現、カラー誤差拡散技術の向上、CIECAM97s(CIEが'97年に提唱したColor Appearance Model)に対応した点などについて説明があった。またC社との印字速度(実機によるテストではなくグラフによる説明)、印刷サンプルについての説明がなされた。「PhotoSmart」シリーズに関しては、ダイレクトプリントをハードウェア上(デジタル基板“ASIC”)で制御することで印刷速度の向上を図っている点などについて、他社製品(エプソン「PT-100」)との比較を通して説明した。
これらの説明に関しては従来の発表会で行なわれた説明をアップデートしたものであり、他社製品が発表されたことを受け、自社製品の優位性を説明する場となった。
最後に行なわれたのは「米国を含めたプリンタ市場の傾向と対策」といったもので、日本HPのプリンタに対する考え方が現われたプレゼンとなった。
米国をはじめとした世界市場についての市場動向については、順調な成長が見込まれるがその中で特に伸びるのが欧州、アジア(日本は含まれない)としている。現在米国では49ドルプリンタを中心とした低価格プリンタが市場の牽引役を果たしているとし、この流れは欧州、アジアでも同様の流れとなるという。
ただ、日本市場に関してはデジタルイメージングが他国より進んでいることもあり(米Hewlett Packard Companyによれば、米国は日本に比べデジタルイメージングの市場への浸透度が2年遅れているとしている)、低価格競争は起きないと考えている。
また、日本HPとしては現在のエプソン、キャノン、日本HPのインクジェットプリンタはすでにオーバースペック(必要以上の領域)であり「写真画質を追求するだけでなく、総合的なバランスを評価する時期にきているのではないか」と説明。インクジェットプリンタのユーザーアンケートの結果を例に「ユーザーの求めているのは印刷速度や印刷時の音、使いやすさなど」としており、日本HPとしては写真高画質の実現以外にプリンタの総合力の重要性をユーザーに訴えかけていこうと考えているようだ。
('99年10月21日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]