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リアルタイムMPEG-2録画、番組予約もできる
ALL-IN-WONDER 128



 日本のPCユーザーの多くは、ビデオカードを選択するときに2D/3Dの描画パフォーマンスや描画品質のみを重視し、ビデオキャプチャやテレビチューナーなどの付加機能満載の製品は敬遠する傾向にあるようだ。しかし、ビデオカードとしての基本性能が十分満足できるレベルをクリアしている上で、様々なビデオ関連の付加機能が満載されている製品があったとしたらどうだろう。そういった製品が秋葉原に登場した。今回取り上げるALL-IN-WONDER 128がそれである。いったいどういった機能が盛り込まれているのか、早速見ていくことにしよう。

【お詫びと訂正】
※日本語版の発売は未定とした記述がございましたが、日本語版は既に発売されています。ご迷惑をおかけした関係各位にお詫びするとともに、訂正させていただきます。


●RAGE 128 GLを採用し従来モデルの不満点が解消されている

 ALL-IN-WONDERシリーズは、RAGEシリーズでおなじみのATI Technorogiesが発売している、TVチューナーを搭載し、ビデオ入出力機能、ビデオキャプチャ機能などを備えるマルチメディアビデオカードだ。国内では、ビデオチップとしてRAGE PRO TURBOを搭載する「ALL-IN-WONDER PRO」が発売されているが、アメリカでは同社のハイエンドビデオチップであるRAGE 128 GLを搭載する新モデル「ALL-IN-WONDER 128」が発売済みだ。ALL-IN-WONDER 128の日本の発売はまだ正式に決定していないようだが、秋葉原ではいち早く英語版のバルク品が一部パーツショップに出回っている。ちなみに、ALL-IN-WONDER 128にはビデオメモリの搭載量などの違いによる2種類の製品ラインナップがあるが、秋葉原で販売されているのはビデオメモリを16MB搭載する廉価版「ALL-IN-WONDER 128 16MB」だ。

 ALL-IN-WONDERシリーズのこれまでのモデルでは搭載ビデオチップがRAGE PRO TURBOであったこともあり、特に3D描画パフォーマンスにかなりの不満があった。

 しかし、ALL-IN-WONDER 128では、ビデオチップにRAGE 128 GLを搭載することで、従来モデルの不満がかなり解消されている。RAGE 128 GLはATI Technorogiesのハイエンドチップであり、高い2D/3D描画パフォーマンスを誇るだけでなく、Motion CompensationおよびIDCTといったDVD再生支援機能を搭載し、マルチメディア用途に適したビデオチップである。

 もちろん、Matrox G400やRIVA TNT2、GeForce256などといった他社の最新ビデオチップと比較すると、特に3D描画パフォーマンスは劣る部分がある。とはいっても、現在発売されている3Dグラフィックスのゲームをプレイするには十分なパフォーマンスを備えており、よほどハイエンドのパフォーマンスを要求しない限り、描画パフォーマンスに大きな不満を覚えることはないはずだ。これまで3D描画パフォーマンスのためにALL-IN-WONDERシリーズの購入をためらっていた人も、満足できる可能性がかなり高くなっているといっていいだろう。


●英語版バルク品ながら、日本語ドライバやユーティリティソフトが付属

 もちろん、ビデオキャプチャやTVチューナー機能といったビデオ関連機能を利用する場合にはドライバの用意が必要不可欠となる。ALL-IN-WONDER 128と同様の機能を備えるビデオカードとして、3dfxのVoodoo3 3500 TVを紹介済みだが、現在発売されている英語版では、日本語Windows 98上ではMPEG-2リアルタイムキャプチャ機能やTVチューナー機能など、ビデオ関連のほとんどの機能をサポートしていない。これは、添付されている英語版のドライバやソフトが日本語Windows 98上で正常に機能しないからである。

 ALL-IN-WONDER 128は日本語版も発売されているが、今回使用したのが英語版のバルク品ということもあり同様の問題が考えられる。しかし、実際に使用してみたところ、ビデオ出力機能はもとより、ビデオキャプチャ機能、TVチューナー機能など全てが正常に利用可能であった。付属のドライバやユーティリティソフトには、英語版のバルク品であるにもかかわらず、表示メッセージなど全て日本語化が完了した日本語版が含まれており、インストール時には自動的に日本語のドライバやユーティリティソフトがインストールされるのである。

ドライバやツール類だけでなく、インストーラやヘルプファイルなども全て日本語化されている 日本でのテレビの受信も、付属のドライバが対応しているため全く問題ない ATIマルチメディアセンターという付属ツールを利用すれば、TVの受信以外に、ビデオキャプチャ、ビデオCD/DVDビデオの再生、AVIムービーの編集、音楽CDの再生などが行なえる


●ビデオ関連機能のほとんどを網羅、テレビの予約録画機能も搭載

 ALL-IN-WONDER 128の特徴は、なんといっても高品質なビデオ出力機能や、静止画・動画のビデオキャプチャ機能、TVチューナー機能などのビデオ関連機能に集約される。そこで、それらの機能を確認しておこう。

 ビデオ出力機能は、これまでのATI製ビデオカード同様、ATI製の高性能ビデオエンコーダ「ImpacTV2」を利用して実現されている。ImpacTV2経由でのビデオ出力は高い画質が実現されていることと、TV上での表示位置や表示サイズなどをコントロールできる点などで、これまでも非常に高い評価を得ている。もちろん、ALL-IN-WONDER 128のビデオ出力画質も良好だ。

 また、ALL-IN-WONDER 128のビデオキャプチャ機能は、ソフトウェアによるMPEG-2のリアルタイムエンコードに対応している点が最も大きな特徴である(対応しているキャプチャフォーマットは、MPEG-2に加え、MPEG-1、ALL-IN-WONDER PROでサポートされていたATI VCR1とATI VCR2)。最高品質(640×480ドット、44.1KHz/16bit/ステレオサウンド)でのMPEG-2リアルタイムキャプチャを実現するためには、Pentium III 500MHz以上というかなりハイスペックのCPUが必要になるものの、今回試してみた限り、MPEG-2のフルフレーム・リアルタイムキャプチャも十分に可能であった。もちろん、キャプチャ時の画質や音質はユーザーが自由に設定できるため、品質を落とせば、より低いCPUパワーでもMPEG-2形式でのビデオキャプチャが可能となるはずだ。

 TVチューナー機能の利用も全く問題ない。利用開始時にチューナー初期化メニューから日本用の設定を選択すれば、UHF/VHF/CATV全チャンネルが自動的にサーチされ登録される。表示される映像の画質はウィンドウ表示時、全画面表示時ともに十分満足できる。
 そして、注目の機能が、ビデオキャプチャ機能とTVチューナー機能双方を利用した、テレビの予約録画機能だ。

 TVを見るときに起動する「ATI TV プレーヤ」は、TVを見るだけでなく、ビデオキャプチャ機能も統合されたツール(外部ビデオ入力端子から入力された映像のキャプチャもATI TV プレーヤを利用して行なえる)であるが、設定メニューからキャプチャスケジュールを登録できるようになっており、そこで日時とチャンネルを指定しておけば、指定した日時にATI TV プレーヤーが自動的に起動して、指定したチャンネルのキャプチャが開始されるというわけだ。

 先頃発表されたソニー VAIO Rシリーズや日立FLORA Priusの最新モデルでは、テレビ放送の予約録画機能が搭載されているが、ALL-IN-WONDER 128の機能もそれと同様と考えていいだろう。もちろんこのテレビ予約録画機能も全く問題なく利用可能であった。ちなみに、この機能を利用して、指定した時間に音楽CDやビデオCDなどを自動再生させたりすることもできる。ただし、常にパソコンの電源が入った状態でなければならないのは大きな欠点といえる。

 ただ、気になる点が1つだけあった。それは、キャプチャしたムービーファイルを再生させると、それ以降Windowsを再起動しない限り、ATI TV プレーヤを起動しようとしてもエラーメッセージが表示されて正常に起動しなくなるという点だ。これは、ビデオ関連のドライバに問題があるためだと思われる。この点に関しては早急な改善を期待したい。

ビデオキャプチャはMPEG-2、MPEG-1などいくつかのフォーマットをサポートし、画質などを細かく指定できる ビデオ予約録画は、1つの番組はもちろんのこと、週単位、月単位、年単位での予約などもできる テレビのチューナー設定は、国を選べば自動的に有効なチャンネルがスキャンされる
【表1】
キャプチャフォーマット画面サイズ(ドット)MB/分
Raw(uncompressed)YUV9320×240151
Raw(uncompressed)YUV9640×480595
ATI VCR 1.0320×24085
ATI VCR 1.0640×480333
ATI VCR 2.0320×24033
ATI VCR 2.0640×48099
MPEG-1 with MPEG layer 2 audio352×240、I frame only25
MPEG-1 with MPEG layer 2 audio352×240、IBP frames13
MPEG-2 with MPEG layer 2 audio640×480、I frame only46
MPEG-2 with MPEG layer 2 audio640×480、IBP frames25


●2D/3D描画はXPERT 128相当

 では、いつものビデオカードのパフォーマンス測定時と同様に、2Dと3Dの描画パフォーマンスを測定してみよう。ただし、ALL-IN-WONDER 128はその性質を考えると3D中心のテストはあまり意味がないように思うので、いつも行なっているゲームソフトを利用したベンチマークテストは省略し、Ziff-Davis,IncのWinBench 99 Version 1.1に含まれるBusiness Graphics WinMark99とHigh-End Graphics WinMark99を利用した2D描画パフォーマンスのテストと、FutureMarkの3DMark99 Maxを利用したDirect3D環境での総合的な3D描画パフォーマンスのみを測定した。もちろんテスト環境や条件は従来通りである。

【WinBench 99 Version 1.1 Graphics WinMark】
Business
Graphics
WinMark 99/16
High-End
Graphics
WinMark 99/16
Business
Graphics
WinMark 99/32
High-End
Graphics
WinMark 99/32
ALL-IN-WONDER
128
169 516 156 514
Millennium
G400 MAX
194 550 190 541
VooDoo3
3500TV
180 520 177 511
Voodoo3
3000
182 528 179 517
Millennium
G400
192 556 189 548
Viper V770
Ultra
186 522 182 518

【3DMark99 Max】
800x600/16800x600/321,024x768/161,024x768/32
ALL-IN-WONDER
128
4,126 3,309 2,789 2,136
Millennium
G400MAX
5,002 4,975 4,873 4,487
VooDoo3
3500TV
4,940 d/s 4,789 d/s
Millennium
G400
5,062 4,971 4,820 4,107
Voodoo3
3000
5,002 d/s 4,631 d/s
Viper V770
Ultra
4,930 4,856 4,567 3,881
SPECTRA
5400
4,893 4,454 4,125 3,302
※d/sはそのモードをサポートしていない事を意味しています

1,280x1,024/161,280x1,024/32
ALL-IN-WONDER
128
1,804 d/s
Millennium
G400MAX
4,063 3,063
VooDoo3
3500TV
4,762 d/s
Millennium
G400
3,504 2,582
Voodoo3
3000
3,314 d/s
Viper V770
Ultra
3,009 2,089
SPECTRA
5400
2,568 1,589
※d/sはそのモードをサポートしていない事を意味しています

 結果を見ると、2D描画パフォーマンスは他の最新ビデオチップと比較しても全く遜色がない。もともと2D描画パフォーマンスは1年ほど前からほぼ飽和状態にあるため、この結果にも納得できる。
 3D描画パフォーマンスは、RAGE 128 GL自体既に世代が古くなりつつあるビデオチップであるため、他の最新ビデオチップと比較するとさすがに見劣りする。特に高解像度でのパフォーマンスの落ち込みが激しい。これは、ビデオチップのパフォーマンスだけでなく、ビデオメモリの搭載量が16MBと少ないことも原因と考えられる。ただ、800×600ドット程度の解像度であれば、3Dゲームなどを楽しむために十分なパフォーマンスが発揮できるといっていいだろう。

●高度なビデオ関連機能は魅力

 今回取り上げたALL-IN-WONDER 128のバルク品は、秋葉原で25,800円程度で販売されている(アメリカでのリテール価格は199ドル)。この製品を純粋なビデオカードとして考えると高いと感じるかもしれないが、肝心の2D/3Dの描画パフォーマンスは十分納得でき、ビデオキャプチャ機能やTVチューナー機能、テレビ予約録画機能など、様々なビデオ関連機能が搭載されていることを考えると非常にお買い得といっていいだろう。ビデオメモリ搭載量が16MBとやや少なく増設もできない点はやや残念だが、この価格でMPEG-2のフルフレーム・リアルタイムキャプチャができるという点はかなり魅力で、これだけでも十分に価値がある。

 日本では、こういった複合ビデオカードはあまり売れないようだが、ビデオキャプチャ機能やテレビ表示機能を搭載するデスクトップマシンが多数販売されていることからも、需要がないわけではないと思われる。これまであまり売れなかったのは、ビデオカードとしての性能が劣っているものが多かったからで、機能がしっかりとしていれば十分成功する可能性を秘めているはずだ。ATIテクノロジーズジャパンには、ALL-IN-WONDER 128の日本での正式販売を早急に検討していただくようお願いしたい。少なくとも、競合する製品が事実上存在しない(Voodoo3 3500 TVは日本語環境でMPEG-2キャプチャ機能やTVチューナー機能をサポートしていない)今が大きなチャンスのはずだ。また、その時にはハイエンドモデルであるALL-IN-WONDER 128 32MBの販売を中心にしていただきたい。

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[Text by 平澤寿康@ユービック・コンピューティング]


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