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後藤貴子の データで読む米国パソコン事情

第26回:「Dreamcastは米国で売れるか」ほか


Dreamcastは米国で売れるか

●プレステやNintendo 64を上回るスピードで50万台達成

 湯川元専務は久々に笑顔を取り戻したに違いない。
 米国の調査会社NPD Groupが、Sega Dreamcast(以下ドリキャス)が9月9日の米国での発売後3日間で推定1億1100万ドル(1ドル110円で換算して約122億円)を売り上げたと発表した。Sega of Americaも発売後2週間でドリキャスが50万台を突破したと発表。同社によれば、'95年にSony PlayStation(以下プレステ)は同じ50万台突破に4カ月、'96年にNintendo 64(以下64)は2カ月かかった。これで見る限り、ドリキャスの出だしは上々だ。

●ゲームのパイ自体が拡大

 だがNPDによれば、米国ではすでにプレステ、64のインストールベースは3,000万台以上。その大海の中に投げ込まれる50万台はまだいかにも小さく、これだけで今後の成功を予想することは難しい。

 他のゲーム機に比べた50万台突破の早さにしても、それは単に、発売時期の違いのせいかも知れない。ゲームそのものに対する人気が年々上がっており、プレステの発売された'95年より'99年の今のほうが、人々のゲームへの財布のひもがゆるくなっているからだ。

 その証拠にNPDによれば、'99年のビデオゲーム全体の売り上げは、記録的だった'98年を超える70億ドル以上。また、ドリキャスが発売された週も、64とプレステの売り上げ台数はわずか8%落ちただけ。ほかのゲーム機を食うのではなくその週はドリキャスのぶん売り上げが増えた形だったわけだ。

 ただ、これは、プレステもやるしドリキャスもやる、という人が増えつつあることも示している。食い合いにならずパイが大きくなれば、64やプレステの台数に関係なく、ドリキャスも成功するかも知れない。

●プレステ2発売までのタイムラグが勝負か

 もっとも、今のところはドリキャスを買うのはヘビーゲーマーで、プレステより層が狭いと言われている。売れ行きという点では、これはネガティブ要素だ。

 だが、その要素はライバルのSonyがカバーしてくれるかも知れない。米国ではプレステ2が来年のクリスマス商戦になるまで出ないので、このタイムラグがドリキャスにとっては有利に働くかも知れないからだ。ヘビーゲーマーなら、いち早く、現時点で最高性能のゲームをやっていたいと思うだろう。

□「SEGA DREAMCAST TOPS HALF MILLION MARK IN UNITS SOLD, BESTS RECORDS SET BY SONY, NINTENDO, APPLE AND DVD」
http://www.sega.com/corporate/press_releases/99sept/press_breaksrecords.shtml
□「Sega Department Sales Hit $111 Million In First Three Days, Reports NPD」
http://www.npd.com/corp/press/press_9909200.htm


Amazon.comがクリスマスに強いわけ

●歳末ショッピングにインターネットは大もて、でもまだ…

 米国では、昨年のクリスマスは「e-Christmas」元年だった。2年目の今年はその規模が2倍になるという。

 米調査会社Jupiter Communicationsによれば昨年31億ドルだった11~12月のオンラインショッピングの売り上げは今年は2倍の60億ドルになる。また、'99年に初めてオンラインショッピングをする人は1,000万人と見られるが、その多くはこのシーズンに集中するという。別の調査会社Greenfield Onlineも、インターネットを使う消費者の70%がホリデーショッピングをインターネットでしようと考えているという。

 しかしこの額や人口は、米国のクリスマスショッピングの規模全体から見ると、まだわずかだ。インターネット世帯は米世帯全体のざっと40%と言われているから、その70%がオンラインショッピングをするなら、全体の28%。10人に3人だ。また、その人たちもクリスマスの買い物全部をオンラインでするわけではない。今年初めのZona Researchの調査では、オンラインショッピングをした人は昨年のクリスマスの買い物全体の4分の1をインターネットで済ませたとしていた。今年はその割合を増やすとしても、全部の買い物をインターネットでするわけではないだろう。ということは、まだ商店街のにぎわいを脅かすほどには至っていないわけだ。

 ただ、今年の規模が昨年の倍で、もし来年も今年の倍になっていくなら、あと数年で、オンラインでの買い物のほうが、クリスマスショッピングの中心になるかも知れない。

●ディスティネーションでは本やCDのサイトが強い

 ところでGreenfield Onlineによれば、クリスマスシーズンのオンラインショッピングのディスティネーションとして人々が予定しているサイト上位は、1位Amazon.com(行く予定の人68%)、2位CDNow.com(同45%)、3位eToys.com(43%)、4位ToysRUs.com(28%)というところ。

 おもちゃのeToysなどよりAmazonやCDNowが上位に来るのは、米国では本やCDがプレゼントの定番だからだ。逆にいえばクリスマス前に客がどっと寄せる、この強みがあるからこそ、AmazonやCDNowは安定した商売をしていられるとも言える。

 映画『恋に落ちて』ではロバート・デニーロとメリル・ストリープが配偶者に写真集を贈ろうと書店に行き、混み合う店内でぶつかる。ぶつかる相手が映画のようにすてきなら文句はないが、普通はそうでないから、みなAmazon.comに走るわけだ。子供へのプレゼント以外はハムや海苔といったお歳暮しか買う習慣がなく、それも不況ですたれつつある日本では、オンラインショップの経営は米国より厳しいかも知れない。

□「Jupiter Communications: 1999 Holiday Online Sales Will Double To $6 Billion」
http://www.jup.com/jupiter/press/releases/1999/0921.html
□「Most Online Holiday Gift Buying Will Be at E-Stores, Not Real Stores」
http://www.greenfieldcentral.com/default2.htm


オンライン株取引はまだヘビー投資家のもの?

 米国の男性たちは新しいギャンブルを見つけた。それは、オンライントレーディング。Zona Researchの調査によれば、オンライントレーダーは25~54歳の男性が75%を占め、24%は株投資で年3万5千ドル未満しか動かさないが、16%は10万ドル以上を動かすという。
 つまり、オンライントレーディングは、先鋭的に大金を突っ込むトレーダーが引っ張っている、男のマネーゲームの世界なのだ。前回、米国でこの新しい株取引がブームと書いたが、それはまだ「隣のおばさんもしている」というようなブームではない。

 現に、オンラインユーザーの54%はオンラインブローカーの名をひとつも知らないというし、前回取り上げたJupiter Communicationsの調査では'98年のオンライントレーディング体験世帯は430万世帯だったから、全米世帯(9,000万~1億世帯と言われる)の5%にも満たない。同社の予測どおりこれが4年後に5倍に増えて、ようやく社会的な認知が浸透するという感じだろう。

□「Zona Research Announces Release of Online Brokerage Repor」
http://www.zonaresearch.com/info/press/99-sep21.htm

[Text by 後藤貴子]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp