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●6月の米パソコン販売台数が大幅アップ
「無料」という言葉はどのくらいのインパクトを持つものなのか。米国では条件付きで実質無料のパソコン(フリーPC)が一大旋風を起こしているが、そのブームが数字の上でも実証された。
PC Dataによると、米国では6月のパソコンの小売ベースによる売り上げ台数(直販を除く)が昨年同期より35.4%もアップ。特に、6月の最終週の売り上げは前週より倍増している。この週は大手企業からフリーPCが急に出始めた時で、フリーPCが売り上げ台数を押し上げたのは明らかだという。
フリーPCは2月に登場し、初めは無名新興企業が提供していた。しかし、6月末になると、大手インターネットプロバイダーやパソコンメーカー、全国規模のコンピュータショップなども参入。プロバイダーへの長期加入などを条件に、パソコンを無料で提供したり、最低価格のパソコンと同額のリベートの払い戻しを始めている。
これだけのインパクトがあるフリーPCは、もうキワモノでは終わらず、パソコンの販売形態として定着しそうだ。初期の新興企業の中には注文をさばききれず、撤退したり苦情に追われているところもあるが、プレーヤーが大手に代わればその問題もなくなる。また、大手が参入したのも、メーカーもショップも家庭向けパソコンの低価格化でハードウェアでは儲けられなくなり、サービスという別の儲け口を求めたという理由がある。ごく近いうちに、家庭向けパソコンは無料というのが常識となる可能性さえある。
●Appleが売り上げで3位に
だが、ユーザーは価格だけで動くというわけでもなさそうだ。
PC Dataによれば、Wintelパソコンより価格が平均500ドルも高いApple Computerが健闘を見せた。小売と直販の売り上げを合わせたランキングで、Appleは1位のCompaq、2位のHewlett-Packardに次いで3位につけた。5色のiMacは6月に最も売れた機種のひとつという。フリーPC時代にも個性的な高級機は残るということなのかもしれない。
ただし、iMacをフリーPCとして提供するという企業も現れている。フリーPC同士の競争が激化すれば、人気のiMacで釣るという作戦も当然あるわけで、これはiMacの価格にも影響を与えていくかも知れない。
□「June PC Sales Ride "Free" Wave To Strongest Performance of the Year」
http://www.pcdataonline.com/
インターネットビジネスの世界では、時間の流れが速いだけでなくカネの流れもどんどん加速度を増しているらしい。
米調査会社Webmergers.comの調べによれば、今年上半期に行なわれたWebサイト関連企業の買収・合併は169件、総額は334億ドルに達した。これは昨年上半期の22倍という。ただし、昨年はYahoo!のようなポータル企業による買収が盛んだったが、今年はそれは減り、通信企業やメディアによる買収が盛んという変化が起きているという。
フリーPCの流れにも見られるように、インターネットサービスは重要性を増すばかり。しかも、インターネット上でユニークなサービスや品物を提供する小さな企業が注目される時代はもう終わり、オフラインの世界と同様に資本力のある少数の大企業がマスを相手に商売する時代になっている。今後もWeb企業のシャッフルは続きそうだ。
●過去18カ月の大型買収企業(出典:Webmergers.com)
Yahoo!:買収件数5件、総額105億ドル
At Home Corp.(プロバイダー):1件、67億ドル
Healtheon Corp.(オンラインヘルスケアサービス):3件、62億ドル
AOL:10件、44億ドル
□「Web M&A Report: 1st Half 1999」
http://www.webmergers.com/overview.htm
●日本は最も女性ネット起業家が増える国
“2004年、女性インターネット起業家の会が都内のホテルで華やかに開かれた。インターネットユーザーは男女比が逆転、今ではネットで儲けたいなら女性を狙えが常識。そんな中で女性起業家の会の会員も増える一方。就職難から自分でインターネットビジネスを始め、大成功を収めた例も多い……”
米国の調査会社Computer Economicsの予測どおりとすれば、5年後には日本の女性にはこんなバラ色の未来が待っているかもしれない。同社は、今後5年間に「女性ネット起業家が最も台頭しやすい国」の1位に日本を挙げたのだ。日本が、2位の米国、3位のカナダらを抑えたのは、インターネット利用の伸び、女性の教育レベル、インターネット関連の教育熱、起業状況などをもとに予測した結果という。
●ビジネスを大きくするには問題が
しかし日本に住む身からすると、あまり信じられないというのが正直なところだ。起業がラクか、女性がビジネスしやすいかというと、日本は全然逆に思われるからだ。
もっともインターネットビジネスだったら、元手をそれほどかけなくてもすむため、他のビジネスに比べ起業しやすいのは確かだ。また女性のインターネットユーザー、それもコミュニケーションやショッピングなどでアクティブなユーザーが激増しているのも確かで、それは女性がサイトを起こす上で追い風になるだろう。
だがスモールビジネスとして起業しても、その後、大々的に展開しようとすれば、やはりベンチャーキャピタリストなどの助けが必要になる。起業家が女性であろうとなかろうと、日本の現状ではそれは難しいことのように思われる。
□「Most Women Netpreneurs Will Emerge from Japan 」
http://www.computereconomics.com/new4/pr/pr990728.html
[Text by 後藤貴子]