スタパ齋藤

店頭で見て、むむっ!! シャープ Mebius Style



■ 店頭で見て、むむっ!!

シャープ Mebius Style
オープンプライス。スマートなデザインにきれいな液晶で、店頭でも目を引くマシン。昨年からシャープはオリジナルのモバイル用バッグやカラーバリエーションを用意したり、すべての製品でデザイン面に力を入れている。もっとも本体そのものを大胆にデザインした製品はこれが初めてといってよいだろう。市場の反応が楽しみな製品だ
 ちょいと前、コンピュータ系雑誌の編集者の何人かに、シャープの新型液晶デスク トップマシンの発表会がスゴかったって話を聞いた。なんでも、記者席全部に新型のマシンが用意されていたのだそうだ。まるで、「この新型パソコンを触ってみれ~!!」という感じで、全席に新型パソコンが置かれていたのだそうだ。発表会場中、メーカー側の気合で満たされていたそうな。

 普通、メーカーの記者発表会っつーのは、そこまで話題になるほどは、気合が入っていない。いや、メーカー側にしてみれば気合を入れているのだと思うが、まあ、新製品お披露目会という感じで、「どうぞ見てくださいな」という雰囲気なのが普通だ。が、件のシャープの発表会は、「見ろ見ろ見ろ見ろ~」という、なんか熱血な感じだったという。ともあれ、その発表会でお披露目されたのが、今回紹介するMebius Styleだ。

 Mebius Styleについては、その名前だけは聞いていたが、発表会にも行かなかったというかいつも発表会には行かない一般人的な俺なので、全然見たことはなかった。どっちかと言えば、その「あの発表会は気合入ってたっス」みたいなウワサばかりが印象的で、肝心のマシンが何なのかどれなのか、全然知らない俺であった。

 でまあ、それとは別に、ある日LAOXに行った時。なにげなく売場を歩いていると、かなり目を引くマシンを発見。思わず口を開いて「お、カッチョエエ」みたいなことを口走りつつ、そのマシンの所へ速攻移動。そしたらソレが、件のMebius Styleだったのである。

 そしてしばらくいじってみた。あっ、このスタイルはすげえ斬新である。うっ、テレビチューナー内蔵の上しかもbitcastもADAMSも文字放送も見られるのか!! くわッ!!
 何だコレは畳めるじゃないかこのデスクトップは!! 畳みてぇ!! 今すぐココでコイツを畳みてぇ!! よっしゃここはひとつ……ダメだ、LAOXの店員さんが俺の強引なマシンいじりにより最強に引っ張られているゆえもう少しで外れそうすなわち今にも鳴り出しそうな盗難防止の警報装置のヘンなヒモの緊張度合いを気にしている!! 畳めん!! これ以上畳むと警備員が速攻でやって来た挙げ句周囲のパソコンマニアが集まってきて「あっスタパがパソコン盗もうとしている~!!」と騒ぐのだ!! たっ、畳めん!!

 ていうか発売後にマシンのギミック知って驚いてんじゃねえよそれでもパソコン業界の人かよ>俺=いや一般人のつもり。なお、Mebius Styleの詳細については、シャープのサイトを参照していただきたい。



■ 畳んでみたいんだよ俺はな!!

 Mebius Styleを畳みたかったのだが畳めなかった俺は、どうにかしてあのLAOXのMebius Styleを畳む方法はないものかと、いろいろな方法を考えた。業者のフリをしてLAOXに侵入し、勝手にどんどんMebius Style搬出、そしてこっそり畳む……ダメだコレは単なる万引きであって窃盗だ。じゃあLAOXの店員のフリをしてあのヘンな警報装置のヒモをどうにかして店頭で畳む……ダメだ俺の顔は先ほど無理矢理畳もうとした時点で割れている。ならばMebiusStyleを購入して畳む……かーっ、畳みたいがために三十ウン万円は出せん!! それならMebius Styleを買ってから1時間以内とかに畳んで速攻で「間違って買っちゃったんで返品さしてください」とかゴネて……これもダメだ!! 「どのマシンと間違えたんですか、お取り替えいたします」などと突っ込まれたらダメだからだ!!

 などととてつもなくくだらない考えを巡らせていたら、シャープのウェブサイトを作っているナイスガイの人からメールが。スタパさんはMebius Styleとか興味ないですか、という内容。

 あるよあるんだありますありまくり!! アレを畳みたいんだよ俺は!! 畳ませてくれよ俺に!! 畳みさえすれば思い残すことはないんだよアニキ!! Mebius Styleを畳んでみたいんだよ俺はな!! というわけで、メーカーさんにお願いしてMebius Styleをお借りした。

 間もなく、宅配便でMebius Styleが届けられ、さあ畳むぜ畳むぜ畳んじゃうヨ俺は!! という勢いで、Mebius Styleが入った箱をバリバリ開封し、さあ畳むぜと意気込みMebius Style本体を掴んだ俺が見たものは……あらかじめ畳まれていたMebius Style本体だった。

 何ぃッ!! 誰が畳ん……さてはシャープの奴らだな!! 許せんシャープ!! 畳みやがって!! 畳むのはこの俺だッ!! ていうかノートパソコンが液晶を閉じた状態で梱包されるように、Mebius Styleも最もコンパクトになる状態すなわち畳んだ状態で梱包されるのであった、なんてこたぁ書かなくても皆さんわかりますなすいません悔い改めます。

 ともあれ、このマシンのこのギミック、恐れ入った。設置時に本体前下部にはめる、安定性を増すための足のようなパーツ(使用しなくてもいい)を除けば、完璧に畳める。さっきまで机上におっ立ってた本体、手前に置かれていたキーボード、これらがフタを閉じた超薄型ワープロのようなカタチに合体・収納されてしまうのだ。ちなみに、ケーブル類は収納できない。また、折り畳んでコンパクトな状態(収納・運搬時のカタチ)にするのはヒジョーに簡単で、30秒くらいあればできる感じ。

 まあ、単に畳めるだけと言えばそれまでだが、畳めるというコトは実際いろんなメリットがある。例えば、本棚に立てた状態で収納できるとか、バッグに入れて持ち運べるとか、あまりやりそうにないけど実際はけっこうやる機会があったりする運用方法を適用できるのだ。なお、やっていいのか悪いのか、ちょっとしたワザを発見した。Mebius Styleを机上に設置した状態で、キーボードだけを裏返して液晶上部に取り付けると、なんだかヤケにスッキリしたキーボード収納状態になるのだ。まあ、この状態だと液晶の下半分だけが顔を出した状態で、ややマヌケだが、でも置き場に困りがちなキーボードをスッキリと収納できて便利だ。



■ ギミックもいいが、内容もなかなか

 俺思うに、Mebius Styleは液晶デスクトップの完成されたカタチのひとつであると同時に、ノートパソコンの未来形でもある、と。ていうかたぶん、Mebius Styleはノートパソコンの発展形として出来上がったものだと思う。つまり、もはやノートマシンが持つ性能やインターフェイスでOK→じゃあコレをもっとスッキリと机上に置こう→キーボード分離、みたいな雰囲気じゃないかと。

 まあそういったコトはどうでもいいのだが、PCカードスロットやUSBポートや赤外線通信ポートを持っているけどPCIカードなどを挿せる拡張性はないという、まったくノートマシン然としているMebius Styleには、これまでの液晶デスクトップにない多々のメリットが生まれている。折り畳めてコンパクトに収納できることもそうだが、何よりも驚くほど省スペースで机上に置けるということ。それから意外なほどの静粛性。加えて、大画面ながらもユーザーを威圧しない存在感。これらのメリットは、俺がノートパソコンに求めるそれをちょいと上回っている。かなり欲しい。買うか……。

 モノとしてカタチとして、俺はMebius Styleをかなり気に入ってしまったのだが、もうひとつ気に入った点がある。それは、テレビっつーコトをかなりマジメに考えて作っている点。というのはまず、このマシン、テレビチューナーを内蔵しているので、そのままテレビとして使える。ただし、コンピュータとしての主電源を入れていないとテレビとして動かない。コンピュータとテレビと別々に動作して欲しい気も少々したのだが、よくよくいじくってみると、この些細な不満は解消した。それは、このマシンが、bitcastやADAMSや文字放送にしっかり対応しているということ。詳しくはシャープのサイトを読んでいただきたいのだが、要するに、画面上にテレビ放送を映し出しながら、同時に伝搬されているデータ放送をデコードして楽しむことができる。具体的には、番組に関係のある情報をウェブブラウザで見られたり、株式から天気から時事から膨大な文字放送の情報を閲覧できたりする。こういったデータ放送視聴は、コンピュータとテレビが組み合わさってこその機能。テレビが見られるにとどまらず、こういったデータ放送をしっかり受信できるようにしたあたりに、Mebius Styleのテレビへのマジメさが伺える。

 その他にも、例えばテレビ放送の一部をデジタル録画できるとか、キーボード脇のボタンを一発押せばウェブブラウザやメーラーなどのソフトが立ち上がるとか、家族のそれぞれで使えるような工夫など、おもしろい点はいくつもあるのだが、俺が一番ソソられたのは、ノートパソコンから進化したようなスタイルであることと、テレビとコンピュータがうまく融合している点、このふたつだ。



■ 元気いいかも、パソコンメーカー

 でもアレだ、こういうカタチのコンピュータって、恐らく想像力たくましいコンピュータ野郎(特にノート派)なら、アイデアとして既に抱いていたと思う。例えばVAIO 505のような超薄型マシンを見て、どうせ液晶デスクトップ作るならこういうノートマシンのパーツを使ってもっと薄いの作ればいいのに、とか、ノートパソコンを改造してどうにか壁掛けパソコンを作れやしまいか、とか、ノートパソコンのパーツをうまく使えば液晶の裏にマシンの大部分を搭載した液晶ディスプレイ型パソコンが作れるかも、など。たぶん多くの人が思ったり考えたりしていたことだと思う。が、ソレを実際に作ってしまうのが、メーカーの大したモンである点。我々がうっすらと希望するぼやけたカタチを、ガツンと一発、カタチにして世に送り出す。

 思うのは、ここ数年、メーカーの元気のよさが戻ってきたような感じがすること。VAIO 505とかでソニーが参入する前あたりのコンピュータ業界は、なーんかこう、覇気がなかったというか、妙な惰性を感じたというか、シャキッとしてなかったような感じがする。が、このところ、どんどん世の中におもしろいコンピュータとか周辺機器とかが出てきて、非常にイイ感じだ。フツーでフツーでしょうがねえ製品ばかり作っていた、なんかどんよりした一時期とはちょっと違う感じだ。新しく出てくるマシンがおもしろい。

 そう思うのは、やはりMebius Styleのような、あるいはLocatioとか、それからマイクロドライブとかPCカードclik!のような、斬新でユニークな製品がどんどん出てくるから。ユーザーが「やればできるんだろうなぁ」と思うそのおぼろげなアイデアを、メーカーがズガンとカタチにして世に送り出し、勝負しようとしている。俺はこういう勢いが好きだ。非常に好きだ。こういう勢いに対して、ぜひサイフのヒモを最大限に弛緩させて対応していきたい!! この調子でもっとコンピュータ業界がイッちゃうことを期待したい!! でもMebius Style買うか買うまいかは現在考え中!! なぜなら魚群探知機を衝動買いしてしまってお金がないから考え中!! そうだ俺は魚群を探知して大漁なんだよアニキ!! ってことで考え中!!

□MebiusStyleニュースリリース(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/990512.html
□Mebius Style製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/pcpn15/text/index.html

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp