第7回:ノートPC、この夏の動向を読む |
っと、だんだんウィークエンドGame Watch化してきたが、仕事をしていない時間のほとんどをゲームに費やしたおかげで、ほとんど外出しないというモバイラーにあるまじき一週間をすごしてしまった。6月から始まるPCの新機種攻勢が始まるというのにだ。新機種攻勢はパナソニックの新Let's NOTE( http://watch.impress.co.jp/docs/article/990524/pana.htm )やソニーの謎な機種VAIO XR( http://watch.impress.co.jp/docs/article/990524/vaio.htm )で始まっているが、全機種がそろってくるのはもう少し先の話になる。
夏のボーナスのタイミングでノートPCを買い換えようと考えている読者も少なくないと思う。そこで今回はいくつかの情報を整理しながら、今年夏の新ノートPCを取り巻く状況を整理してみたい。
■ 難しいタイミングで発表せざるを得ない夏製品
ソニー VAIOノートXR まだ仕様も価格も明らかにされていない、ソニーの新筐体ノート。モバイルにはちょっと大きいようだが…… |
もっとも、絶対的なパフォーマンス不足に悩まされていた昔とは異なり、Celeron/300MHzがローエンドになりつつある現在のノートPCの状況を考えると、わずかなクロックアップが性能に与える影響はそれほど大きなものではない。とりあえず、マイナーチェンジはそれほど気にしなくていいのではないだろうか。むしろ、あまり変化がないならば旧型機が安くなったところを見計らって購入するという買い方もアリだろう。
そこで気になってくるのは、やはり比較的大きなモデルチェンジの時期だが、たいていは夏と冬のボーナス商戦を前に行なわれるのが通例だ。メーカーはこの時期に合わせて、意欲的なモデルを発表しようとするわけだが、今年の夏に限っては少々タイミングが悪い。インテルのプロセッサ出荷計画の狭間に新機種を出さなければならない上、Windows 98 Second Editionの出荷タイミングが夏の新モデルには間に合わないからだ。OSは入れ替えられるにしても、プロセッサに関しては入れ替えるわけにはいかないだけに慎重に選びたい。
インテルのモバイル向けプロセッサは、この6月に0.18ミクロンプロセスに移行する予定だが、ここで出荷されるのはあくまでもPentium IIアーキテクチャを採用したもの。劇的に消費電力が下がることは容易に想像できるし、モバイラーにとっても気になるプロセッサとなることは間違いないだろうが、サブノートPCに搭載できるほど安価なプロセッサではないことも確実だ。
実は今年春のIntel Developers Forumでインテルのモバイル担当副社長とランチテーブルを囲む機会があったのだが、彼に「低消費電力を活かせる軽量ノートPCにも搭載できる低価格な0.18ミクロン採用のプロセッサは考えていないのか?」と聞いたところ、「軽量ノートPCは重要な分野だと考えているし、年内に出荷できると思う」との回答を得た。
ただし、インテルは0.18ミクロンプロセスを年内までに、Celeronに採用する予定はない。とすればモバイルPentium IIIのブランドで登場することが予想される。また、0.18ミクロンのモバイルPentium IIが400MHzから始まることを考慮すると、より高速なモバイルPentium IIIをある程度販売したあと、もしくは同時にローエンド製品として400MHz台の動作クロックを持つモバイルPentium IIIを位置付けるのではないだろうか?(300MHz台で動作するバージョンを作る可能性も考えられなくはないが)
ここではいろいろな推論が成り立つので、あまり深くは突っ込むつもりはない。ただいずれにしろ、バッテリー駆動時間と軽さ(バッテリー容量に大きく左右される)のバランスを重視したいのであればしばらくは静観するほうがいいかもしれない。
■ 不要なものにはこだわるな
Let's note ace/A77 オープンプライスだが、店頭予想価格は28万円程度。Let's noteの新モデルは100Base-TX対応になり、56kbpsモデムは以前から内蔵している。一般的な用途なら、PCカードスロットは、デジカメのデータ読み込みくらいしか使わないかも? |
最近、ノートPCで3Dのゲームは動かないのか? といった質問をインターネット上で見かけることが多い(比較的ちゃんとした3Dグラフィック機能はATI製のチップ以外いまのところ期待できない)し、ノートPCでビデオ編集やMP3などの圧縮音楽を作成/再生したりと、フルサイズのノートPCにはデスクトップPCと変わらない機能が求められている。
もちろん、こうした方向性を否定するつもりはないが、ノートPCをあくまでモバイルの道具として使っているユーザーは、それとはまったく逆に不要な要素にこだわらない気持ちが大切だと思う。
たとえば薄さ。さすがにいまさら4センチ近い厚みとなれば話は別だが、20ミリと25ミリに、どれほど実用上の差があるだろうか。全体の重さで考えるべきだろう。もちろん、筐体底面積との関係もある。もちろん、カッコイイという要素は重要ではあるが、薄ければカッコイイというものでもない。
また、本当に持ち歩きにこだわるならば、キーボード操作性に関してもある程度は我慢すべきかもしれない。僕自身は仕事の関係上、キーボードにこだわらざるを得ないのだが、軽くなるなら小さくてもかまわない、という気持ちの切り替えも必要だろう。キーボードの操作性と重量、サイズを量りにかけて、どちらが重要なのかはユーザーの使い方による。
PCカードスロットに関しても、最近はあるライター仲間と「もうPCカードって不要かもしれないね」という話をしたぐらいだ。もう高速化の望みがないモデムは内蔵でかまわないし、LANも内蔵されてしまえば、問題はCD-ROMドライブとメモリカード、それに携帯電話/PHSとの接続ぐらいのものだ。これはUSBや専用ポートで解決できるだろうし、来年以降ならばBlueToothという手もある。同様に赤外線ポートも削除していい。なくてはならないと思うのは、従来と同じ使い方をしたいからであって、それらをいったんリセットする気概があれば、決して必要不可欠なものではない。
さすがに今現在、PCカードスロットがまったくなくなってしまうとメモリカードの面で困ってしまうが、PCカードの数にはあまりこだわる必要はないと思う。そうやってPCカードの依存度を減らしていけば、PCカードのスペースで制限を受けない新しいデザインのサブノートPCも生まれてくるだろう。サブノートPCの本来の目的を考えれば、あまり過去に拘りつづけることは、マイナスにこそなれ、プラスになることはないと思う。
[Text by 本田雅一]