第6回:ハイテクも忘れ物があれば役立たず
出張に持っていくもの



 「携帯プリンタってどれがいいんでしょうか?」こんなメールを読者の方からいただいた。多くの人はプリンタを持ち歩くなんてナンセンスだと考えているようだが、必要な人にとっては必要なものである。そして、仕事で必要な人でなくても、やっぱりあると便利な道具なのだ。これについては後述したい。

 自分で書いていて呆れるほどなのだが、年に8回ほどの海外取材には、プリンタだけでなく非常に多くの機材を持ち運んでいる。そのためにというわけではないのだが、スーツケースはもっとも大きいサイズに荷物が一杯。さて、どんなものをなぜ持っていくのか?



■ ハイテクも忘れ物があれば役立たず

 年中パソコンの前に座っているか、一人でどこかに写真を撮影しに出かけているか。おかげで我が妻には、いつも不満を聞かされているのだが、そんな我が家にもスキューバダイビングという共通の趣味がある。

 衛星通信以外にインターネットへの接続手段がないようなところばかりに行くため、さすがにそこでもモバイルをしているわけではないが、水中撮影用ビデオの充電器を忘れてきたから大変。スチルカメラは大丈夫だったから個人的にはあきらめがついたのだが、初めての海外ダイビングで撮影されることを楽しみにしていた同行者からは、さんざん恨み節を聞かされた。

 もっとも、充電器をはじめとする小物を忘れることは、ビデオ用品に限らずよくあることだ。特に何度も繰り返して慣れた頃が一番危ない。何度も出張に出かけて、そのたびにPCの準備をしているときこそ忘れ物に泣かされるものだ。しかも、その頃にはすっかりPCによるコミュニケーションに生活が浸かってしまい、たかだか1日電子メールが使えないだけでも大変に大きな問題のように感じるのだ。

 忘れ物だけじゃない。モノとは必ず壊れるもの。僕自身も出張取材の先でモデムが故障し、慌ててモデムを買いに出かけたこともあるし、ノートPCのバックライトが点かなくなって途方にくれた(その時は幸い、しばらくするとなぜか復活したのだが)こともある。

 パソコンそのものの故障には、抗しがたい面もあるが、長期の出張、特に海外に出かけるときには、できる限りの対策を施した上で出かけるのが正解だろう。筆者の場合、現役を引退させたノートPC1台を万一のために荷物に潜り込ませている。モバイルギアのような端末でもいいだろう。それが無理ならば、日本語Windowsと必要なアプリケーションのCDを1枚持っていくことを勧める。最悪の場合、現地で安価なPCを購入して日本語インストールすれば、なんとか切り抜けられることもあるからだ。CDを持っていれば、ハードディスクのクラッシュにも対応できるだろう。

 そしてもうひとつ(これが一番大切)。必要不可欠だが高価でないものは、すべてスーツケースに入れたままで出さないこと。出さなければ忘れることはない。そして出せば忘れる可能性は常にあるものだ。

 僕は各国対応のモジュラー変換プラグ、AC変換プラグ、電源タップ、10メートルの電話線×2、モジュラーの二股分岐プラグ、一世代前のモデムカード(メインで使っている最新のモデムは別途持っているが故障のときの予備)、プリンタの予備インク電話線延長用のカプラ、携帯用ドライバセットを、ひとつの巾着袋に入れて決してスーツケースからは出さないようにしている。このルールを守るようになってからは、忘れ物によるトラブルはほとんどなくなった。

 これでもちょっと怖いので、ノートPCのACアダプタは予備を購入して入れっぱなしにしておこうか?と考えている。プラグやケーブル類は価格も安いので、出張や旅行の機会が多いならば出張専用のセットを作ってみてはいかがだろう?



■ 楽しみはパソコンから取り出せる

 すべての出張・旅行先に当てはまるわけではないが、僕がもっとも頻繁に出かける米国の場合、有用な情報はPCから入手できるケースがとても多くなってきた。インターネットはもちろん、PC用ソフトウェアにも優秀な製品は多く、しかも価格は日本の製品と比較するととても安い。

 たとえば出張にしろ純粋な個人旅行にしろ、現地での食事は楽しみのひとつだろう。日本では数万円もしそうなカニ料理も、米国では1万円以下で食べることが可能だ。外人には味オンチが多いという話をよく聞くが、さすがに評判のお店での食事はとてもおいしい。ちゃんと探せば普段食べられないような美味の店を見つけることができる。

 ただ、これらの情報を見つけるのが海外旅行になれない人にとっては難しい。高級ホテルに宿泊しているならコンシェルジェに相談してみるのも手だが、英会話が苦手ならばそれも難しい。そこでPCを使うわけだ。インターネットのホームページには情報がたくさん詰まっている。たとえばMicrosoftが運営している情報サイトのSidewalkは僕のお気に入りページのひとつだ。主要都市のレストラン、劇場、テーマパークなど、さまざまなエンターテイメント情報を検索することができる。主要なレストランは、注釈や周辺地図、評価点、値段といった情報も参照できる。

 また、ランドマクナリー(米国の大手地図出版会社)のStreet FinderやマイクロソフトのStreets & Trips 2000といった地図ソフトには、自分のいる場所の近くから、各種カテゴリ、評価点、価格などからレストランを探す機能がある。もちろん、レストランだけではなく、たとえばパソコンショップや文具店の場所を探したいといった場合にも有効。価格はいずれも現地で30ドル前後なので、ぜひ入手して欲しいアイテムだ。

 と、ここでおもむろにプリンタを取り出すといい。僕は小型インクジェットプリンタのキヤノンBJC-50vを愛用している(インクがすぐになくなるのが欠点だが、バッテリも標準で装備しており、赤外線ポートを使ったワイヤレス接続が可能なため、ちょっと引っ張り出して使うときに使い勝手がすこぶるいい)。この機種でなくてもかまわないと思うが、できればカラープリンタが望ましい。なぜなら、地図をプリントアウトしたときの見易さが格段に違うからだ。

Microsoftが運営している情報サイトのSidewalk ランドマクナリーのStreet Finder

[Text by 本田雅一]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp